監督:江口カン

主演:一ノ瀬ワタル、染谷将太、忽那汐里、田口トモロヲ、きたろう、余貴美子、小雪、松尾スズキ、ピエール滝

 

借金・暴力・家庭崩壊で人生崖っぷちの小瀬清は、才能と体格を見初められ相撲部屋に入門する。大相撲に一切興味なし、お金を稼ぐためだけに大相撲界でのし上がろうと、伝統と格式を重んじる角界を揺るがしていく。(FILMAGA)

 

 

 

「這い上がる」とは 

 

めちゃんこ面白かった。

 

 

ドラマで止め時を失って、

睡眠不足になったのはいつぶりだろうか。

 

 

そのくらい見入ってしまった。

 

 

もういろんな魅力がありすぎてそれ言い出すとまとまらないので、

要点を絞って書く事にする。

 

 

 

  グッと来た点

 

①「友情・努力・勝利」

週刊少年ジャンプのモットーとして有名言葉だが、これを本作で堪能できる。

 

 

しかも、ただの仲良しこよしではなく、

「バカ」だの「死ね」だの「殺す」だのといった人間関係から始まるもんだから、

1~6話は終始殺伐としている。

 

 

しかし、7話で一気に猿桜(一ノ瀬ワタル)が覚醒。

 

 

強くなるために1人自主トレに励み、

稽古への取り組みの姿勢も人が変わったように変化する。

 

 

その姿を見ていた同部屋の力士達が次第に猿桜に触発され、

最後は部屋の仲間たちがみんなで強さを求めてトレーニングに励む。

 

 

ライバル部屋の力士がやって来た出稽古では、

一度はボコボコにされながらも、

トレーニングの甲斐あって、

7話では返り討ちにしていく。

 

 

その時のチームメートへの声掛け、

その雰囲気、熱。

 

 

こういったものが、

薄っぺらい友情と違う何かをビシビシ感じさせてくれた。

 

 

②馬鹿と真剣のバランス

猿桜はクズだ。

喧嘩はするし、親方に暴言は吐くのは当たり前。

 

 

缶をポイ捨てして注意されたら逆切れ。

 

同部屋力士の裸をファンに50万で販売。

その金を親の治療費にあてず、

キャバ嬢に貢いでしまう。

 

 

とにかくやりたい放題。

  

 

場所中も厳重注意、解雇騒ぎなど、

ハチャメチャな猿桜なのだが、

 

7話で相撲に対する向き合い方が変わってから、

それまでのフリが全部効いてくる。

 

 

モラルが無かった猿桜が親方(ピエール滝)に敬語を使うシーンがある。

 

敬語なんて普通の事だが、

それまでの猿桜の悪童っぷりがひどかったので、

猿桜の気持ちのスイッチが切り替わったことがわかったし、

 

見ていてなんだかか嬉しかった。

 

稽古後、土俵に向かって礼をする猿桜。

 

無茶苦茶だったからこそ、

本当に強い奴になりたいという純粋な気持ちを象徴するシーン。

 

胸が熱くなった。

 

 

③相撲に対するリスペクト

8話では引退する先輩力士の断髪式の様子が展開する。

 

ここで涙腺が崩壊。

 

ガンガン泣かそうとしているわけではないのだが、引退する猿谷(澤田賢澄)のこれまでの努力と挫折。

 

 

同部屋の仲間の想い

家族の想い

親方の想い

 

 

それが全部詰まった荘厳な様子に、

静かに、そして深く感情が揺さぶられた。

 

 

相撲とは何か。

 

 

この作品の相撲に対する敬意。

 

 

それがこの断髪式に全て詰まっている気がした。

 

 

④相撲の面白さ

時代遅れな根性論一辺倒な稽古現場に、

政治部から異動させられた新聞記者の国嶋飛鳥(忽那汐里)は当初困惑する。

 

 

しかし、猿桜の相撲に心が動かされはじめ、

彼女も相撲の魅力にはまっていく。

  

 

そんな国嶋同様、

見ていているこっちも同じ気持ちになり、

相撲の魅力に気付かされていく。

 

 

なぜ礼を重んじるのか、

品格とは、強さとは何か、

 

そこに相撲の醍醐味が詰まっているのだということを国嶋とともに理解していく。

 

 

四股の大切さ、

小指の筋肉を鍛える意味、

すべては強くなるためにある。

 

この作品を見たあと、

相撲を見たい衝動にかられ

YouTubeで相撲の動画をいくつか見た。

 

作品はフィクションだとしても、

それに近い背景があることを知りながら動画を見ていたが、

やはり横綱というのは化け物だと思った。

 

僕の中での永遠の横綱:千代の富士の取り組みも見たのだが、

横綱の名にふさわしい名勝負の数々に心が沸いた。

 

 

⑤俳優陣の演技

一ノ瀬ワタルをはじめ、

特に猿将部屋の力士の方々の演技が素晴らしい。

 

元力士出身の方も多いのだが、

皆、演技がうまい。

このリアリティが作品の質を上げていたし、

この演技だから気持ちが吸い込まれていった。

 

また、余貴美子の体当たりすぎるぶちかましの熱演は、本作の影のMVPだと思っている。

 

 

  まとめ

 

本当に素晴らしい作品だった。

 

 

キャスト、スタッフが全員体当たりでこの作品を作っていることが容易に想像できた。

 

 

この物語を説明するとしたら、

どうしようもない落ちこぼれのバカが、

相撲を通じて人として成長を遂げるお話だ。

 

 

しかし、その成長への道はまっすぐな道ではなく、

時には曲がり、時には道がなくなったりと、

決して順風満帆ではない。

 

 

だからこそ、

そこには大切なものがたくさん詰まっていて、

あまりの泥臭さに泣けてくる。

 

そんな作品だった。

 

最高だった!

 

ありがとう!

 

猿桜!

 

ちゃし!