お子さんのいない夫婦の相続

 よく「争族」などとメディアに取り上げられていますが、その中で「もめる」可能性の高い類型の一つが「お子さんのいない夫婦の相続」です。
 その理由としては次のようなものが挙げられます。

1.被相続人の兄弟姉妹甥姪も相続権を持つ

 メディアでよく取り上げられる(そして「だから遺言書を残すのが大事です」と続く)のでご存じかと思いますが、お子さんのいない夫婦では疎遠な甥姪が相続人になる可能性があります。

 相続手続きは遺言書がない場合は相続人全員が共同で行う必要があります。日頃疎遠でよく知らない甥姪とお金が絡む話をまとめ、なおかつ一緒になって行うのは相当な負担です。
 甥姪の方もある意味しがらみがなく、いわば濡れ手に粟の機会とも言えるので、大抵は1/4の法定相続分を要求してきます。見知らぬ甥姪に夫婦で築いた財産の1/4を渡すも苦痛、渡さぬよう交渉するも苦痛、しかも手続きの協力は仰がないとなりません。

 もっとも、相続人になるには優先順位があります。配偶者は常に相続人になりますが、血族には順番があります。第1順位は子ども(子どもが先に亡くなっている場合は代襲相続で孫、直系卑属といいます)、第2順位は親(や祖父母、直系尊属といいます)、第3順位が兄弟姉妹(とそのうち被相続人より先に亡くなっている兄弟姉妹がいる場合はその子どもである甥姪が〔代を襲って〕代襲相続人となります)。

 ですので、叔父さんの場合、現時点では第2順位となり、推定相続人は配偶者の奥様とお母様のお祖母さんとなります。万が一、お祖母さんが亡くなられていた場合は第3順位となり奥様と兄弟姉妹となります。兄弟姉妹が今いなくても、夭逝した兄弟姉妹の子がいる場合は甥姪が代襲相続人になるため注意が必要です。

 余談ですが、相続手続きの際は最低限、被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡までの戸籍(転籍や改製などで再編されるのでもれなく取得する必要があります)が必要ですが、子どもがいない場合は両親の出生から死亡までの戸籍も取得して、兄弟姉妹がいないか確認する必要があります。兄弟姉妹で亡くなっている方については、その方の出生から死亡までも取得します。甥姪という代襲相続人がいないか確認するためです。被相続人が戦前生まれの方の場合、当時は兄弟が多かったので、戸籍謄本を50通も取得するようなケースもあります。(戸籍を見慣れていても、20通を超え始めると若干うんざりしてきます)

 一方、奥様の場合、まず旦那様は相続人ですが、奥様のご両親か奥様の兄弟姉妹甥姪が相続人となります。配偶者の親は(養親となっている場合を除いて)相続人になりません。

 なお注意を要するのが夫婦同時死亡の場合ですが、この場合は夫婦互いが相手の相続人とならないとされています。つまり、旦那様の相続人はお母様1人となり、お母様が先に亡くなっていた場合は相続人不存在となり、遺産は国庫に帰属することになります。一方、奥様の相続人は奥様方の血族のみとなります。

 さて、相続人の優先順位は以上となりますが、このうち子や親には遺留分というものがあり、遺言で財産配分を指定しても、遺留分相当の財産について請求があった場合はその分は与える必要があります(親がいる場合は、「配偶者に全て」としても、親が配偶者に遺留分を請求してきた場合には、配偶者は遺留分相当を渡す必要があります。請求してこなければ遺言書どおりとなりますが)。一方、兄弟姉妹には遺留分がないため、「配偶者に全て」とすれば兄弟姉妹に財産が渡ることは(夫婦同時死亡の場合を除き)ありません。「お子さんのいない夫婦に遺言書が必要」というのはこのためです。

