(前回の続き)

 2007年1月22日、熊本地裁の亀川裁判長は、会社側の主張を退け、遺族の主張を認めた。

「自殺直前の時間外労働時間、月80~108時間で労使協定(最長月61時間)を著しく超えており、健康の悪化は容易に認識し得た」

という点を踏まえ、昭友さんの勤務時間や健康状態に関しては、

「会社が何ら留意することがなく、その注意義務を怠り漫然と放置した」

と指摘し、同社に約7,430万円の支払いを命じた。

 過労死弁護団全国連絡会議によると、過労死や過労自殺で企業に賠償責任を認めた判決は、九州では初めてだという。


 原告代理人で同連絡会議代表幹事の松丸正弁護士(大阪)は、

「日本の企業では、労働基準法を逸脱した従業員の長時間労働が常態化している。今回の判決は、他の企業にも警鐘を鳴らす判決だ」

と評価した。

 実にその通りで、労働基準法の逸脱が常態化し、それが当然、常識にさえなっている。九州にも、過労死や過労自殺で亡くなった人、企業を提訴した人は多かろう。しかるに、賠償責任を認めた判決は、今回が「初めて」だというのだ。いかにこれまで、企業側の言うことだけを鵜呑みにし、労働者側の立場を踏みつけてきたか、というわけだ。


 そればかりではない。現行の労働基準法の中身を知らない労働者がほとんどである、というのも悲惨な現実である。そうした人々は、会社が押しつけて寄こす劣悪な労働条件を、労基法でそう決められているのだからしかたがない、と思い込み諦めているのだ。

 山田製作所総務部は、

「判決文を見ていないので、コメントできない」

としている。


《了》