監督:原恵一

 

直木賞作家・辻村深月の同名ベストセラー小説を、「河童のクゥと夏休み」「カラフル」の原恵一が監督を務めて劇場アニメ化。

中学生のこころは学校に居場所をなくし、部屋に閉じこもる日々を送っていた。そんなある日、部屋の鏡が突如として光を放ち始める。鏡の中に吸い込まれるように入っていくと、そこにはおとぎ話に出てくる城のような建物と、6人の見知らぬ中学生がいた。そこへ狼のお面をかぶった少女「オオカミさま」が姿を現し、ここにいる7人は選ばれた存在であること、そして城のどこかに秘密の鍵が1つだけ隠されており、見つけた者はどんな願いでもかなえてもらえると話す。

若手女優の登竜門として知られる「カルピスウォーター」のCMキャラクターに起用されるなど注目を集める當真あみが、オーディションで1000人以上の中から主人公こころの声優に選ばれた。「百日紅 Miss HOKUSAI」などでも原監督と組んだ丸尾みほが脚本、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」のA-1 Picturesがアニメーション制作を担当。(映画.com)

 

2022年製作/116分/G/日本
配給:松竹
劇場公開日:2022年12月23日

 

 

  繋がっている

 

前から見たいと思っていたところ、

ようやくアマプラで鑑賞。

 

最後は鮮やかな伏線回収に涙が勝手にあふれ出していた。

 

  グッと来た点

 

①あたたかい伏線回収

 

こころ達がなぜ集められたのか。

 

最初は見えなかった共通点が見えてゆき、

次第にそれぞれの境遇が明らかになっていく。

 

作品は冒頭から色々な伏線が張られていて、

それらがラストで一気に結びついていくのが、

気持ちよかった。

 

特にこころが慕っていたキタジマ先生が、

7人のメンバーにいるアキだった事が判明したとき、

思わず涙があふれた。

 

また、マサムネが憧れていたゲームクリエイターがスバルの事だったり、

オオカミ様がリオンのお姉さんだったりと、

最後は畳みかけるようにその伏線が回収されていき、

とてもあたたかい気持ちになった。

 

 

②聴くということ

 

7人の共通点は学校に行っていないという事。

 

学校で仲間外れにされて居場所がないメンバーが集まっているのだが、

彼らはお互いの事を次第に打ち明けだす。

 

こころが自分の胸の内を打ち明けたシーンでは、

「聴いてくれた」とボロボロ涙を流す。

 

仕事柄話を聴く事が多いので、

こころの気持ちが理解できた。

 

大人は割と「ああせい」「こうせい」という。

大人側も悪意はないのだが、

苦しんでいる当人にとっては不要なもの。

 

ただ話を聴いて欲しかった。

これが本質なんだと思った。

 

 

  惜しい点

 

①これならもうちょっと長くても良い

 

開始30分くらいで完全に心を掴まれ、

こころ以外のそれぞれの背景をもっと知りたいと思った。

 

原作は大ボリュームでその背景も描かれているらしいので、

映画版ももうちょっとだけ頑張って欲しかった。

 

 

  感想

 

扱うテーマとしては難しいものなのだが、

そこにファンタジーとミステリーを混ぜて、

希望に満ちた作品に仕上がっていた。

 

しかもミステリーの要素が、

しっかりと伏線を回収してくれているので、

鑑賞後の満足度が高く、

何ならもうちょっと見たいくらいだった。

 

アニメというアプローチはまさに最適解で、

同じような状況で苦しんでいる子供達や、

同じような過ちを犯してしまいそうな大人たちこそ見て欲しい作品だと思った。