2.代々の財産が別の家に流れる恐れがある

 夫婦で遺言を書こうと思い立った時、意外と障害になるのがこの問題です。夫婦で築いた財産については問題ないのですが、先祖から受け継いだ財産については本家に返したいというニーズも少なくありません。ここで夫婦の意見が食い違ってしまい、遺言作成自体が流れてしまうこともあります。
 遺言書で「配偶者に全て」とすると、祖先の財産も配偶者に行ってしまい、配偶者の家系に移ってしまうことになるのです。かといって、遺言書では自分の財産の処分はできますが、その先まで指定することはできません。「配偶者の生存中は配偶者のものだが、配偶者が亡くなったら本家の誰それに相続させる」と言う遺言はできない(それを擬似的に実現する信託商品はなくもないのですが)のです。
 そのため、方法としては、a.配偶者の遺言で本家に戻して貰うようにしてもらいその遺言が変更されないことを信じる、b.はじめから祖先の財産については本家の受遺者を指定する、c.財産リレー承継信託商品の開発を待つ、となります。
 なお、cについては金銭についてのみなら財産承継信託という商品があり、受益者に定期に定額で交付する(だけの割に報酬が高い)信託の予備的受益者として受益者死亡の場合の信託財産の帰属者を定めることができます。ただしこの信託商品が個別性が高く、遺言者のニーズどおりの信託が設定できるか、受託者の信託銀行の受託判断によってはそもそも設定できない場合もあります。

寄付に関わる課題

寄付は生前に行うのは簡単ですが、遺贈で行うのは様々な制約がありハードルが高いです。

1.みなし譲渡所得税の問題
 価格変動のある不動産や証券(ゆうちょ等で購入した日本国債も含みます)を寄付する際は税金の問題が複雑になります。

 a.課税法人(自社等)への寄付
 課税法人(自社等)に遺贈する際は、法人側に特別利益等の会計処理も必要ですし、遺言者は無償で遺贈しているにもかかわらず「時価で譲渡したものとみなされ」譲渡益に課税されます(さらに自社等の株主にも経済的利益があったとして贈与税がかかることがあります)。このため、紛争調停のできない信託銀行等の遺言執行者が、課税法人への遺贈の遺言執行を予諾することは通常ありません。

 b.非課税法人(公益法人:教育法人、宗教法人等)への寄付
 非課税法人への遺贈の場合も、租税特別措置法40条に規定される特別な場合を除いて、「時価で譲渡したものとみなされ」譲渡益に課税されます。

 この租特法40条の要件は以下の通りですが、要件を満たすのはかなり厳しいです。
ア、寄附財産が寄附日から2年以内に公益を目的とする事業に「直接」供されること。
イ、寄附した人の所得税、親族等の相続税等の負担を不当に減少させないこと。

 ここでハードルが高いのが「財産が公益目的に直接供される」というくだりです。財産が現状を維持したまま公益目的に供されなくてはなりません。換金した金銭を公益に供するのではダメということです。
 例えば、「全室空室になっているが手入れはされていていつでも使えるワンルームマンションを一棟まるごと学生寮として寄付する」ぐらいで、やっと国税も認め、寄付先も受けるかもしれないというレベルです。
 国債や有価証券は当然のごとくそのままの証券の形では公益目的に使いようがありません。しかし換金すると「直接」供したことにはなりません。

国税庁>申告・納税手続>税務手続>譲渡所得税関係>[手続名]租税特別措置法第40条の規定による承認申請手続>公益法人等に財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税の特例
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/joto/annai/23300007_01.htm

2.寄付先が遺贈を受けるか?
 また、実際に寄付先が寄付を受けてくれるかという問題もあります。寄付先にも寄付先の事情がありますので、必ずしも寄付を受けてくれるとは限りません。

 a.紛争に巻き込まれる可能性
 例えば相続人がいるのに全財産を寄付するというような遺言の場合、寄付先は遺贈を放棄する事が多いです。遺留分侵害請求があった場合、寄付先がそれに対処するのは難しいためです。また、遺留分がない相続人であっても、公益団体がその相続人の意向を無視して寄付を受けることはまずありません。
 ほとんど自明の理屈ですが、そもそも公益を目的とする団体が、遺留分という民法で規定された私人の権利を侵せるかといえば答えはNOです。また、財産を貰えなかった相続人が風評リスクの元となることもあります。公益を目的とする団体にとって「阿漕な寄付金集め」という評判は致命傷です。

