本田技研栃木研究所(芳賀町)の研究員が自殺した。
亡くなった西村伸一さん(2004年6月当時29歳)は、入社以来、法定労働時間を超える長時間労働を続けていた。2004年6月には鬱状態となり、同月23日に初めて無断欠勤のうえ失踪した。
同社の勤怠簿には、毎日午後9時終業と記録されているが、
「午後9時以降も仕事をしていた」
という同僚の証言があった。
失踪から6日後、思いとどまった伸一さんが自宅に戻る途中、捜索願を受けた警察が東京都日野市内で発見、保護した。
伸一さんの妻とその父親が引き取りに来たが、この父親は、
「娘と離婚させる。2人きりにはさせられない」
などと罵り、伸一さんとその母悦子さん(当時60歳)を土下座させた。
翌29日未明、伸一さんは滞在先の埼玉県旧大宮市(現さいたま市)内のホテルから投身自殺を遂げた。
伸一さんの父淳さん(当時61歳)と母悦子さんは、息子の自殺後、その労働実態について会社や労働組合に伸一さんの調査を依頼した。しかし、遺書がないからという理由で、取り合ってもらえなかったという。
さらに、ことの真相を聞こうと、伸一さんの妻にも接触を試みたが、なぜかその義父が頑として許さず、自殺前の伸一さんの様子を聞くことすら出来なかったという。
伸一さんの「法定労働時間を超える長時間労働」について、当然会社側は厳しく追及されるべきである。何もやましい点がなければ、堂々と協力できるはずだし、そうすることが義務でもある。
しかるに、「遺書がないから」という理由で、勤務実態調査を拒否した会社と労働組合は、後ろ暗い隠し事があるに違いない。勤怠簿(毎日午後9時終業と記録)と同僚の証言(午後9時以降も仕事をしていた)との食い違いからして、えげつない資料の捏造、隠蔽工作が丸見えだ。
まず、遺書がなければなぜ調査できないというのがおかしい。遺書がないから、自殺扱いにはしないというつもりか。そうすることによって、会社は何をどうしたいのだ。なんのための労組なのだ。胡散臭さが紛々と漂う。
(続く)