監督:野口照夫、山本清史

主演:坂口健太郎、吉田鋼太郎、佐久間由衣、山本舞香、佐藤隆太、財前直見

 

息子である事を隠し、ゲーム好きの父親とオンラインゲーム「ファイナルファンタジーXIV」をプレイする日々をつづり、ドラマや書籍にもなった人気ブログを坂口健太郎&吉田鋼太郎の主演で映画化。仕事一筋だった父が、ある日突然会社を辞めて家に帰ってきた。1日中ぼんやりとテレビを見ている父の姿を母と妹は遠巻きにながめていたが、何を考えているのかまったくわからなかった父の本音が知りたい欲求にかられたアキオは、オンラインゲーム「ファイナルファンタジーXIV」の世界に父を導き、自分は正体を隠し、父とともにゲーム世界で冒険に出ることを思いつく。顔も本当の名前も知らないゲームの仲間たちに励まされながら、父と冒険を続ける中で、アキオは家族もこれまで知ることのなかった父の意外な一面を知ることとなる。主人公の父子を坂口と吉田が演じるほか、佐久間由衣、山本舞香、佐藤隆太、財前直見らが脇を固める。(映画.com)

 

2019年製作/114分/G/日本
配給:ギャガ

 

オフィシャルサイト

 

「エオルゼアに行きたくなった」

 

泣けた。

 

俺の父親も仕事の事を話す男ではない。

そして、小さい頃に一緒に遊んだ記憶もそれほどない。

 

そんな父親と劇中の「お父さん」を被らせながら映画を見ていた。

 

最初はいわゆるTVドラマ的な展開で、

少々安っぽい演出もあり、

不安げに見ていたが、

父(吉田鋼太郎)が息子のアキオ(坂口健太郎)にプレゼンのアドバイスをする辺りから、

引き込まれていった。

 

終始、演出は軽めなのだが、

子を思う父親の気持ちと、

父を思う息子の気持ちが「FFXIV」を通じて交差する点が素晴らしく、

次第にエオルゼアにのめり込んでいく父親がとてもキュートに思えてきた。

 

父親が専務昇格直前で会社を退社した理由は、

自身の病気だった。

何の病気かは明らかにされないが、

命に関わる重い病気だということは分かる。

 

それを家族に言えぬまま、

息子から退職祝いで渡されたPS4とFFXIVにハマっていく。

 

2人が目標とした強敵「ツインタニア」を撃破するため、

危険な状態なのに病床を飛び出し漫画喫茶に入る父。

そんな父に突き動かされるようにアキオもコントローラーを握る。

 

ツインタニアを撃破した後、

父から語られた家族への思いと不安。

それを聞く息子。

この辺りから、俺も涙腺が崩壊していた。

 

子供の頃、「FFⅢ」のラスボス「暗闇の雲」を一緒に倒す約束をしていたが、

父がその約束を反故した過去があった。

 

しかし、「ツインタニア」を撃破したあとに息子にかけた言葉は

「今度は一緒に倒せたな」だった。

覚えていてたんだな。

 

その気持ちが嬉しいアキオと同じ気持ちになってしまい、

引き続き涙腺が決壊。

 

俺の父親もどこかで俺のことを思っているのだろうか。

もしそうであったら、やはり、泣けてくる。

(ちなみにまだ存命だ。)

 

ゲーム画面と、実写の映像が交互に映しだされる演出に、

最初は違和感を感じていたが、

最後はそれこそが繋がりを生んでいるのだと、

むしろこのゲームの世界の魅力に見せられていた。

 

むかし、家電量販店でアルバイトをしていた時、

「お疲れ様でした。じゃあ、ヴァナ・ディールで!!」(→FINAL FANTASYⅪの世界の名前)

という会話を聞いた時、「さすがだなー」と思ったが、

この映画を見て「俺もエオルゼアに行きたい」気持ちになった。

 

決して高いレベルで作り込まれているわけではないのだが、

気持ちが伝わってくる。

親と子という永遠のテーマに新しい可能性を感じさせる素晴らしい話だった。

 

エンディングテーマをFFXIVの大ファンであるTERUさん(GLAY)を起用した辺りは、

あっぱれでしかなかった。

 

 

 

 

 

・豪華版BOXが格好いい

 

・こちらは単行本です。

 
 
 

 

 

・映画のもとになったゲームです。