いったいいつの間に撤廃になったのかと思われるほど、労働基準法は企業に黙殺されている。労働者にの中には、この法律がどんなものであるかさえ知らない者がいそうだ。それぐらい日本の企業はあつかましく、労働者は意識が低い。


 近年、ネットの普及で情報が手軽に入手できるようになった。そうして労働者が知識を持つにつれ、不当な労働条件に立ち向かう者が出てきた。地域合同労働組合やNPOへの相談も増え、ようやくだが、労働者の権利と幸福の主張に目覚めてきたようだ。

 NPO法人「労働相談センター」のサイトでは、劣悪な労働条件、環境に悩む労働者の話が、たくさん紹介されている。


 紳士服販売の大手企業「コナカ」が社員約720人に対し、2年間の不払い残業代など(約9億円)を支払うことになったのは、実はこのサイトのおかげらしい。

 ある日、同社の不払い残業の実態を内部告発する手紙が「労働相談センター」に届いたのが発端である。同センターがサイトで呼びかけると、窮状を訴えるコナカ社員の証言が相次いだ。これをきっかけに、同社初の労働組合が誕生し、会社側との団体交渉に結びついたのだという。

 コナカが渋々でも支払いに応じたのは、社員が一丸となって要求に詰めかけたからであろう。確かに、一人や二人の訴えでは、このような快挙はとても望めまい。労働者同士の横のつながりが大切である。


 日本の労働者は、経営者に対して従順すぎるのが欠点である。その一方、仲間どうしが結束していないことが案外多い。ひどい場合には、お互いに足を引っ張り合ってさえいる。会社側は長時間労働を押しつけてよこす、仲間どうしで協力しないでは、労働条件が改善される望みがない。かくして、過労による精神的、肉体的な疾患、さらには死に至る労働者まで現れる。

 結束していない職場環境にいるとしても、自分の労働時間を、ひそかに記録しておくぐらいは一人でもできるし、しておいたほうがよい。その上で、先の労働相談センターや、各地域の労働局や労働基準監督署に相談することができる。単なる気休めにしかならない場合がほとんどだ(役所が役立たずのため)が、稀には有益なアドバイスを得られることもある。


 不払い残業など、会社側の勝手な都合に甘んじているのが、立派な社会人ということにはならない。大事にすべきは、自分という人間なのだ。労働者を人間扱いしない会社の下敷きになる必要が、どこにあろうか。日本の労働者は、まずそれを認識することから初めなくてはならない。


 NPO法人「労働相談センター」         http://www.rodosodan.org/