 b.収益物件を寄付できるか?
 賃貸マンション等の賃貸物件を寄付できるかといえば、ほぼ不可能です。公益団体が賃貸経営をするのは難しいですし、売却するとしても手間がかかります。万一、違法建築だったりしたら売却も困難です。更地にして利用しようとすると入居者に退去して貰う必要があります。公益団体が入居者を追い出すわけには行きませんから、あまり現実的ではありません。また、万一、入居者に反社会的勢力がいた場合、公益団体としては苦しい立場に立たされます。これらの理由により賃貸物件を寄付できるのは極めて稀なケースです。

 c.みなし譲渡所得税
 前記のみなし譲渡所得税ゆえに、寄付を断られることもあります。みなし譲渡所得税の負担者(遺言書で未払い公租公課の負担者に指定した人)とトラブルになるケースが多いですし、前記”ア”記載の「2年基準」を満たさないと寄付先がみなし譲渡所得税を負担することになるためです。

 ・通常は現金での寄付しか受けません。
 上記のようなことがあるため、税制の恩典の受けられるような名の通った公益団体の場合はそもそも現金でしか寄付を受けないところが多いです。不動産は言うに及ばず、有価証券でも国債でもダメで、問い合わせても「現金のお振り込みのみ」お受けしますとの回答が返ってきます。

 例外としては、現時点では、「あしなが育英会」「交通遺児育英会」がみなし譲渡所得税も団体負担として自宅等の不動産を受けることがあります。ただし、将来の遺言効力発生時までは保証しがたいとして、このような案件の執行予諾はかなり難しいです。

 また、自宅はその自治体が受けてくれる場合がありますが、これも自治体の方針によるので、将来を保証するものではありません。言うまでもありませんが、増築や造作設置の結果、違法建築になってしまっていた場合は自治体が受けるのは困難です。

 意外と気づかずに他愛ない理由で違法建築になってしまっているケースはあります。自治体が受ける意向のケースでも予め調査しておく必要があります。(売却相談を装って不動産業者に調べて貰うと良いかもしれません。)

 ・寄付先が寄付に慣れているか
 遺贈を受け慣れている団体なら良いのですが、檀家のみで運営されている寺社等、寄付先が遺贈を受け慣れていなくて、受けてしまって取り消しが効かなくなってからトラブルが発生し、却って迷惑をかけてしまうケースもあります。予めご住職に遺贈の意思をお伝えし、それに伴う具体的な相続手続きや税制について十分にご理解を頂いておく必要があります。
 全国組織のある宗派の下部組織の寺社等の場合は、上部組織が慣れていてスムースに行く場合が多いですが、こればかりは寄付先に、みなし譲渡所得税についての理解を含めて、具体的に聞いてみるしかありません。(意外と通常の寄付には慣れていても遺贈は不慣れということもあります。)

3.みなし譲渡所得税の納税処理
 みなし譲渡所得税に係わる税制は複雑なため、寄付案件の場合は相続税に詳しい税理士さんに予め納税まで依頼しておくのが賢明です。個人の受遺者がいる場合は、うまく預貯金等の「真水」から寄付し、有価証券は個人が取得したとして申告し、みなし譲渡所得税の発生を回避してくれることがあります。(有価証券が多すぎて寄付先の分が真水にならないとダメですが。)
 しかし、相続税の申告が不要な財産額の場合、寄付だけのために税理士を付けることに難色を示されることがあります。その場合は金融資産は問答無用で換金してから現金を寄付するという構文にしてみなし譲渡所得税の発生を回避させようとする事があります。(換金のできない仕組み預金などがある場合の扱いが微妙になりますが。)この場合の実務は以下のようになります。

<納税実務>
 実務的には、執行者が換金し、執行者宛に来る税務調書を相続人に提示し、相続人が金融資産の取得割合で納税する。

 税理士は申告の際、下記のコメント文書を添付し申告する。
 「寄付先に担税能力が無いので、金融資産の取得者が、寄付を除いた金融資産の取得割合を算出しその割合で共同負担する。」(税務当局は徴税できれば、贈与が絡まない限り納税者が誰かは深く追求しない面があるため。)

