「なおちゃん、がんばって!」
大きくなおと書かれたゼッケンを見て、追い越しながら声をかけてくれる。
しかし、なおに言葉を返すゆとりはない。
さらに「足痛い」といいだした。
「痛いよね。ゆっくり歩こう♪」
練習で疲れた時には
歌を歌って、しりとりして気をまぎらわせた。
それが全然反応なし。
よっぽど痛いんだろう。
「足痛い!足痛い!」
(ごめん、なお、何もしてやれない)
ついにはストレスで、僕の腕をバシバシ叩く。
「そんな力があるなら、前に進みな!」
先を考え、突っぱねた。
いつもならキレイな朝日が上がり、感動し、カメラにおさめる。
今日は雲が多くて、朝日も見えない。
ホノルルマラソン4年目
こんなのは初めてだ。
まだ15キロ、いったいどうやってゴールすりゃいいんだ(T-T)
「少し休もう」
道路脇に座り、なおの足を見る。
「どこが痛いの?」
「かかとから下」
靴下を脱がすと、予想通り濡れた靴で
足がふやけ、左足の裏が腫れている。
「これか…、こりゃ痛いわ」
無言で頷くなお。
ジュエリーエッセンスを取り出し、足全体と足裏にたっぷりぬってマッサージ。
靴はまだぬれている。
「携帯は復活したかな?」
取りだすと反応なし。画面が結露してる。
「ああぁっ!ない!」
マラソンのお守りの大事なエケコさんの携帯ストラップが切れてる…。
ガァァァーン!!
(幸いウエストポーチの奥にあった)
こりゃ、いったん自分をリセットしなきゃダメだ。
再び歩き始めて、トイレを見つけ
「なお、パパトイレ行くから、先に行ってて!」
なおがひとりで歩く後ろ姿を見送った。
みっきー
