監督:山口淳太
主演:藤谷理子、鳥越裕貴、本上まなみ、早織、近藤芳正
上田誠率いる人気劇団「ヨーロッパ企画」が手がけたオリジナル長編映画第2作。国内外で高評価を得た長編映画第1作「ドロステのはてで僕ら」に続いて上田が原案・脚本、同劇団の映像ディレクター・山口淳太が監督を務め、冬の京都・貴船を舞台に繰り返す2分間のタイムループから抜け出せなくなった人々の混乱を描いた群像コメディ。
京都・貴船の老舗料理旅館「ふじや」で仲居として働くミコトは、別館裏の貴船川のほとりにたたずんでいたところを女将に呼ばれ、仕事へと戻る。だが2分後、なぜか先ほどと同じ場所に立っていた。そしてミコトだけでなく、番頭や仲居、料理人、宿泊客たちもみな、同じ時間がループしていることに気づく。2分経つと時間が巻き戻り、全員元にいた場所に戻ってしまうが、それぞれの記憶は引き継がれるのだ。人々は力をあわせてタイムループの原因究明に乗り出すが、ミコトはひとり複雑な思いを抱えていた。
貴船神社と料理旅館「ふじや」の全面協力を得て、冬の貴船で撮影を敢行。ミコト役の藤谷理子をはじめ、ヨーロッパ企画の俳優たちが多数出演し、鳥越裕貴、本上まなみ、早織、近藤芳正らが共演。舞台「夜は短し歩けよ乙女」などで上田やヨーロッパ企画と縁のある、人気アイドルグループ「乃木坂46」の久保史緒里が、物語の鍵を握る役どころで友情出演。(映画.com)
2023年製作/86分/G/日本
配給:トリウッド
劇場公開日:2023年6月23日
ループの楽しみ方
ループ、ループとは聞いていたけど、
そういうことか。
これは確かにループだった。
実にゆるふわループ。
この感じは好きだった。
グッときた点
①覚えている
タイムマシンがトラブルを起こした結果、
温泉宿の周辺にタイムループが起こっているのだが、
このループの使い方が良い。
この映画の最大の勝因は、
ループで起こったことを「覚えている」設定にしたこと。
これがデカい。
2分間で1ターン。
このターン中の行動が次に活かされるので、
次のターンはどうなるのだろうか?
というワクワク感を楽しむことが出来た。
②毎回違う切り口で何かが起こっている
ループが続くたびに様々なトラブルが起こり続ける。
しかも、同じトラブルは繰り返されない。
なぜなら「覚えている」からだ。
その為、前回の成功や失敗を踏まえてそれぞれが別の行動をとりに行く。
だから毎回新しいハプニングが起こる。
なんならループを利用して、
「一回死んでみる」というブラックジョークすら飛び出す。
とにかくうまいと思った。
③仲居のミコト
藤谷理子演じるミコトのお茶目な感じが良い。
まず、藤谷理子の声がいい。
ちょっとアニメ声な感じがそのお茶目さをマシマシにしていて、
とても魅力的なキャラクターに仕上がっていた。
感想
この映画は100点満点を取る映画ではなく、
最高の70点映画というのが鑑賞後の所感だった。
ツッコミ出したらきりがなさそうだけど、
資金や時間などのいろんな制約を乗り越えて、
アイディアと劇団メンバーの呼吸で完成した愛すべき作品だと思う。
僕は最高の70点映画にさらに3点付け足して73点とした。
映画に対する愛を感じたし、
作品を面白くしようというチームの気持ちが伝わって来たからだ。
僕は演劇の道は歩んでこなかったが、
もし、その道でキャリアを進んでいたら、
このループの中に加わりたかった。
そして、エンディングに「くるり」を起用するセンス。
最高だぜ。
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管理人「あぶすま」による初の著書。
皆にスナックに行ってもらいたい思いで書きました。