Tが待っていると思うと店に帰りたくなどなかったが、店長の
「オレがおったらTもなんも言わんやろから、とりあえず帰ろう」
の声に、ドナドナの気分で足取り重く店へ帰る。
Tは、私の席近くで待ち構えるようにいた。
「言いたいことあるんやったら、直接はっきり言うたらええやん!」
ヒステリックに言うTに、無言の私。
言いたくても、体の震えが止まらず、声など出ない。
「ミッキーさん、別に言いたいことなんかないから、後で話ししますから向こう行っとってください」
店長はそう言って、新人さんが早めに来れるかどうかの確認の電話をし始めた。
新人さんは、幸か不幸かある社員の口利きだった・・・
向こうへ行けと言われたにも関わらず、その場を動かないT。
とても仕事のできる状態ではないが、取り敢えずパソコンに向かう私。
自分を見るでもなく、口を開くでもない私に、Tは更にフラストレーションを高めていく。
なんとか私の口を開かせようとでも思ったのだろうか?
その時の私の様子は、彼女には私が芝居をしているようにしか映らなかったようだ。
止まらない罵声。
とにかく、自分を貶めようとしたという思い込みから発せられる言葉は、聞くに耐えられないような有りえない言葉のオンパレード。
(後で読み返して思い出したくないので割愛します)
そして、最後に彼女はこう言い放ったのだ・・・
気に入らんことが有ったからいうて、仕事を放棄するなんて、
人として最低や!
と・・・・
遂に机に突っ伏してしまった私を見て、
そばでTELしながら聞いていた店長が、電話口を抑えて割って入った。
「後で話しする、言うてるやないですか!すぐ行くから向こう行って下さい!」
そう言った後、電話口の向こうに一旦TELを切る旨を伝えて受話器を置いた。
未だにぶちぶち言いながらTが去るのを待った後、店長が
「S店、行ってきてくれ」
と言った。
「?」
「S店行って、新人さんのこととか相談してきてくれ。その後はもう帰っていいから」
そう言って店長は、私を安心させるように笑ってみせた。
未だ震えの止まらない体を必死に抑えながら礼を言い、よろけるように店を出て、私はゆっくりと駅へ向かう。
この時、図ったように他のスタッフは出払っていた・・・
ホームに立った頃、着信があった。
「大丈夫?今どこ?ここまで来れる?H店へ私が行こうか?」
心配しきった声の主は、
あの、過去何度となく私と衝突してきたIだった・・・
ここまで流すことすらできなかった涙が、ついに溢れた・・・