監督:藤井道人
主演:岡田准一、綾野剛、広末涼子、磯村勇斗、杉本哲太、柄本明
岡田准一の主演で、ひとつの事故を発端に追い詰められていく刑事の姿を描いたクライムサスペンス。中国やフランスなど各国でもリメイクされた2014年の同名韓国映画を、「新聞記者」「余命10年」の藤井道人監督がメガホンをとり日本でリメイクした。
ある年の瀬の夜、刑事の工藤は危篤の母のもとに向かうため雨の中で車を飛ばしていたが、妻からの着信で母の最期に間に合わなかったことを知る。そしてその時、車の前に現れたひとりの男をはねてしまう。工藤は男の遺体を車のトランクに入れ、その場を立ち去る。そして、男の遺体を母の棺桶に入れ、母とともに斎場で焼こうと試みる。しかし、その時、スマホに「お前は人を殺した。知っているぞ」というメッセージが入る。送り主は県警本部の監察官・矢崎で、工藤は矢崎から追われる身になってしまう。
主人公の工藤を岡田が演じ、工藤を追い詰めるエリート監察官の矢崎役で綾野剛が共演。そのほか広末涼子、磯村勇斗、杉本哲太、柄本明ら豪華キャストが共演する。
2023年製作/118分/G/日本
配給:東宝
劇場公開日:2023年5月19日
本当に最後まで行くんだね
前々から気になっていた本作をようやくネトフリで鑑賞。
最後の最後まで行き来った作品だった。
グッときた点
①のっけからフルスロットル
映画が始まって、
すぐに人を跳ね飛ばして早速フルスロットルで物語が展開していく。
このスタートの初速の速さ、
導入の切れ味はとてもよかった。
②ジェットコースター展開の連続
その後も、工藤には次から次へとピンチが訪れる。
これでもかと押し寄せる大ピンチに、
終始ハラハラドキドキ。
しかも、中盤以降は矢崎視点となり、
そこからもさらに怒涛の展開が待ち受けている。
緊張の糸を切らさずに突き進み続ける展開はとても面白った。
③なかなかの迫力
でっかいドラム缶が上から降ってくるシーンとか、
矢崎の車が爆発するシーンとか、
CG臭さは多少はあれど、
どれも映画の質を落とすことのないクオリティで、
加速する物語をしっかりと彩っていた。
④綾野剛
ヒール役いいじゃない!
神経がピリピリしてイカれている感じが、
キレッキレで良かった。
頬の痙攣も、神経質なキャラを引き立て、
極上の悪徳警官をフルスイングで演じていたので、
この作品のMVPは綾野剛だった。
惜しい点
①矢崎が不死身すぎて面倒臭ぇ
隠し金庫の件で矢崎との決闘を制したかに思えたのだが、
それでもまだ20分以上の時間が残っていて、
「これ以上何をやるんだろう」と思ったら、
さらに矢崎が襲ってきた。
それも何とかぶちのめして、
工藤が家族の元に帰れるようなハッピーエンドをにおわせたところで、
また矢崎。
矢崎、もうええて。
どんだけ「かまってちゃん」なのよ。
後半は矢崎でお腹いっぱいになってしまったので、
別の展開が待ち受けていたらもっと点数が跳ねていたと思う。
②最後まで行き過ぎ
例のハッピーエンドっぽい終わり方でも十分だったし、
矢崎じゃない別の誰かが刺客で来るエンディングでも良かったが、
とにかく矢崎がしつこすぎた。
「最後まで行く」とは言っているけど、
こんなに最後まで行かなくても良いと思ってしまった。
「最後の手前まで行く」くらいで止めて欲しかった。
感想
ヤジみたいな批評も書いては見たが、
後半のしつこい矢崎以外は本当に面白くて、
画面にくぎ付けになった。
テンポ、迫力、画の雰囲気も気持ちよく、
脇を固める俳優陣も安定感があって、
全体的にしっかりとした仕上がりだった。
(広末はちょっと物足りなかった。吉岡里穂の方が良かった)
主演の岡田君はオーバーな演技ではあったが、
この映画はある種のバイオレンスコメディみたいな捉え方で見ていたので、
それも許容の範囲。
リメイクということだが、
この作品単体でちゃんと楽しめる内容だった。