前回投稿した加害者の勤務先の行政処分について、県は大規模不法焼却(伐採した木13トン焼却)を行った事業者に対し、90日間の事業停止処分にとどめ、許可取消処分にしませんでした。

因みに、県の取扱要領p4の行政処分基準では、以下の通り不法焼却(法第16条2)は未遂を含み 許可取消と記されています。

環境省の処理基準の通知(※1)でも「不法焼却は許可取消」です。
そしてこの環境省通知には「本基準に基づき厳正か つ迅速な行政処分を行われたい」「事案に応じ、本基準以上に厳格な処分を行うことは、本基準の趣旨に反するものではない」と書かれています。

しかし、今回の処分は犯行(2019年1月)から2年以上が経過しての行政処分となり(迅速な処分ができなかった)うえに、取消処分にもならなかった(環境省や県の基準以下の処分となった)わけです。



また環境省行政処分の指針では以下の様に記されています。

【趣旨】p8(原文のまま)
産業廃棄物処理業者が不法投棄等の重大かつ明白な違反行為を行っているに もかかわらず、原状回復責任を全うさせること等を理由に許可の取消処分を行わず、 事業停止処分等にとどめる事例が見受けられるが、当該運用は、不法投棄等の違反行 為を事実上追認するものであり、適正処理を確保するという許可制度の目的及び意義 を損ない、産業廃棄物処理に対する国民の不信を増大させるものであるばかりか、違 反行為による被害を拡大させかねないものであることから、著しく適正を欠き、かつ、公益を害するものである。したがって、こうした場合には、 躊 躇 することなく取消処分を行った上で、原状回復については措置命令により対応する。

今回の処分は環境省の指針に基づき行われたのでしょうか…
13トンもの不法焼却が、重大な違反行為ではないと判断されたのでしょうか…


【処分内容の決定】p16
違反行為に対する処分の内容としては(上記※1のリンクの)環境省大臣官房廃棄物.リサイクル対策部長通知「廃棄物の処理及び清掃に関する法律第14条の3に係る法定受託事務に関する処理基準について」により行われたいこと。

上記にも書きましたが、処理基準から処分内容を決定したら「不法焼却は許可取消」です。
国の基準よりも軽い処分とし、他県や既に処分を受けた他の事業者との公平性は保たれているのでしょうか


また環境省行政処分の指針p2〜p3によれば、行政処分は「違反行為の事実を行政庁として客観的に判断できれば足りる」「刑事処分を待つ事なく」「迅速に行う」等とも書かれています。

要するに県は迅速に不法焼却の事実を確認し行政処分(許可取消)を行うことが求められていたと思います。

私は今回の処分を知り
①どの様な根拠に基づき処分が決定されたのか
②何故迅速な処分が実現できなかったのか
③今後どのような点を改善すれば実現されるのか
(犯罪に対する情報を県警と地方自治体は共有できているのか等)疑問が生じております。


今回、私は県を責めるつもりでブログを書いたのではありません。(悪いのは不法焼却を行った者です)県が環境省の指針を実現するには、県警との連携も必要だと思いますし、他にも色々見直される点があるのではないかと思っています。幅広い目で見直され、より良く改善していただけるよう、皆様にも関心を持っていただけたら有り難いと思います。


廃掃法の立法趣旨は「現状に即応した廃棄物の処理体制を確立し、もって生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることとするものであること」のようです。
それを実現するための行政処分の処理基準ではないのでしょうか…

どの様な理由で処分が決定したのか分かりませんが、生活環境の保全など考えもせずに自分だちの都合で大規模な不法焼却を行った悪質事業者が排除されない処分となってしまいました。現場近くには店舗や金型部品会社、少し先には小学校もあります。

周辺住民の皆様に今後危害が生じるようなことが起きないことを祈るばかりです。