監督:ガイ・リッチー

主演:ジェイク・ギレンホール、ダール・サリム

 

「スナッチ」「シャーロック・ホームズ」シリーズのガイ・リッチー監督が、アフガニスタン問題とアフガン人通訳についてのドキュメンタリーに着想を得て撮りあげた社会派ドラマ。

2018年、アフガニスタン。タリバンの武器や爆弾の隠し場所を探す部隊を率いる米軍曹長ジョン・キンリーは、優秀なアフガン人通訳アーメッドを雇う。キンリーの部隊はタリバンの爆発物製造工場を突き止めるが、大量の兵を送り込まれキンリーとアーメッド以外は全滅してしまう。キンリーも瀕死の重傷を負ったもののアーメッドに救出され、アメリカで待つ家族のもとへ無事帰還を果たす。しかし自分を助けたためにアーメッドがタリバンに狙われていることを知ったキンリーは、彼を救うため再びアフガニスタンへ向かう。

主人公キンリーをジェイク・ギレンホール、通訳アーメッドを「エクソダス 神と王」のダール・サリムが演じ、ドラマ「ザ・ボーイズ」のアントニー・スター、「トレインスポッティング」のジョニー・リー・ミラー、「リトル・ジョー」のエミリー・ビーチャムが共演。(映画.com)

 

2023年製作/123分/G/イギリス・スペイン合作
原題:Guy Ritchie's the Covenant
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2024年2月23日

 

命の恩人なんてレベルじゃねぇ 

 

気になっていたので映画館へ。
前半緊張感があって、ずっと心臓がドキドキしている感覚は久しぶりだった。
 
日本で普通の暮らしができている事の幸せを改めて考えてしまった。
 

 

  グッと来た点

 

①恩返しの説得力
 
予告ではアフガニスタンにいる友人を救出する。
なんて、言ってたけど、映画冒頭でのジョンとアーメッドの関係はそこまで深いものではなかった。
 
それが、序盤のスパイの罠からの回避に始まり、
2人きりになってからの地獄の逃避行に繋がっていく。
 
確かに、100キロの距離をタリバンの目をかわし、
昼夜問わず世話をしてくれて生還させてもらったら、
これほどありがたいことはなく、
命の恩人のレベルを超えている
 
この説得力があったからこそ、
キンリーがアーメッドを救いたいという説得力に繋がった。
 
 
②終始続く緊張感
 
常にどこかに敵がいる状態の極限状態の続くため、
緊張感がとにかくすごい。
 
上映中、心が休まるシーンが少なく、
アフガニスタンにいる間はずっとドキドキが止まらず、
映画館ならではの迫力に浸ることが出来た。
 
 
③ラストの救出劇
 
終盤のダムでの銃撃戦。
 
追いかけてくるタリバンを相手に戦うキンリー達であったが、
ついに玉切れとなる。
 
絶体絶命のピンチとなったが、
空軍の援護によって敵を一掃。
助けに来たパーカーが粋だった。
 
ラスト。
飛行機に乗り込んだキンリーとアーメッドが向かい合った席で目を合わせ軽く会釈する。
 
抱き合うとか、
感謝の言葉を伝えるとか、
そんなわかりやすい信頼の形ではなく、
静かで穏やかな表情の中に、
互いの信頼を表現した描写がグッと来た。
 

 

  惜しい点

 

①さすがに見つからない?
 
フィクションなので仕方ないけど、
100キロの逃避行はさすがに遠い
 
途中、車も手に入れて距離を稼ぐが、
山道を手押し車で登っていくような道もあり、
周囲から見てもバレバレな状態なので、
これはさすがに見つかるだろうというシチュエーションがちょいちょいあった。
 

 

  感想

 

非現実的な要素もありつつも、

アーメッドの圧倒的献身がこの物語に説得力を持たせ、

キンリーが救うべき理由を確固たるものとしていた。

 

映画でも表現されているが、

まさにトラウマ級の献身だったものだから、

キンリーも恩返しをしなくては死んでも死にきれないという感覚までいったのだと思う。

 

エンドロールで米軍と現地通訳の実際の写真が映し出される。

 

この逃避行自体はフィクションだとしても、

実際に米軍と現地通訳の友情は存在していただろう。

 

しかし、その通訳達は家族も含めてタリバンに殺されているという悲しい事実。

監督の強いメッセージが込められている作品だった。