著:手塚治虫
背景は、第二次世界大戦下。
ドイツ人と日本人のハーフである「アドルフ・カウフマン」
ユダヤ人の「アドルフ・カミル」
そして、ドイツ総統である「アドルフ・ヒットラー」
同じ名前を持つ3人のアドルフを中心に
時代に翻弄された彼らを描いた作品。
・・・といっても、彼らだけが主人公というわけでもなく、
彼らに絡み合う人々の人生もまた色濃く描かれている。
「立場」や「人種」や「時代」によって異なる「正義」。
自分たちこそが正しいという信念をいつの間にか植えつけられて、
それぞれが異なる正義を振りかざし、
憎み、争うようになり、人を殺すことをも厭わなくなる。
とくに、アドフル・カウフマンとアドフル・カミルは、
幼いころ、神戸で仲良く育った仲だったのに、
最後は憎しみ合うようになってしまう。
家族、友人とのかかわり方、
考え方とかもののとらえ方があまりに自然に変わってしまう。
その変容は異常なまでなのに
異常に至る過程に無理を感じないのが怖い。
特に、アドルフ・カウフマンの変わりようには背筋が寒くなる。
教育いかん、時代いかんで、人はこんな風にも変わってしまうものなのか・・・
