著者:野宮 有

 

営業成績第1位、契約成立のためには手段を選ばない、凄腕営業マン・鳥井。アポイント先で刺殺体を発見し、自身も背後から襲われ意識を失ってしまう。鳥井を襲ったのは、「ビジネス」として家主の殺害を請け負っていた「殺し屋」だった。目撃者となってしまった鳥井は、口封じとして消されそうになる。絶体絶命の状況の中で、鳥井は殺し屋相手に「ここで私を殺したら、あなたは必ず後悔します」と語り出す。「今月のノルマはいくらでしょう? 売上目標は?」「契約率は25%……、残念ながら、かなり低いと言わざるを得ません」「どうしてこんな状況になるまでプロの営業を雇わなかったんですか?」そう……これは商談なのだ。研ぎ澄まされた営業トークを矢継ぎ早に展開し、場の空気を掌握する鳥井。「あなたは幸運です。私を雇いませんか? この命に代えて、あなたを救って差し上げます」契約成立。鳥井は、殺人請負会社に入社することに。前代未聞の、「命がけの営業」が始まる――。常識を覆す発想から走り出す、ジェットコースター・ミステリー!(公式)

 

 

トップ営業マンの思考を追う指南書 

 

本屋大賞シリーズ。

 

これは面白かった!

 

冒頭からすぐにエンジン全開で、少しの助走を経て、すぐに鳥井は窮地に陥る。

 

しかし、殺し屋専属の営業マンとして働き始めてから、鳥井の営業能力がさく裂し、

裏家業の人種相手に次々に修羅場を超えていく。

 

トップ営業マンでありながら、なぜか空虚な思いを抱いていた鳥井が、

殺し屋の営業という目標達成に手段を選ばない、バーリトゥードスタイルの戦場に立ち入ったことで、本来のポテンシャルを開放していく様が痛快だった。

 

元々、人間的な感情が欠如しているという鳥井のキャラもいい。

全く鳥井に同情しないし、鳥井なら何とかこの苦境を乗り越えるだろうという安心感が読み手に不安を与えない。

 

ライバルの殺し屋企業との営業合戦に巻き込まれ、

一時は九死に一生、いや、完全に首を取られたかと思わせられるのだが、

結果は、全て鳥井の手の中でことは進んでいた。

これも何となく予想が出来るのだが、鳥井の覚醒っぷりは想定の上をいっていた。

 

裏家業における鳥井は、まさに水を得た魚のように、

目の前の課題をその営業力で乗り越えていく。

 

ちょこちょこ入る営業としての立ち回りは、実に本質的で、実際の営業シーンでも効果を発揮するほどの内容。

殺し屋小説でありながらも、一流営業マンの思考を追体験できるビジネス書の側面も見せる。

 

それにしても、鳥井の行動力は見習うべきものがある。

タイムイズマネーを地で行く鳥井にとって、2週間で2億(最終的には3億)の目標達成を遂行するには、時間が最も重要な資源なのだ。

限られた時間を最大限に活用し、最短距離での達成を思考する。

この時の、優先順位を決める過程は、どの仕事に通用する有益な思考法だった。

 

途中、ライバル企業の妨害を受け、上司の裏切りや、危機などがありながらも最後は勝利する。

 

売れる営業マンは何を売っても売れる。

商材が殺しであっても、サービスや商品と同じく、お客様の「安心」を届けることに価値をおけば、

その「安心」を高値で買う顧客がいるってことだ。

 

ラストでは、ライバル企業の交渉担当と殺し屋の二人に対して、ネタ晴らしを交えたクイズを披露する鳥井。

殺し屋が死に、交渉担当の女が身に着けていたピンクダイヤモンドを強奪してミッションコンプリート。

 

さすが鳥井。

有言実行過ぎるわ。

 

続編「殺し屋の出世術」も今年リリースされるということで、これは追いかけちゃうシリーズになりそう。

 

 

 

 

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2026年に読んだ俺的小説ランキング

 

①イン・ザ・メガチャーチ

②法廷占拠 爆弾2

③同志少女よ、敵を撃て(ブログ未掲載)

④殺し屋の営業術

⑤カフネ

⑥ババヤガの夜

⑦ハウスメイド

 

 

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