トヨタ自動車堤工場(愛知県豊田市)の元社員、内野健一さんが2002年に急死した件を、豊田労働基準監督署は当初、労災認定しなかった。妻博子さんは、遺族補償年金などの不支給取り消しを求めていたが、2007年11月30日にそれが通った。
名古屋地裁にて原告側が全面勝訴したことを、海外マスコミ(ロイター、AP通信、CNNテレビ、自動車関連メディアなど)が一斉に報じた。また、トヨタの労働慣行に注目した海外マスコミが内野さんらの告発の内容を詳しく採りあげ、掘り下げて報道している。
特にロイター通信は、内野さんが百時間以上の残業を無償でおこなっていたことなどを特筆し、
「労働者が企業のために私生活や幸福まで犠牲にするよう求められることがあまりにも多い」
と述べている。さらに、内野博子さんが外国特派員協会で行った記者会見での発言、
「慣例化されたサービス残業で苦しんでいる人がたくさんいます。これが二兆円の利益に貢献しています。トヨタが発展を続けるなら一部でも還元してほしい。それでこそ世界一です」
も引用した。
企業の規模がどうであれ、その利益、発展が従業員に還元されるのは、当たり前のことである。トヨタの繁栄は、この「当たり前」を無視し、労働に報いず犠牲のみを強いて成したものだった。
そのことじたい、許しがたきことであるのは言うまでもないが、見落としてはならないのは、国内メディアのあり方である。
事件発覚当時から、この件を採りあげるのは、外国メディアばかりであった。国内メディアのほとんどは、見事なばかりに握りつぶしつづけた。スポンサーとして各界に大金をばら撒くトヨタを吊るし上げるわけにいかなかったのだ。いかに事実であろうとも、その「事実」を書くわけにしかなかったというわけだ。「しんぶん赤旗」や「MY NEWS JAPAN」など、一部のスポンサーを持たない新聞が、採りあげるのみだった。
国が控訴を断念し、労災認定の判決が確定してから、ようやく国内新聞が報道しはじめた。しかし、今回で原告側が敗訴となっていたなら、国内メディアはやはり黙殺しつづけたかもしれない。
そうした点を、外国メディアがどのように捉えているかは、たいへん興味深い。
(続く)