見事な三春の滝桜を観たあと向かったのは
福島県双葉郡富岡町「夜ノ森」。

ここで生まれ育った友人に教えてもらい
その地名の美しさに惹かれて行ってみた。

街に近づくにつれて
あちこちに張り巡らされたバリケード。
普通の街の風景の中に突如現れる
違和感を感じながらたどり着いた夜ノ森。

こんなにも見事なトンネル、初めて見た。
見頃は過ぎていたけど
雪のように舞い散る花吹雪が
今年もここでしっかり咲いたことを
知らせていました。

このトンネルの先の先まで続く桜並木。
でもその並木の途中に突如バリケードが現れる。

この境界線のこちらと向こうで何が違うんだろう。
同じ桜並木なのに
バリケードの向こうの桜は
どこか違う世界のもののように思える。

不思議だった。
家が学校がお店があるのに、
人の気配が全くない。
なんなんだろ、
このどこかに迷い込んでしまった感じ。

きっとここには毎日、
子供たちの笑い声が当たり前のように聞こえて、町や駅に向かう人達が行き交っていた。

そんな当たり前の風景に
一時停止ボタンが押されたような感じ。
風景は止まっているのに、
鳥のさえずりと
葉っぱが擦れ合う音だけが聞こえた。

ここに立たないと分からなかった現実。
2.5キロに及ぶという桜並木は、
どれだけ時間がかかっても待ち続けるよ、
と言っている気がしました。
今度は満開の時に会いにこよう。