監督:エンリコ・カサローザ
「リメンバー・ミー」「ソウルフル・ワールド」のディズニー&ピクサーによる長編アニメーション。北イタリアの美しい港町ポルトロッソを舞台に、海に暮らす「シー・モンスター」と呼ばれる種族の少年ルカが、あこがれの人間の世界に足を踏み入れる、ひと夏の冒険を描いたファンタジーアドベンチャー。北イタリアの港町ポルトロッソの住民たちは、海に住む未知の存在「シー・モンスター」を恐れていた。しかし、実はシー・モンスターたちもまた、地上に暮らす得体の知れない存在である人間たちを恐れている。それぞれの世界は海面で隔てられ、お互いを恐れ、決して交わることはなかった。しかし、地上への好奇心が抑えられないシー・モンスターの少年ルカは、ある夏、親友アルベルトとともに禁断の地である人間の世界へ冒険に出る。監督はピクサーの短編「月と少年」を手がけ、長編はこれが初監督となるイタリア出身のエンリコ・カサローザ。2022年・第94回アカデミー長編アニメーション賞ノミネート。Disney+で2021年6月18日から配信。(映画.com)
2021年製作/96分/アメリカ
原題:Luca
配信:Disney+
魚臭い人がいたらそれは「シーモンスター」
やっぱりアイディアがいいよね。
シーモンスターっていう言葉も良い。
なんかシーモンキーを思い出した(古い)
ただ、結構先が読めてしまったので、
ハートフルだけどそれ以上ではなかった。
グッと来た点
①「シーモンスター」というアイディア
水に触れると途端にモンスターに変身するというアイディアが良かった。
これがあることで、水に濡れないように注意しなければならないシチュエーションが生まれ、
緊張感をうまく作り出していた。
でも、むしろ良いのはこれくらいだったのがもったいない。
②人間が温かい
シーモンスター以外に敢えて言うなら、これ。
一応悪役(エルコレ)がいるものの、
それ以外は基本優しい人ばかり。
こういう物語では人間が悪の象徴のように描かれがちだが、
レースの最後でも勝敗をフェアにジャッジしたりするところは、
物語を見ていて安心できた。
もうちょっとだった点
①メインがレースとベスパ
トライアスロンみたいなレースで勝ってベスパを手に入れる事をメインにしてしまったから、
なんだかいまひとつシーモンスターの良さを引き出せていなかった。
レースにフォーカスするよりも、
人間の女の子が無茶しだして、
それをシーモンスターが能力を駆使して救うみたいなベタな物語の方が、
女の子の父親としてもシーモンスターへの感謝を表現でき易かっただろうし、
恐怖の対象だったシーモンスターは、
実は人間に無害の存在だということを証明できた気がした。
②ノーサプライズ
レースに勝つこともそうだし、
勝った後も人間が彼らを認めるということが見え見えだった。
レースに焦点を当てるのであれば、
ルカたちはレースには負けてしまうのだが、
別の活躍を見せ、
その活躍を人々が称える展開の方が、
よりハートフルになったのではないかなと思う。
③ラストが微妙
ラストでルカは学校に行くために汽車に乗って町を旅立っていく。
ここはちょっと微妙だった。
最後の展開が駆け足だったからか、
嬉しくも悲しい別れ感が薄く、
「あれ?もう行っちゃうの?」って感じだった。
ここはもう少し丁寧に描いていたらラストはもう少しグッと来たと思う。
まとめ
ということで、
相変わらずのピクサー節は健在であったものの、
シーモンスターのアイディア以外は結構平凡な内容だったので、
物足りなさを感じてしまった。
「アーロと少年」よりちょっと良いくらいで、
「メリダとおそろしの森」には至らない感じ。
ちなみに、ルカとアルベルトが人間の姿をしていた時に、
「なんか魚臭くねぇ?」みたいな声が上がっていたが、
どれほどの匂いだったのだろうか?
二人をかくまっているジュリアは近距離での付き合いが多かったので、
結構臭かったんじゃないかと推測。
ジュリアの鼻がおかしいのか、
意外と魚臭さは気にならないレベルなのか。
そんなどーでも良いことが、
鑑賞中頭から離れなかった。