著者:宇佐見 りん

 

「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい」

 

逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。アイドル上野真幸を”解釈”することに心血を注ぐあかり。ある日突然、推しが炎上し――。デビュー作『かか』が第33回三島賞受賞。21歳、圧巻の第二作。(公式)

 

 

「推す」のはつらいよ 

 

この作品を読んで、

「推す=修行」のような感覚になった。

 

とても険しく、誰も理解できない悟りへの道。

 

家族ですらあかりに対して諦めの境地に立つ中、

あかりは推しをただ推す。

 

一般人の目から見たら異常かもしれない。

 

昔、僕がゲーム会社で働いていた時、

その会社で声優さんが出演するイベントをやった。

 

おそらくそこには、

推しを推すファンが沢山いた。

 

開園時、控室でサボってモンハンをしていた僕の耳に、

会場のとてつもない

 

「ギャーーーーーーーー!!!!」

 

という声が聞こえてきた。

 

歓声というか、奇声に近い声だった。

 

 

終焉後、物販のチームに話を聞いたら、

物販の単価はなんと3万ほど。

 

マジ!?

 

これが推すという事なのか、、、

当時はその底知れぬエネルギーに身が震えた。

 

ただ、推すことは儚い。

 

ひょっとしたら携帯アプリに課金している方がまだましかもしれない。

だって、ゲームなら割り切れるし。

 

でも、推しは現実。

 

彼女も出来るし、結婚もする。

 

そ子に直面した時に、

推す側はどう自分に言い聞かせて生きているのか想像ができない。

 

この本は、

「推す」という行為に身を捧げ、

現実での存在価値を失いながら、

それでも「推す」少女の姿をありのままに描いている。

 

ラストでは「推し」が引退し、結婚をする。

あかりは「推し」の妻を目撃し、現実を叩きつけられる。

 

推すって辛いわ、、、、

僕には到底できない聖域に感じた。

 

 

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