著者:夕木春央

 

殺人犯にならなければ脱出できない。

『方舟』『十戒』の著者が仕掛ける“禁忌の驚き”

亡き両親から不動産を譲り受けた康之は、失踪した賃借人・海原の遺留品整理の際に、群馬の山奥の謎の物件の存在を知る。そこは、切り立った岩壁に囲まれた、「楽園」と呼ばれる奇妙な場所だった。恋人の沙織と一緒にそこを訪ね、探索をはじめた康之たちは、すぐに六人の“住人”に拿捕された。脱出のための条件はーー
「誰か一人を殺さなければならない」(公式)

 

 

3度目の絶望 

 

「方舟」で衝撃を受け、続く「十戒」でも絶望を味わい、最終章の楽園を読んだ。

 

相変わらずのバッドエンド。

 

というよりは犯人の一人勝ち状態なんだけど、やっぱり「方舟」には到底及ばなかった

 

「方舟」をシリーズみたいにしてしまったから、犯人が同一縛りになってしまって、主人公とその彼女の設定だけで、犯人がわかってしまうくらいのスケスケ感はあった。

 

ただ、楽園の肝はそこではない。

 

なぜ、犯人は楽園に居続けたいのか。

この謎が明かされ、主人公がそれに付き合わされる羽目になるという絶望を味わう事が肝になる。

 

が、この絶望が弱かった

 

「方舟」のラストは、文字通り一切の希望を断絶する絶望。

お先真っ暗で未来が完全に閉ざされるラストで、とんでもない衝撃だった。

 

一方「楽園」には一応未来はある。

なんなら、主人公が自分の罪を償う事で、免罪符からは多少逃れることができる。

 

ということで、今回は生きてはいける。

 

「方舟」があのラストだっただけに、そこを期待すると肩透かしは喰らってしまう。

 

ただ、「楽園」のクローズドな設定自体は面白い。

舞台は指名手配犯が捕まらずに日常生活を過ごすことが出来る犯罪者の「楽園」。

 

この特殊過ぎる環境が作り出すルール、そしてその解決策が面白かった。

 

なので、「方舟」というシリーズものにせず、単品のクローズドもので、「方舟」に縛られない絶望が待ち受けていたら、さらに面白かったのではないかと思った。

 

雰囲気は相変わらずよかったので、ほぼ一気読みでした。

 

チャンチャン♪

 

 

 

 

 

 

 

 

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