オートバイ部品などを製造する山田製作所(群馬県桐生市)の熊本事業部(菊池市)で、24歳(2002年当時)の男性が死亡した。過労による自殺と見られている。

 この男性(山田昭友さん)は、2002年4月に塗装班リーダーに昇進し、生産量の増加や不合格品対策(品質管理)などに当たっていた。昇格の負荷と、細微な神経を遣う業務に加え、自殺の3カ月前から常軌を逸した長時間労働(働時間外労働は月80~108時間)も強いられていた。心身ともに重なる疲労のため鬱病を発症し、同年5月に自殺した。

 菊池労働基準監督署は2004年3月、山田さんの自殺を労災と認定した。


 昭友さんの遺族は、会社が安全配慮義務を怠ったせいであるとして、同社に約9,250万円の損害賠償を求める訴訟も起していた。

 過労死者が出たとき、会社だの経営者だのは、まずこぞって判を捺したように同じことを言う。

山田製作所も然り、訴訟の場(熊本地裁)にて、

「山田さんの過労や自殺は予見できなかった」

と主張した。

 しかし、自殺直前における昭友さんの時間外労働が月80~108時間という事実は、労使協定(最長月61時間)を著しく超えた数値である。この現状がありながら、「予見できなかった」とは、言い訳にすらなっていない。


 そもそも品質管理は、細かい神経と手間のかかる業務である。工場と顧客との狭間で、特有の苦労を抱え込みがちだ。長時間労働というだけでも心身負荷なのだから、神経を病むことの予想ぐらい、容易につくはずだ。本当に「予見できなかった」のならば、よほどの鈍感かバカであろう。実のところこれは、それほどまでに恥知らずなセリフなのだ。


 しかるに、この恥知らずなセリフを言いさえすれば、一切の責任を逃れられるとでも思っている経営者があまりにも多い。過酷な労働状況という現実がしかと存在するのだから、会社側がいかにシラをきろうが、鈍感自慢、バカ自慢をしようが、責任逃れはできない。にもかかわらず、

「だって、そんなに働いてる社員がいるなんて、知らんかったんだもーん。知らなかったんだから、オレ悪くないもーん」

なぞとぬかすクソボケ社長さえいるのだから呆れる。

 労働者がどんな待遇を受けているのか、総責任者が「知らない」ということじたい、労働者をないがしろにしている証拠である。世の経営者はそれを弁えているのか。そんな無責任にして杜撰な会社だからこそ、このような惨事が起きるのだ。



(続く)