すべて忘れてしまうから毎晩1つずつ。余韻を楽しみながらゆっくり読んだ秋の一冊。すべて忘れてしまうから。おかしくて切なくて。日々の小さなユーモアと小さな痛みをなぞられる感覚。そういえばそんなことあったなあとかそういう気持ちになったことあったなあとか。ふとした出来事の積み重ねの日々の中で忘れてしまっている日常ともう一度出会わせてくれる。ただそれだけなのに。何だか日常が愛おしくなる。きっとそのクスッやチクッはすべて忘れてしまうから。