監督:内藤瑛亮

主演:山田杏奈、清水尋也、大谷凜香、大塚れな

 

「ハイスコアガール」「でろでろ」などで知られる押切蓮介の人気サスペンスコミックを、「ライチ☆光クラブ」の内藤瑛亮監督のメガホンにより実写映画化。東京から田舎の中学校に転校してきた野咲春花は、学校で「部外者」扱いされ、陰惨ないじめを受けることに。春花は唯一の味方であるクラスメイトの相場晄を心の支えに、なんとか耐えていたが、いじめはエスカレートしていくばかり。やがて事態は春花の家が激しい炎に包まれ、春花の家族が焼死するまでに発展。春花の心はついに崩壊し、壮絶な復讐が開始される。主人公の春花役を本作が初主演となる「咲 Saki」の山田杏奈が演じる。(映画.com)

2017年製作/114分/R15+/日本
配給:ティ・ジョイ

オフィシャルサイト

 

「フルスイングしたが、気合い入りすぎて凡打」

 

とにかく救いようがない内容だった。

 

春花が壮絶ないじめに遭い家族まで殺されてしまう。

そして、いじめた人間を次々に殺していく。

 

最初の3人の女子高生と、その次の男子高校生3人を葬るまでは非常にテンポが良かった。

復讐の鬼と化して、表情一つ変えない春花が次々に復讐を遂げていくさまは、

非常にクールでいじめっ子も自業自得といったところだった。

 

だが、いじめの主犯格の妙子と春花が接触するあたりからテンポが悪くなった。

唯一の理解者だった相場ですら、とんだサイコ野郎だということがわかり、

いよいよ救いがなくなっていくと、

そこからはただの殺し合いと化してしまった。

 

漫画の原作をある程度再現していたのだろうけど、

復讐の鬼となった春花がもっと突き進む姿が見たかったし、

これほどの地獄を味わった春花には救いのあるラストを用意してほしかった。

 

ただ、この内容で2時間は正直キツイ。

せめて1時間40分程度で良かったんじゃないかな。

 

担任の教師が親に詰め寄られて除雪機に飲み込まれて死ぬシーンとか、

「別にそんなんいらんし」と引いてしまった。

あんなイカれた教師は、そのまま生きて存在しているだけで十分怖いわ。

 

俳優一人ひとりの演技は、若さが目立ち、

底からこみ上げてくる怒りや憎しみや恐怖がまだまだ足りない気がした。

もっと、下品で、もっと狂気を帯びてほしかった。

 

ちなみに、こういう内容が浅い映画は、

疾走感や、インパクトで見せるのが一番良いと思う。

大した深みもなくダラダラただの殺し合いを見せられるよりも、

春花が復讐しまくって、最後はスカッと終わるくらいの爽快感があったほうが、

この映画をもっと好きになれた。

 

それにしても、ドラマの舞台となる、このクラス、というかこの町。

頭のおかしいやつが多すぎるだろ。

 

そして、これほどの凄惨な事件が起こっているにも関わらず、

警察が動いている様子が殆ど感じられない。

これはもう法治国家にある町とは思えない。

 

リアルを求めてしまってはいけないのだとわかりながらも、

そうした変な考えが、

ちょこちょこ鑑賞の邪魔する余地を与えてしまった中盤以降が実に惜しかった。

 

 

 

 
 

 

 

・漫画は映画どころではないグロさ。