(この割合は金融資産の配分記載が、a.割合配分、b.先取り寄付で残余相続人、c.先取り相続人で残余寄付、いずれの場合も寄付を除いて相続人間の割合を算出。)

<問答無用換金の実現譲渡課税とみなし譲渡課税の違い>

a.実現譲渡課税:はじめから換金
①申告時期
 相続人に名義変更した後に相続人が売却したとみなされ、各相続人の2月の確定申告。
②課税可能性
 実現益なので課税可能性は100%
③負担者
 金融資産を相続する者が連帯

b.みなし譲渡課税
①申告時期
 被相続人の所得ゆえ、準確定申告(相続発生から4ヶ月以内)
②課税可能性
 租特法40条は現物のまま保有し、公益目的に供していた場合の非課税の恩典なので、金融資産はまずかかると言って良い。
 不動産も現況で公益目的と合致する必要があり特殊な形態でない限りまずかかる。
③負担者
ア、2年間で一度も公益の用に供されたことのない場合
・遺言書で未払い公租公課の負担者として指定された人。
・相続税の申告をしていない財産規模の場合、相続人全員に課税調書が届くので、それが届いてから未払い公租公課負担者に遺言書に従うよう、相続人間で交渉が発生。
・課税調書が届くのは当然ながら2年の判定期間後であり、相続に係わる税金のことなどすっかり忘れた頃に突然届くので、もめ事になりやすい。
・この場合の課税時期は2年の判定期間経過後から4ヶ月以内(準確に準じる扱い)。
イ、一度は公益の用に供されたが、2年後の判定の時期には供されなくなっていた場合
・寄付先を個人とみなして寄付先に課税。

 上記のように、遺贈による寄付は、財産配分のない相続人に納税負担が生じたり、取得金融資産以上の納税額となってしまったり、2年後に問題が蒸し返されたりと、よくよく事前準備をしておかないと遺言の意図が実現できない事態となりやすいです。また、準確定申告の4ヶ月以内というのも時間的に極めてタイトです。葬儀をやっと終わらせて落ち着いてきた四十九日経過後に相続手続きを始めるとすると残りは2ヶ月程度しかありません。この意味でも事前の税理士との連携が重要です。

 なお、私もプロとして最善を尽くしてこの文書を作成していますが、やはり税務の専門家ではないため、税務については伯父さんに相談なさるのが良いと思います。(なにしろ徴収側の元締めですから。)(また、もし私の理解が違っていたらフィードバックをいただけるとありがたいです。)

相続人不存在の課題
 お子さんのいない夫婦で注意を要するもう一つの点は「相続人不存在となる可能性がある」ということです。
 ご夫婦ともに健在な現時点では想像しにくいかと思いますが、ご夫婦お互いが相手の唯一の相続人という状況だと、どちらかが亡くなったら相続人不存在となります。
 またこのときに夫婦お互いに「配偶者に全て」の遺言の場合、受取者が先死している遺言となり、受取者不在で遺言は無効になります。
 このため、予備的遺言として、「配偶者が遺言者と同時にまたは遺言者より先に死亡していた場合は下記の通りとする」という文言で、その場合の意思を記載しておくことが重要です。
(もちろん配偶者が亡くなってから書き換えることもできますが、意思能力のない者の遺言は無効とされるので必ずしも書き換えができない場合があり得ます。)

 相続人不存在だと何が問題かというと、遺言書がない場合、財産は国庫に帰属してしまうということです。また、全財産(或いはその何分の一)を誰々に遺贈するという「包括遺贈」でない場合、例えば不動産は誰々に金融資産は誰々と誰々に遺贈するというような「特定遺贈」の場合、「相続財産管理人」を選任する必要があり、この選任にも様々な費用がかかります。
 最も高額になり得るのが不在者財産管理人報酬予納金(裁判所に納めておく費用)で5万円から100万円(財産額により変動)必要です。また、管理人には通常裁判所の指定する弁護士等が就任するため、別途報酬が月に10万等となかなか馬鹿にできない金額がかかります。

