抱きしめてみると、
ジュンスは腕の中にすっぽりと入ってしまった。
香水とは違う、ジュンスの匂い。
心臓がドクドクと鳴って、ジュンスに伝わってしまわないか不安になる。
こんな形でしか、抱きしめる事が出来ない事が辛い・・
君にこんな形でほんとの気持ちを伝える事になってしまったけど、
君は一生知らなくていいから、
今日は俺を怖がらないで・・・。
「愛してる」
誰にも聞こえなければいいのに、そう思いながら耳元で囁く。
身体を少し引いてから、ジュンスの唇に口付ける。
普段話しているときに滑らかに言葉を紡いでいる唇は今はギュッと結ばれていて、君の緊張が伝わってくる。
このままじゃ、NGになるかな・・・
一度止めてもらって仕切り直そうか考えて、やめた。
君の気持ちを無駄にすることになるし、それなら早く終わらせてあげた方がいい。
ジュンス、ごめん、ちょっと我慢して。
心の中で謝ってから、一度唇を離す。
ジュンスが申し訳なさそうな顔で見上げてくる。
耳まで真っ赤になっているのがかわいい。
「愛してる」
今度は目を見てはっきり伝える。
驚いたジュンスの目が丸くなる。
何か言おうとしたのかわずかに開いた口を塞ぐ。
「・・!!」
今更になってジュンスの唇の感触がリアルに感じられて、だんだんと余裕がなくなっていく。
「・・ん・・ぅ・・」
苦しいのか、ジュンスが小さく声を漏らした。
ごめんね、ジュンス。
俺は我慢できないかも。
ぎこちないままこのキスを終わらせることも、
君への気持ちを隠したままでいることも・・・。
わずかに唇を離して、またすぐ合わせる。
キスをしながら、閉じられた君の唇を舌でなぞってみる。
君の身体がわずかに震えた。
「はい、カットー」
その声で我に返ってジュンスを離すと、君はまだ頬を赤らめながら息を整えている。
その表情が妙に艶かしくて、視線を逸らす。
なんでそんな目で俺を見るの・・・
嫌だったんじゃないの?
なんでそんな切ない顔するんだよ・・・バカジュンス。
「オッケーです!お疲れさまでした~!」
辛いのを表情に出さないように、精一杯笑顔を作る。
ごめんね、嫌な思いをさせて。
ジュンスを見ないようにして、撮影セットから降りる。
「あっ・・・!」
後ろで声がしたので振り向くと、ジュンスが階段を踏み外して、こちらにむかって倒れてくるのがスロー映像になって見えた。
考えるよりも先に身体が動いて、ジュンスを抱き止める。
「だ・・・大丈夫・・?」
「ごっ・・ごめん・・!だ、大丈夫・・!」
そう言うなりジュンスは足早にスタジオを出て行ってしまった。
「ユチョ~ン!!よかったよぉ~~」
ジュンスが出て行くのと入れ替わりで肩に腕を回してきたのはジェジュン。
何も返す言葉が見つからなくて、黙ったままの俺。
「・・・ジュンスの顔、見た・・?」
え、ジュンス・・?
「見る余裕があると思う・・?」ため息まじりに返す。ほんとにこの人は気が利くんだか、おせっかいなんだか・・・。
「ジュンス、すごい良い顔してたよぉ~。あれは・・あれだ。乙女だね!!!」
「・・ジュンスが?!乙女!?」つい吹き出してしまう。
「ユチョン・・これはもしかすると、もしかするかもよぉ~?」言ってからあっはぁ!と大きな声で笑う。
「・・・ないない。はっきり言われたよ、なんでキスしなきゃいけないの・・!って。」
「それは照れ隠しってもんだろう!」両手を顔の横に持っていくジュンスがよくやるポーズを真似ながら言うジェジュン。
そんなわけないのに・・・。
俺は男で、君も男・・・
そんなこと世間は愚か、神様だって許しはしないよ・・・
********
「ぼ・・・僕は一人で見るから・・!!」
完成したMVのチェックで予想通り逃げ回るジュンス。
あれからなんとなく恥ずかしくて、二人ではまともに話をしていない。
あっけなくジェジュンに捕まったジュンスはモニターの真正面に座らされている。
再生ボタンが押されて、個人のシーン。
最初はユノのシーンで、ユノが女性に愛してる、と呟く。
ちらっとジュンスの隣にいるジェジュンの横顔を伺うと、
これ以上無いくらい純情乙女みたいな顔でふて腐れていた。
これはバレるのも時間の問題か・・・。
そんなことを考えているうちに、自分のシーンが近づいてくる。ジュンスが顔を手で覆うのがちらっと見えた。
(ジュンス、すごい良い顔してたよぉ~。)
ジェジュンの言葉が思い出される。
一度だけ、ジュンスの顔が映るシーンがあった。
そこには今にも泣き出しそうな切ない顔でキスをされている君。
よかった・・・
・・・決してキスを嫌がっている顔じゃなかった。
1回目のキスはやっぱりカットになっていて、2回目の表情のほうが良くなっている。
安堵したのと同時に、再び恥ずかしさがこみ上がってきて、思わず俯く。
1回目のキスがカットになったことを、ふて腐れるのを止めたジェジュンが突っ込んでくる。
「いや、ジュンスの緊張がひどかったから、
このままじゃNGが出ると思って。
2回目はほんとはするつもりじゃなかったけど・・・。
そのときの雰囲気で撮りたかったから
止めて欲しくなかったんだよね。」
もちろんそれもあったけど、ただこのまま終わりにはしたくなかったのが・・本音。
「さすがユチョン!変態!でも2回じゃなくて3回しただろ!!」
さらに突っ込まれて含んだお茶を吹き出しそうになる。
「そうだったかな~?」笑いながらなんとかごまかす。ジュンスは何か言いたそうな顔をしていたけど、無視した。
今何か聞かれたら、まともに答えられる自信が無いから。
「ジュンス、すごい綺麗だな。まるでほんとに女性みたいだ。ユチョンがうらやましいな!ははは!」ユノもジュンスを絶賛しながら何度も繰り返し見ている。
「ヒョン・・・見過ぎです。」
恥ずかしがるジュンスを助けたのはチャンミンで、そのままMVのチェックは終了した。
to be Continued・・・
文字数制限にひっかかり・・・まさかの4部作になってしまいました・・・;;
これじゃ全然読み切りじゃない・・・。
最後までアップしましたので、許してください!!;;←