男女同権だの時勢の人権だのという「言葉」が、どれもこれもまやかしめいている背景が、垣間見える事件である。もっと正確に言うと、この事件に対する世の反応によって、日本における女性の人権侵害が見えるということだ。


 今年の6月23日頃、岡山県倉敷市の女子大生(18歳)が、自宅マンションで女児を出産した。ところが翌月2日、その女児を保育園に遺棄したという。発覚し逮捕となったが、これについて本人は、「養育ができないため」と言っているらしい。


 妊娠、出産絡みの事件が起きると、世間ではまず必ず、当事者の女性(つまり母親)が叩かれる。もっと正確に言うと、女「だけ」が叩かれる。女の腹がでかくなり、赤ん坊は女の体から出てくるという、ただそれだけのことで、女だけがぶちのめされる。大衆がここまで無知蒙昧さらに女性蔑視であることに、今さらながら驚く。


 女だけでは妊娠できない。男がその行為に及んだからこその結果である。仮に女が誘惑したにしろ、強く望んだにしろ、良識ある男なら責任取れないことをすべきではない。しかるに、快楽しかアタマにないその場限りの行動で生きている恥知らずな低脳男ほど、ゲビゲビと肉欲に溺れ、しかも中出しする。そうして、あとは知らん顔、後始末も世間の非難も、全部女に押しつけて、トンヅラこくわけだ。こういう野郎は懲罰として、サオもタマもちぎり取っちまえばいい。


 ただでさえ、妊娠だの中絶だのは、女「だけ」に負荷がかかるものだ(男は出すもん出してスッキリするだけだ)。本当にその女を大事に思っているなら、危険なめにあわせるはずがないだろう。インポと言われようが、意気地なしと罵られようが、耐えて女を護るのが本物の男ってもんだ。

「アイテル」だの「スキダカラ」だの「シゼンナコウイナンダ」なぞといかにもっともらしくほざいたところで、男の身勝手な欲望処理に他ならない。


 結婚を前提としていたところで、人生何事が起きるかわかったものではない。突然男が、病気や事故で死ぬかもしれないのだ。そんなときに女が妊娠中だったらどうなるのだ。女は未婚ながらも寡婦同然となり、腹の子はてて無し子だ。婚姻届を出していなければ、法的には単なる未婚の母だ。世間は、そんな境遇の女をこぞって侮辱し貶めるものだ。


 実際、この件についてネットに吐き出されている意見のほとんどが、女叩きだ。相手の男など、まったく問題にしていない意見が目立つ。

 こんな世の中だからこそ、法的にも精神的にも、じゅうぶんに護ってやれる立場になって(つまり婚姻届を出して)から、子作りするのが本当の愛情だろう。それもわからんで目先の快楽だけに溺れるようなやつには、夫はむろん、父親になる資格なぞない。


 世の中には、婚前交渉で子どもを儲け、その後も幸せな結婚生活を営んでいるという人も多いだろう。しかし、それはたまたま運が良かっただけかもしれない。無思慮、無責任な行為ゆえ、不幸な結果(中絶された子や捨てられた子も含め)に終わった者も、数知れないのだ。


 このような無責任な性行為や妊娠が後を絶たないのは、社会が男だけに寛大であるせいが大きい。女だけを悪者にし、ぶちのめし、それで「解決」とする。中出し男は、痛くもかゆくもない。何も傷つかない。したがって、反省なぞするわけもなく、同じことを繰り返す。他の男どもも、真似したがるわけだ。

 なにしろ、日本は男の身勝手に甘いのだ。世間は、男を一切といっていいほど責めず、騙される女がバカなのだとまで言って、男をかばってくれる。男にとって、こんな都合のいい社会はめったにないだろう。少なくとも、教養度の高い先進国ではありえない。発展途上国になら、ごっそりと存在するだろうが。

 



女子大生が出産した女児を遺棄 ネットで波紋
 岡山県倉敷市において2日、出産した女児を保育園に遺棄した女子大生(18)が逮捕された事件がネットで波紋を呼んでいる.......... ≪続きを読む≫