監督:アダム・マッケイ

主演:レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・ローレンス、メリル・ストリープ、ケイト・ブランシェット、ジョナ・ヒル、ティモシー・シャラメ、アリアナ・グランデ、マーク・ライランス

 

レオナルド・ディカプリオとジェニファー・ローレンスが主演し、彗星衝突という地球の危機を察知した落ちこぼれの天文学者と教え子が、世界中にその事実を伝えようと奔走する姿を、「バイス」「マネー・ショート 華麗なる大逆転」のアダム・マッケイ監督が描いたコメディドラマ。落ちこぼれ気味の天文学者ランドール・ミンディ教授はある日、教え子の大学院生ケイトとともに、地球に衝突する恐れがある巨大彗星の存在を発見し、世界中の人々に迫りくる危機を知らせようと躍起になる。仲間の協力も得て、オーリアン大統領とその息子で大統領補佐官のジェイソンと対面する機会を得たり、陽気な朝のテレビ番組「デイリー・リップ」に出演するなどして、熱心に危機を訴えてまわる2人。しかし人類への警告は至難の業で、空回りしてばかり。そのうちに事態は思わぬ方向へと転がっていき……。ランドールをディカプリオ、ケイトをローレンスが演じるほか、大統領役のメリル・ストリープ、テレビ司会者役のケイト・ブランシェット、補佐官役のジョナ・ヒルをはじめ、ティモシー・シャラメ、アリアナ・グランデ、マーク・ライランスら豪華キャストが集結した。Netflixで2021年12月24日から配信。それに先立つ12月10日から一部劇場で公開。(映画.com)

 

2021年製作/138分/PG12/アメリカ
原題:Don't Look Up

 

オフィシャルサイト

 

「皮肉が肉汁までたっぷり詰まっている」

 

先日見た「スパイダーマン ノーウェイ・ホーム」がとても良かったので、

思わず100点をつけたのだが、

この作品がその上をいっていたので点数を調整させてもらったくらい良かった。

 

何気なく「覗いてみるか」くらいの気持ちで見始めたのだが、

2時間18分間、ぐいぐい引き込まれ続けてしまった。

 

アダム・マッケイ監督作品でいうと「バイス」「マネー・ショート 華麗なる大逆転」などがあるが、

いずれも僕の中ではそれほど評価は高くなかった。

 

しかし、この作品はそれらとは一線を画す。

 

まず、世の中を完全に馬鹿にした設定が最高だった。

 

大統領や、その周辺、そしてIT巨大企業のトップ、

こうした権力を握る者の愚かさが描かれている。

 

さらに、真実を伝えず、

面白おかしければそれでいいというスタンスのマスコミ。

 

こうした態度にあきれ返る大学院生のケイト(ジェニファー・ローレンス)と、

翻弄される科学者ランドール(レオナルド・ディカプリオ)、

そしてその周りにいる人だけが観客と同じ目線で物語が進んでいく。

 

途中まではこの彗星を破壊する予定だったが、

彗星の中にレアメタルなど、数百兆円の価値ある鉱物が見つかったことで、

プランBとして彗星を破壊して細かく刻んで落下させるという方法を取ることになった。

 

しかし、これが完全に失敗に終わる。

そして、地球が滅びる。

 

 

これ、普通の映画だったら地球は滅びさせないのだと思う。

特にこれだけの俳優陣を構え、大きな予算を投じているので、

スポンサー企業がいたら何とか地球を救う話にしたんじゃないだろうか。

 

しかしそこはNETFLIX映画。

クリエイターのやりたいに応えたのだと思った。(勝手にそう思ってる)

 

ラストでは崩壊する地球からまんまと逃れた大統領、

IT企業の社長、その周辺の人類達が、

冷凍保存されながら何万年もかけて地球と似たような環境の星にたどり着いた。

 

この時、到着した人類に、子供や若者はおらず、

じいさん、ばあさんしかいなくて、

権力者だけが逃げてきたことの愚かさが画面から伝わってくる。

 

痛快だったのは、星にたどり着いてすぐの事。

鳥みたいな生物が現れ、

大統領がその生物に食われてしまうというもの。

しかも、このシーンはちゃんとフリが来ていて伏線も回収しているという完璧な着地。

 

「愚か者には鉄槌を」と言わんばかりに、

生き延びた権力者たちに未来が無いことを示唆する終わり方だった。

 

もうセンス抜群としか言いようがない。

 

豪華な俳優陣が話題になりがちだし、

実際それはそうなのだが、

何よりも物語が面白いし、

物語を成立させる映像に説得力があり、

見ていて心地がよい。

 

人によっては不謹慎だと思う人もいるかもしれないが、

この作品の様にブラックに世の中を笑い飛ばしてくれるような作品が、

大きな予算を持って堂々と出てくるくらいがちょうどよいと思った。

 

最高にイケている作品だと思う。