監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
主演:ティム・ブレイク・ネルソン、ジェームズ・フランコ、リーアム・ニーソン、トム・ウェイツ、ゾーイ・カザン、タイン・デイリー、ブレンダン・グリーソン
「ノーカントリー」のジョエル&イーサン・コーエン兄弟が製作・監督・脚本を手がけた西部劇アンソロジー。「オー・ブラザー!」のティム・ブレイク・ネルソンが陽気な凄腕ガンマンを演じる表題作をはじめ、ブラックユーモアや皮肉を散りばめたバラエティ豊かな6話で構成。キャストには「ディザスター・アーティスト」のジェームズ・フランコ、「96時間」シリーズのリーアム・ニーソン、「ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ」のゾーイ・カザン、「セブン・サイコパス」のトム・ウェイツら豪華な顔ぶれがそろった。2018年・第75回ベネチア国際映画祭で脚本賞を受賞。(映画.com)
「6本とも死の匂いがプンプンする」
言わずとしれた天才コーエン兄弟の西部劇。
「トゥルー・グリッド」とはまた違った魅力の、
コーエン臭が漂う酒のつまみにもってこいの一本だった。
細かく話すと長くなるので、
簡単にまとめると、
1本目、陽気な凄腕ガンマンが撃たれて死ぬ話。
2本目、イケメンの銀行強盗が絞首刑で死ぬ話。
3本目、手足のない男がニワトリの代わりに川に落とされて死ぬ話。
4本目、金脈を掘り当てたおっさんを背後から撃った男が返り討ちにあって死ぬ話。
5本目、せっかく死なずに済んだのに、渡されていた拳銃で自分の額を撃って女が死ぬ話。
6本目、死神っぽい二人が雰囲気を醸し出しながらホテルにチェックインする話。
終わり。
1本目から人の命がなんとも軽く扱われ、
濃いめのブラック・ジョークをガンガンぶち込んでくる。
さんざん、死を見せられてきたので、3話目くらいから、
次はどんなバッドエンドが待ち受けているのかと、
「笑ゥせぇるすまん」ばりに楽しんでいた不謹慎な俺がいた。
まさにコーエン・マジックにハマったわけだ。
あれ?
そういえば、6本目は誰も死んでない。
そこが、良くも悪くもなんだよね。
馬車の中で会話だけが続き、
ホテルに到着してチェックインするわけだけど、
雰囲気だけ醸し出して、その本当の意味はわからないまま終わるっていう、、、。
まー、コーエン監督らしーっちゃ、らしーけど、
ここまでガンガン人が死んできたから、
最後はダイナマイトで木っ端微塵になるくらいの痛快なブラックユーモアで、
お祭り的に占めてくれたら、俺はグッと来たね。
と、ラストは惜しかったものの、
全体の埃っぽい雰囲気と、いつ何が起こるかわからない不穏な空気と、
それぞれの不思議なキャラクターが活き活きしまくっていたということで、
まるで珍味を食いながら日本酒でクイッとやってるような、
実に不快で痛快なコーエン・ワールドでした。