有酸素運動についての覚え書きです.運動はもちろん筋肉が収縮する
ことによって行われます.そのためのエネルギーは,ATP(アデノシン3燐酸)
という物質の分解によって賄われます.

 運動を持続するためにはATPをもう一度作り出す必要があります.その
ATPを作るための方法は幾つかありますが,そのうちの酸素を使う方法を
我々は有酸素運動と呼んでいます.

 つまり筋肉を動かすエネルギー源を呼吸によって体内に取り入れた
酸素を使って作り出すので有酸素運動と呼ばれている訳です.しかし,
有酸素運動を効果的に行うには時間が掛かります.呼吸によって
酸素を体の隅々までに行き渡らさせ脂肪を分解する必要があるからです.

 しかし,運動の最初の20分間にまったく有酸素運動が行われていない
わけではありません.その期間の主流は無酸素運動です.そして
このリンク先無酸素性トレーニングの図に書いてあるように徐々に
無酸素運動から有酸素運動に変わっていくのです.

 あたり前ですが無酸素運動は呼吸しなくても運動がきる訳では
まったくありません.あくまでもエネルギー源を作り出す方法がその由来です.

無酸素運動のエネルギー源は糖質です.グリコーゲンは主に肝臓や
骨格筋に,脂肪は皮下や内臓の周囲に多く蓄えられているので最初は
取り出しやすいエネルギー源を使うとということです.上手くできていますね.

 そうして呼吸によって体内に酸素が十分取り込めるようになり,運動で
体が温かくなると簡単に脂肪を分解してそれをエネルギー源にすることが
できるようになります.この脂肪を分解する鍵がリパーゼと呼ばれる
酵素です.有酸素運動と無酸素運動とは?リパーゼとは?
よるとリパーゼは体が温かくなると活性化します.

 つまり有酸素運動はスロースターターなのです.しかし,注意しなければ
ならないのは無酸素性トレーニングに書いてあるように
運動強度にかかわらず無酸素と有酸素のエネルギー源の
割合が一定ということです.

■運動時間が30秒,無酸素系エネルギー:有酸素系エネルギー=2:1
■運動時間が1分の,無酸素系エネルギー:有酸素系エネルギー=1:1

ですから有酸素運動をしっかり行うにはウォーミングアップをきちんと
行って体を温めていくことが重要であると共にそこではあまり激しい
運動は必要がないということです.

 無酸素運動では酸素なしに糖質によりエネルギー源を生み出すことが
できますが,同時に乳酸を発生させます.乳酸が多くなると痛みやだるさを
感じ,筋肉が収縮しにくくなります.そのため運動が不快になってきます.
ですから運動する時は無酸素運動が主流になるのは避けるべきです.

 楽しい運動が楽しくなくなってしまうではないですか!

 運動の強度を上げるとどうなるでしょうか?筋肉への酸素供給が十分に
足りている状態から不足が生じる状態になります.呼吸がハアハア,
ゼイゼイしてきます.そうすると今度は無酸素系の運動に傾きます.
しかし,酸素に依存しない運動系は乳酸を発生させてしまいます.

 つまり健康的で持続的な運動では酸素供給が十分ではなくなる運動つまり
乳酸を大量に発生させる運動は避けるべきということになります.

 そのためにはマフェトン理論の3つの柱のうちの二つが重要という
訳です.

 ●心拍数の上限を守る.(無酸素運動が主流にならないようにする)
 ●ウォーミングアップを行う.(有酸素運動が効果を持つまで待つ)

参考にしたリンクを書いておきます.

有酸素運動

wiki有酸素運動

無酸素性トレーニング

無酸素運動と有酸素運動1

L S D ト レ - ニ ン グ の す す め

無酸素性閾値(むさんそせいいきち)・嫌気性代謝閾値

乳酸性閾値(にゅうさんせいいきち)