飲食店経営会社エージーフーズ(本社・京都市東山区)のそば処「鷹匠」三茶店(伏見区)店長勤務の寺西彰さん(当時49歳)が、自殺した。


 彰さんは92年に中京区の同レストラン店長となり、業績悪化による長時間労働を強いられていた。95年1月から約1年間で平均労働時間は1日約12時間、休みは月平均2・2日しかなかった。95年秋から頭痛や血尿などで通院し、96年2月、勤務後に伏見区内の団地から飛び降り死亡した。過労によるストレスが原因だったと見られる。


 01年3月、京都下労基署はこの件を「過労自殺」と認定したが、当のエージーフーズ(本社・京都市)は、

「自殺に関して、会社側に責任はない」

「店長として自らの裁量で勤務時間を決定できたはずだ」

などと主張し、謝罪や再発防止対策を拒否した。

 外道会社の常套句はかくのごとく身勝手にして薄っぺらである。

 仮に「自らの裁量」を駆使できたとしても、過度に働かねばならぬ状況に追い込まれる場合は、大いにありえる。ある程度の役職を持っているならば、なおのことだ。上記の文句を並べた連中とて、それぐらいの洞察もできないほどの馬鹿ではあるまい。知らんふりをして現状無視を決め込んでいるに違いない。


 かくして遺族(妻の笑子さん・息子二人)は同年6月、エージーフーズを提訴し約1億円の損害賠償を求めた。
 京都地裁の松本久裁判長は、彰さんの休日が1ヶ月に2日程度しかなく、連日12時間に及ぶ長時間労働をしていたことを挙げ、

「売り上げの回復を求められ、過重な労働を強いられていた」

「意に反する異動の内示を受け、強く説得されていた」

と仕事による重いストレスも認定した。さらに、

「過重な長時間労働が続くなどストレスが積み重なって鬱病になり、衝動的に自殺を図ったと認めるのが相当。会社は寺西さんの勤務実態や異常な精神状態を知り得たはずだ」

とし、被告側の「安全配慮義務」怠慢を指摘した。

 被告側は、過失相殺の主張をいっさい退けられ、約6,500万円の損害賠償支払いを命じられた。



(続く)