 通常、財産が国庫に帰属するよりは、ご自身で使い道を決めたいという方が多いので、相続人不存在の可能性がある場合は、一世代以上若い方へ遺贈するような予備的遺言(予備の予備のこともあります)まで記載した遺言書が必要です。
 執行を業務として行う予諾の場合は、財産が国庫に帰属することとなると報酬無しのただ働きとなるため、とてもシビアに検討されます。

出生から死亡(現在)までの戸籍の収集のやり方
 ついでなので戸籍収集の方法も解説します。

 戸籍には現在有効な戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)と、記載されている全ての人物が除籍されてしまった除籍全部事項証明書(除籍謄本)、法律により戸籍が改製された際の改製前の改製原戸籍謄本(”はら”戸籍と読みます)があります。
 このうち、現在戸籍はこれから変わり得ますが、それ以外の除籍謄本や改製原戸籍は既に固定されているのでいつ取得したものでも有効です。そのため普通は、遺言作成のために取得したものを、相続発生時に転用することもできます。取得はそれほど難しくないので、個人的には時間がおありでしたらご自分でなさるのがオススメです(パズルのような頭の体操にもなります)。

 通常は、出生時の戸籍は除籍謄本で(稀に改製原戸籍)、そこから婚姻で除籍するか、旧法戸籍(戸主制の家単位)で婚姻して残っていたが法改正で新戸籍(家族単位)が編成されるかとなります。その間に転籍があったり、改製があったりして、現在戸籍に至ります。

 ですので、特に引越もせず転籍をしていなくても、出生時、婚姻時、改製が数回と、最低数通は取得することになります。発行手数料は一通あたり約1,000円弱なので、20通とかになるとあっという間に数万円になります。また、取得を行政書士等に依頼した場合はその報酬もかかります。
 (個人情報保護のため、現在は戸籍謄本発行条件が厳しくなり、遺言書作成のためでは発行してくれない自治体も稀にあります。また、業法等の定めにより遺言書作成のための戸籍取得は司法書士資格だと取れないものが行政書士資格だと取れるということがあり、ダブルライセンスを持つ事務所に依頼するのが良いです。)

 具体的な取得方法は、役所に問い合わせるのが一番確実ですが、戸籍記載の本籍地の役所の窓口で請求するほか、古い戸籍の本籍地だと遠方の場合も多いので、郵送で本人確認書類のコピーと手数料を郵便小為替で添えて請求することもできます。特に難しくはありません。

 一方、ややコツがいるのが戸籍の連続性です。「出生から現在(死亡)までの連続した戸籍」を揃えるのはキチンと確認しながらでないと、専門家に依頼しても漏れることがあります。
 ポイントはその戸籍の有効期間(いつ編成され、いつ除籍または改製されたか)と、その人の在籍期間(いつ戸籍に入ってきて、いつ除籍されたか)、そして本籍地です。

 戸籍の有効期間は冒頭や筆頭者の欄に、元の本籍地誰々の戸籍より家督相続・分家等の理由によりいついつ新戸籍編成、何々の理由により本戸籍消除いついつ、と記載があります。
 その人の在籍期間はその人の欄に、出生の届け出により入籍とか、婚姻により本籍どこどこ誰々の戸籍よりいついつ入籍とか記載され、本籍どこどこの誰々と婚姻のため除籍とか、分家により本籍どこどこに新戸籍編制のため除籍とか記載されます。
 当たり前のことですが、戸籍の有効期間内にその人の在籍期間があります。その人の戸籍記載事項には前の戸籍から引き継いで記載されている事項もあるので、期間が飛び出ていないか注意しながら戸籍を追うと連続もれを防ぐのに役立ちます。
 
 本籍地も重要な情報です。役所では戸籍の見出しとして本籍地と筆頭者を用いています。戸籍の異動時には必ず従前戸籍の本籍地と筆頭者が記載されるので、現在戸籍から出発して、その2つを手がかりに1つずつ前の戸籍をその本籍地の役所に請求してゆくことになります。

