大手外食チェーン店「すかいらーく」の店長だった中島富雄さんが、2004年8月、脳梗塞(こうそく)を発症し過労死した。平均月130時間を超える長時間労働と上司によるパワハラが原因だった。亡くなる前月の残業時間は180時間以上にもなっており、三鷹労働基準監督署は、2005年3月に過労死と認定している。
 2006年夏には会社側が過重労働の非を認め、翌年6月にはこのパワハラ上司も、遺族に対し謝罪している。


 以下のサイト「労働相談センター・スタッフ日記 」では、この上司が中島富雄さんに対して行ったえげつない言動と、その謝罪現場が記されている。
http://blog.goo.ne.jp/19681226_001/e/84be278bcab27cdcc635b712824ef1e8

 杜撰会社や外道上司が謝罪したところで、故人はけっして戻ってこない。しかし、黙っていては第二、第三の犠牲者が出ることは必定なのだ。それを心すべきは、経営者側だけではない。労働者の権利を守るべき労働組合も肝に銘じなければならない。


 中島さんの遺族は、

「労働組合が長時間労働の抑制を会社側に十分に求めなかったのが原因」

と考え、2007年7月31日、「すかいらーく労働組合」(吉田弘志委員長)に対して、武蔵野簡裁に民事調停を申し立てている。 (以下のページ参照)

http://blog.goo.ne.jp/19681226_001/e/2b348ed426ee0ccb3d2bb98118ef3cd6

 言うまでもなく、労働組合には、組合員の健康や生命が侵害されないよう労働条件の改善向上を図る義務がある。そのための組織なのだ。にもかかわらず、同社労働組合は、会社に対して、労働条件改善申し入れなどの措置を何ら行っていなかったという。


 申し立て内容は、次のとおりである。


①中島富雄さんの過労死について労働組合としての義務を十分に尽くさなかったことへの謝罪
②これまで労組が講じてきた過重労働を防止する措置の説明
③今後、過労死が起きない労働環境改善への努力の確認
④吉田委員長が「過重な業務になるのは店長(中島富雄さん)自身の責任」という趣旨の発言をしたことを謝罪


 調停申立書において、中島富雄さんの遺族は、

「他にも長時間労働に従事している労働者が多数いることを知りながら、同社の労組は改善のための具体的な措置を取っていない

と指摘している。

 実際、同労働組合に対し、妻の晴香さんが

「夫のために何をしてくれたのか」

と、何度も説明を求めたが「一般論」ばかりで、なにひとつ納得できなかったという。

 晴香さんはまた、

「組合の努力で、夫の過労死を防げたかもしれない。組合員の健康と命を守るはずの組合の責任を明確にしたい」

と話している。


 一方、同労組は、

「調停を申し立てられた事実は確認しておらず、コメントできない」

「申立書の内容を確認したうえで対応を決めたい」

としている。

 申し立てを云々する前に、自分達が行ったこと、行わなかったことを思い出すぐらいはできるはずだが、この労組は、そんなことはするつもりもないらしい。初めからはぐらかし、ごまかし目的の言葉であることは、じゅうぶん見て取れる。


 この労働組合の委員長(吉田弘志)2005年春に発行された雑誌で、

「店長は誰の助けもなく、忙しさも半端ではありません。しかし、本当にできる店長、つまり強い店長は、その中でも休みを取れる」

などと述べていた。上記調停申し立て内容の④は、これについて講義している。

 2005年春といえば、中島富雄さんが亡くなってからおよそ9ヵ月後、ちょうど労災認定が下りる

前後である。明らかに中島さんの不幸をあげつらった記述である。たとえ、

「一般論であり、特定の人物を示唆したものではない」

などとお得意の「一般論」を持ち出したとしても、勤勉に働いてきた社員の不幸に対し、無神経であることに変りはない。しかも全社員に届く公文書においての発言である。労組として語る以前に、他人の立場を慮ることもできないのだから、恥ずべき人間と言えよう。

 中島さん側は、この「故人を侮辱し、家族を傷つける発言」に関して、真意をただす質問状などを組合側に送付したが、これまた具体的な回答はなかった。


 そもそも過重な労務を「自己責任」で済ませるならば、労働組合の存在意義はなんだというのだ。自分達の役立たず、無駄な存在を曝け出しているも同然の発言だ。「一般論」しか言えない人間は、身にやましいことがあるか、単なる理屈バカである。確固たる展望も指針も持っておらず、実直な行動もせず、ただ「なんとなく存在していればそれなりの恰好がつく」とでも思っている。そんなふうだからこそ、具体的な事象と見解をもって相手を納得させることができない。しかし、そうした現状を、一般論と(屁)理屈でごまかす能力だけはあるらしい。


 外道経営者が急増したのは周知のとおりだが、労働組合までもが毒化、弱体化、腐敗化してきたのだから、油断も隙もならない。