監督:レジス・ロワンサル

主演:ランベール・ウィルソン、オルガ・キュリレンコ、リッカルド・スカマルチョ、シセ・バベット・クヌッセン、エドゥアルド・ノリエガ、アレックス・ロウザ-、アンナ・マリア・シュトルム、フレデリック・チョウ、マリア・レイチ、マリノス・マブロマタスキ

 

世界的ベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」をはじめとするダン・ブラウンの小説「ロバート・ラングドン」シリーズの出版秘話をもとにしたミステリー映画。シリーズ4作目「インフェルノ」出版時、違法流出防止のため各国の翻訳家たちを秘密の地下室に隔離して翻訳を行ったという前代未聞のエピソードを題材に描く。フランスの人里離れた村にある洋館。全世界待望のミステリー小説「デダリュス」完結編の各国同時発売に向けて、9人の翻訳家が集められた。翻訳家たちは外部との接触を一切禁止され、毎日20ページずつ渡される原稿を翻訳していく。しかしある夜、出版社社長のもとに「冒頭10ページをネットに公開した。24時間以内に500万ユーロを支払わなければ、次の100ページも公開する。要求を拒めば全ページを流出させる」という脅迫メールが届く。社長役に「神々と男たち」のランベール・ウィルソン、翻訳家役に「007 慰めの報酬」のオルガ・キュリレンコ、「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」のアレックス・ロウザー。「タイピスト!」のレジス・ロワンサルが監督・脚本を手がけた。(映画.com)

 

2019年製作/105分/G/フランス・ベルギー合作
原題:Les traducteurs
配給:ギャガ

 

オフィシャルサイト

 

「因果応報」

 

ミステリー小説「デダリュス」(架空)を巡る物語とあって、

見ごたえのあるミステリーに仕上がっていた。

 

中盤でアレックス(アレックス・ロウザー)が首謀者となり、

他4人の翻訳家と手を組んで原稿を盗み出したことが明かされる。

 

しかし、真実が明かされるとこれもミスリードだったということがわかるのだ。

 

出版社社長(ランベール・ウィルソン)は流出されていく原稿に焦りと怒りをあらわにしながら、

翻訳家達に疑惑の目を向け続ける。

 

だが流出は止まらない。

 

原稿の半分が世の中に出てしまったところで、

しびれを切らした社長は翻訳家達に銃口を向ける。

 

このシーンが一番翻訳家の翻訳家たる所以が発揮されたシーンだった。

社長を囲む翻訳家達が、彼にわからない言語を使ってどう立ち回るかを話し合う。

 

結果1人の女性が銃弾を浴びてしまうのだが、

多言語を操る翻訳家達が集まるシチュエーションだからこそ生まれたシーンだった。

 

流出を恐れた社長は金を送金するが流出は止まらず、

今まで稼いできた莫大な資産を手放すことになった。

 

、、、、刑務所に入れられた社長の元に訪れたアレックスは社長に告白する。

 

「作者は自分である」

 

それまで観客が作者だと思っていた人物は、

アレックスの師匠のような存在で、

アレックスは幼少の頃に彼に弟子入して小説を書いていた。

 

そこで書いたのが「デダリュス」だったのだ。

 

表に出たいと思っていなかったアレックスは師匠が作者ということにして、

作品を出版するに至った。

 

しかし、ベストセラーとなった作品の収益に目がくらんだ社長は師匠を殺害してしまう。

だから、アレックスは社長に復讐したのだ。

さらに、殺されたことを分かっていたから「作者に会わせて欲しい」とずっと言っていたのだ。

 

原稿を盗むシーンでも、作者がアレックスであることから原稿のすり替えるはせず、

仲間を信じ込ませるためにやったことだと告白する。

 

師匠を殺した事を自白した社長は、

警察に取り押さえられ引き続き刑を受け続けることになった。

 

刑務所から出てきたアレックスを遠目のショットで映し出して終了。

 

 

実によく練られた脚本だった。

初めは弱冠たるみがあったが、中盤以降の展開はスピーディーで、

あれよあれよという内に物語は幕を閉じた。

 

アレックスが原作者というオチは予想外だったし、

納得の行く答えだった。

 

事件の発生によって地獄と化した監禁生活だったが、

自分があの環境で働いていたとしたら、

結構仕事に集中できて良いかもしれないと思った。

 

運動もでき、料理もワインも振る舞われるし、

各自一部屋割り当てられるし、、。

 

もちろん何年も外に出られないのはゴメンだが、

集中できる時間が作れたおかげで8年がかりで取り組んでいる自分の小説を書き上げたい、

と言っていた翻訳家の一人には共感する所があった。

 

最近には珍しくちゃんとどんでん返しを見せてくれる映画だったので、

それ系の話に飢えている方には美味しい内容だった。

 

アレックス・ロウザーがエドワード・ノートンに見えて仕方なかったのは俺だけか?