(前回の続き)

 2007325日、吉田さんら組合員14名は、中央大学構内にて生協職員の権利を訴える活動を行ったが、同大学によって警察に通報された。吉田さんら14名は、20日間の勾留処分を受けた。


 中央大学総務部の藤本義明部長によれば、

「大学側は、早く解決して欲しいという思いで当初は争議を見守っていた。だが、昨年の最高裁判決で争議は解決したはず。これ以降の情宣活動には退去勧告書を出してきた。それでも学内での情宣活動が収束しなかったため労組員らに対し立ち入り禁止の仮処分を下した」

 どういう言い方をしようと、「学内での事件にいっさい関わろうとしなかった無責任」の結果であることに変わりない。

「昨年の最高裁判決で争議は解決したはず」

と言うが、「パート職員に対する待遇是正」というテーマが途中でごまかされ、何も解決していない。解決したというのは、あまりにも根本無視の身勝手な言い分である。


 事の起こりは、「労働基準法で認められているパート職員に対する有給休暇行使の権利」を、中大生協が認めなかったということなのだ。

「吉田さんの労働者としての権利は大切だと思っている」

という藤本義明部長のセリフは、自身を悪者にしないための口上にしか見えない。本当にそう思っているなら、なぜ今なお粗末に扱うのだ。組合員は、ただ正当な権利を要求しているだけだ。なぜそれを認めないのか、あまつさえ認めない自分らを正当化するのか。初めから、職員の権利を尊重していれば、こんなことにはならなかったはずである。

「大学の委託業者は生協だけに留まらない。生協の労働実態がどのようなものかはわからなかった」(藤本義明部長)

というセリフは、責任者たる立場の者がよく使う、言い訳にもならぬ愚言である。


 委託業者が複数あるから労働実態がわからぬというなら、つまるところどの委託業者についても掌握していない(ふりをする)のだろう。少なくとも、何か事が起きた際は、今回のように「わからない」と言って逃げるに違いない。大学側から生協に対し、何なりと労働条件の是正指導をすべきなのに、それをしなかったのは怠慢に他ならない。

 ともあれ、これまでは「わからなかった」が、現在は事の次第がすべて明るみに出た。この現時点では、どういう見解を持っているのか。むろん、そんなことを答える勇気なぞあるはずなかろう。

 2002年から2005年まで、中央大学の学長を務めた角田邦重教授(労働法を専門とし、派遣労働者の人権にも詳しい)は、この事件についてのコメントを求められると、以下のように答えた。

「以前からトラブルがあったことは知っているが、大学内の問題で、以前学長を務めていたこともあり微妙な立場なのでコメントは差し控えたい」

 その道の大家、権威者とも仰がれる専門家が、このような姿勢だと、同じ道を志す若者の士気を大いに削ぐに違いない。いや、そうした方面の若者に限らない。名ばかりの権威が横行する社会は、人々の意識を低下させる。

 「微妙な立場」とは、便利な言葉である。角田邦重教授は、せっかくの知識をなぜ有効に使わないのだ。この人にとって、労働法だの派遣労働者の人権だのは、自身を飾るための道具にすぎないのか。

 上層部にいる人間を、ますます信用できなくなった事件である。

《了》




中央大学で「パートには有給休暇は出せない」逮捕
 「オラオラ!」「おとなしくしろ!」「静かにしてろ!」。「みなさん見てください!」「警察が労働組合活動を弾圧しています!」.......... ≪続きを読む≫