監督:三池崇史
主演:亀梨和也、菜々緒、吉岡里帆、渋川清彦、染谷将太、中村獅童
 

2019年・第17回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した倉井眉介による小説を、亀梨和也の主演、鬼才・三池崇史監督のメガホンで映画化したサイコスリラー。

「怪物の木こり」という絵本に出てくる怪物の仮面を被った犯人が斧で相手の頭を割り、脳を奪い去るという連続猟奇殺人事件が発生。犯人は次のターゲットに弁護士の二宮彰を定めた。しかし二宮の本性は、犯人をも上回るほどの冷血非情なサイコパスだった。犯人はなぜ脳を奪い、なぜ二宮を標的にしたのか。事件の捜査が進められるなかで、警視庁の天才プロファイラー・戸城、二宮の婚約者の映美、二宮の協力者で自身もまたサイコパスの外科医・杉谷、そして過去の殺人事件の容疑者・剣持ら、さまざまな人物の思惑が複雑に絡み合い、事態は次第に混迷していく。

連続殺人鬼に狙われる弁護士で目的のためには殺人もいとわないサイコパスでもある主人公・二宮彰を亀梨が演じるほか、事件を追う警視庁のプロファイラー・戸城嵐子役を菜々緒、二宮の婚約者の荷見映美役を吉岡里帆がそれぞれ務める。そのほかの共演に渋川清彦、染谷将太、中村獅童ら。

 

2023年製作/118分/PG12/日本
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:2023年12月1日

 

木こりの発注が気になって 

 

邦画の悪いところが出た感じの一本だった。
 
洋画でいうところのスクリームみたいなノリで、
WHO DONE ITを軸にしている。
 
ただ、犯人がわかってもワクワクしないし、
最後のオチも中途半端で、これに2時間奪われるのは勿体無いと思った。
 

 

  グッと来た点

 

①サイコパスの行動力
 
劇中に出てくるサイコパス達の行動の速さには驚いた。
躊躇するとかそういう感情が死んでるので、
何をするにも行動が早い。
 
サイコパスの恐ろしさは感じられた。
 
 
②亀梨くん
 
キレキレでギラついた感じが、
とてもよく似合っていた。
 
セクシーな香りがプンプンしていたし、
本人も楽しそうに演じていた。
 

 

  惜しい点

 

①サイコパスVS木こりという構図
 
バタバタしているうちに木こりの正体が判明する。
正体は「過去の殺人事件の容疑者・剣持」なんだけど、
暴かれたとて、なんとも思わなかった。
キャスティングでバレてる感はあった。
 
木こりもそうだが、
サイコパスの奴らも相当悪いので、
助かってほしいという感情を持てなかった。
 
サイコパスVS木こりという構図がかえって木こりの印象を薄くしてしまったように思えたし、
サイコパスという言葉がカッコよく見えてしまう感じが気に入らなかった
 
 
②木こりの被り物
 
木こりの被っているお面と、その衣装。
こんな特別な被り物をどこで発注したのかが気になってしまった。
 
間違いなく市販で売っているものではないので、
その線から調べたらすぐに犯人が分かりそうな気がした。
 
木こりが出てくるたびに、
そんな事が気になって、
全く物語に集中できなかった。
 
 
③ミステリーとしての浅さ
 
原作は読んでないが、
この映画が原作通りだとしたら、
これでは物足りない。
 
もっと二転三転欲しかったし、
犯人との攻防を見たかったが、
それらのどれもが中途半端な印象だった。
 
用意周到な木こりにしては、
目撃者が沢山いそうな街中で暴れまくってるのに、
通行人1人いないご都合主義な感じもピンと来なかった。
 
脳チップのアイディアは面白かったので、
そこにもっと謎が隠されていたりしたら奥深かったのに、
チップがただのサイコパス製造機の役割だけだったから、
つくづく物足りなかった。
 

 

  感想

 

まさに可もなく不可もないと言うのにピッタリの作品だった。
 
最後は婚約者に刺される二宮だったが、
婚約者の首に絞め後を残し、
正当防衛を主張するよう指示をする。
 
サイコパスから普通の人間に戻り、
まとも人間ムーブを見せる。
 
この辺も何だか中途半端で、
悪い奴なんだか、いい奴なんだかがよく分からなくなった。
 
悪いなら、悪いで、悪さがぶっ壊れてくれている方が、
作品としての価値は高かったと思う。
 
二宮に全く共感できなかったので、
サイコスリラーのはずが、
全くハラハラしなかった。