03年3月、医薬品販売会社「日研化学」(現・興和創薬)で、男性社員(当時35)が、上司による執拗なパワーハラスメント(地位を利用した嫌がらせ)を苦に自殺した。
この男性の残した遺書(営業所長あて)の要旨を、次に挙げる。
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悩みましたが、自殺という結果を選びました。仕事の上で悩んでいました。入社して13年程になりましたが、係長に教えてもらうには手遅れで、雑談すら無くなりもうどうにもならなくなっていました。恥ずかしながら最後には
「存在が目障りだ、居るだけでみんなが迷惑している、御願いだから消えてくれ!」
とか
「車のガソリン代ももったいない」
「何処へ飛ばされようと俺が仕事しない奴だと言いふらしたる!」
等、言われてしまいました。情けなくてどうしていいものかわからなくなり、元気もなくなり自分の欠点ばかり考えてしまい、そんな自分が大嫌いになってしまいました。
先月からふと「死にたい」と感じ、家族の事や「このまま終わるか!」と考えると「見返してやる」思っていたのですが、突破口も無く係長とはどんどん話が出来る環境になりませんでした。しかし、自分の努力とやる気が足りないのだと、痛切に感じました。係長には
「お前は会社をクイモノにしている、給料泥棒!」
と言われました。このままだと本当にみんなに迷惑かけっぱなしになってしまいます。
転職等、選択肢もあるし家族の事を考えると大馬鹿者ですが、もう自分自身気力がなくなりどうにもなりませんでした。
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自殺したこの男性は、静岡県沼津市などで病院への営業などを担当していた。
2002年4月に赴任した(営業成績の改善を図る目的)係長が、同年秋頃から男性に暴言を浴びせるようになったうえ、相談に応じない、業務妨害、人格否定をするなどのハラスメントを執拗に繰り返した。
この異常なほど粘着性のある嫌がらせが自殺の原因だとして、男性の妻は静岡労働基準監督署に労災申請をしていたが、同署ではそれを認めなかった。その処分取り消しを求め、男性の妻は東京地裁で訴訟を起していた。2007年10月15日、自殺と暴言との因果関係を認め、会社員の死を労災と認める判断を示した。
同地裁の渡辺裁判長は、係長が
「お前は会社を食い物にしている。給料泥棒だ」
「存在が目障りだ。お願いだから消えてくれ」
「車のガソリン代がもったいない」
「どこへ飛ばされようと、おれはお前が仕事をしないやつだと言いふらしたる」
などと発言したと認定したうえで、
「言葉の内容自体が過度に厳しい」
などと指摘した。
また、これらの暴言のせいで男性が鬱病を発症し、正常な認識や判断力が低下して自殺に及んだとし、不支給処分を取り消した。
(続く)