2年前に訪れた時は散ったあとだった。

今回は満開を少し過ぎた桜が出迎えてくれた。


福島県双葉郡富岡町夜ノ森。

桜並木がどこまでも続き

見事なピンクのトンネルができあがっていた。



2年前は途中にバリケードがあって

分断されていた桜並木。

一部解除されて800メートルの並木が

見渡せるようになっていた。


でもここ夜ノ森には全て合わせると

2.2キロの桜並木があるらしい。

まだその大部分が帰還困難区域内にあって

この10年間ひっそりと咲き続けている。



バリケードの向こうに続く桜並木。

ヒラヒラと舞い散る花びらがダイアモンドダストのようにキラキラ輝いていた。

スクリーンに映し出された風景のようでもあり、手を伸ばしたら届きそうなのに届かない、これ以上近づいてはいけない国宝や重要文化財のようでもあり、何だか色んな錯覚が交錯して、しばらくその場所から動けなかった。


2年前は不通だった電車も開通して

駅舎も新しくなっていた。


でも2年前にはあった家も中学校もお店も
その姿はもうそこにはなかった。

復興ってなんだろう。
寂しさと切なさが入り混じる感情。

でも桜を見上げる人たちの穏やかな顔と
ささやかでも桜まつりを開催してくれていた
地元の皆さんの優しさに触れて
またここに逢いにこようと思った。

少しでも桜並木の歩幅が広がりますように。