監督:リー・ワネル
主演:エリザベス・モス、オリバー・ジャクソン=コーエン、オルディス・ホッジ
「ソウ」シリーズの脚本家リー・ワネルが監督・脚本を手がけ、透明人間の恐怖をサスペンスフルに描いたサイコスリラー。富豪の天才科学者エイドリアンに束縛される生活を送るセシリアは、ある夜、計画的に脱出を図る。悲しみに暮れるエイドリアンは手首を切って自殺し、莫大な財産の一部を彼女に残す。しかし、セシリアは彼の死を疑っていた。やがて彼女の周囲で不可解な出来事が次々と起こり、命まで脅かされるように。見えない何かに襲われていることを証明しようとするセシリアだったが……。主演は、テレビドラマ「ハンドメイズ・テイル 侍女の物語」のエリザベス・モス。(映画com)
2020年製作/122分/PG12/アメリカ
原題:The Invisible Man
配給:東宝東和
「サプラ~イズ」
これは面白かった!
リー・ワネル監督と言えば、少し前に「アップグレード」を鑑賞。
ラストにしっかり落ちをつけくれていて、
今でも「SAW」のスピリッツを持って取り組んでいるという事に嬉しくなったのを覚えている。
そんな背景を踏まえ本作を鑑賞。
ここ最近見た映画で最高にスリリングだった。
「ダーク・ユニバース」というユニバーサルの肝いり企画が1作目の「ザ・マミー 呪われた砂漠の王女」(見てない)が惨敗し、
頓挫したことがきっかけで作られた作品だったが、
それがこんなに素晴らしい作品になるとは思っていなかった。
「ダーク・ユニバース」路線だったら、ここまで力強い作品にはならなかったと思う。
低予算だからこその工夫と、
物語に引き込む演出でしっかり心持っていかれた。
ネタバレしてしまうと、
透明人間スーツを着て襲い掛かって来て、
セシリアに撃たれて死んだのはエイドリアンの弟のトムだった。
(これも途中で入れ替わったなど諸説ある。僕は病院で暴れたのがエイドリアンで、
親友のジェームズの娘を襲ったのがトムというように、入れ替わってる説に賛同している。)
その後、エイドリアンから「全ての事件は自分がやった」という供述を得ようと、
親友のジェームズにレコーダーで会話を聞かせながらセシリアが対話する。
途中、セシリアが涙し、化粧を直してくると言って洗面所に行っている間に、
エイドリアンが自分の喉をナイフで切りつける。
これはセシリアが透明人間スーツを着て、エイドリアンの首を切ったのだ。
防犯カメラに映らないように犯行に及び、涙を流しながら救急車を呼ぶ。
そして、電話を切った瞬間にセシリアが真顔に戻り「サプラ~イズ」と一言。
これぞリー・ワネル節!!!
途中、雨が降っている事があまり透明人間退治に活かされていなかったり、
最後も色々考察できる余地があるので完璧にスカッとするわけではないけど、
作品としての出来は大満足だった。
後半の展開にはぐいぐい引き込まれ、映画を楽しんでいた。
同じ「SAW」でタッグを組んでいたジェームズ・ワンも大活躍しているが、
どちらかというとわっかりやすい大衆向けの作品を作っているので、
僕はリー・ワネル監督のチャレンジングな姿勢を支持したい。
下手なホラーよりも怖いし、
スリリングだし、ストーリーも引き込まれるし、
そして最後に落ちがある。
「ダーク・ユニバース」ではジョニー・デップを起用して撮ろうとしていたが、
こちらで完全に正解だった。