 叔父さんの場合、現在戸籍は筆頭者が叔父さんならご夫婦のみの記載、筆頭者が亡父であればお祖母さんと叔父さんご夫婦の4名が記載され、亡父が死亡除籍されているという状態だと思います。現在戸籍はおそらく平成の戸籍電算化の改製で編制され、それより前の戸籍は同じ本籍地同じ筆頭者の改製原戸籍だと思われます。おそらく転籍はしていないと思いますので、その前は昭和の改製でしょうか。その前は婚姻による新戸籍編制だと思われますが、もしかすると亡きお父様の戸籍に奥様が婚姻で入ってきただけのケースも考えられます。そのまま出生まで遡ります。
 ご両親の戸籍を遡るのはなかなか大変だと思います。家督相続制度のため、同じ本籍地で筆頭者の異なる戸籍がありますし、分家もよくあります。(家制度時代の習慣のための小細工と思われますが)なぜか同日付で一旦転籍し再度同じ本籍地に戻ってきたりすることもあり、戸籍読み泣かせです。まず文字が草書で読みにくいですし。

 あ、でも、亡きお父様の相続手続きである程度戸籍を収集しているはずですので、それが残っていれば流用できると思います。先に記載したとおり、閉鎖された戸籍は不変なのでいつのものでも原則有効ですから。奥様の方が収集は大変かもしれません。


以上、まとめ始めたらとても大作になってしまいました。私自身の知識の整理にもなったので良い経験となりましたが、休日にまとめるのはなかなか大変で、気づけば実家ににお邪魔してからひと月近く経ってしまいました。お便りが遅くなりまして申し訳ありません。お役に立てていただければ幸甚です。
 
Twitterで私がフォローしている知人がこんなエントリを書いていた。

 最終段落までは肯けるんだけど、何で最終段落は「……しなくてはならない」と息苦しいのだろう。そして、最後の一文は上から目線なんだろう。

 というか、この論理展開で、結論が「好待遇に見合う仕事しろ」とどうしてなるのか私には理解不能だ。
 ノブレス・オブリージュは「思っているだけ」では意味がないし、自分だけで完結する独りよがりの行動でも意味がない。「領地・民のために何を為すか」という「他者を指向した行動を為せ」という規範だ。

 好待遇の見合う仕事をしたところで、世界の民は幸福になるのか?全くそんなことはない。本件では好待遇と仕事の質に相関はほとんどない(それが故にうしろめたく感じて「好待遇に見合った仕事を」と思ったのかもしれないが)。本件において好待遇を保証するのは日本とサウジとインドの国力差だ。「日本企業で見合う仕事」をすると言うのは殆ど日本の輪で閉じている。

 日本人であるが故に「ノブレス・オブリージュ」を自覚するというのなら、日本の輪の外に働きかけるのでなければ意味がない。なに、簡単だ。強力な円がそれを保証してくれる。どんなに無能でも、月に弁当一食分(25SAR=約700円)も出せば多くの民を救える。
 貴族の義務を伝承するのも貴族の義務のうちだが、範を垂れる方が義務を履行していなければ虚しかろう。

 たまたま日本に生まれ、日本の豊かさを享受できるのは幸運なことだ。もし生まれるところが違っていたらと想像するのも大事なことだ。しかし、だからといって豊かな日本の生活に背を向けたところで誰も幸せにならないし、たまたま日本という国に生まれて標準的な教育を受けたが故に世界の悲惨さに思い至らない人を非難したところで誰も救われない。

 正論を喋るだけの人より、無能でも硬貨一枚の支援をくれる人の方が、貧困地域の人からすればありがたいのは自明だろう。明後日の方向にエネルギーを割くぐらいなら、確実な一歩を踏み出す方が良いと私は思う。
ガザ地区から原子力施設に向けロケット弾 イスラエルは地上戦も視野
というニュースに、反原発の方々は「活断層やら津波やらに原発リスクの争点にするのは、論点を意図的にずらしてるとしか思えない。原発のリスクは、ここにあるような人災。」って大喜びですが、一応、説得してみました。


何度でも言うけど、戦争は効率の世界です。
砲の射程内にある本件と日本の原発に類似点はありません。

日本の原発を攻撃するには、海を越える射程が必要で、それを可能とする兵器で日本周辺国が保有しているのは、IRBMです。命中率の悪い弾道弾で施設攻撃もナンセンスですが、何より、IRBMに戦略兵器を積まないのが、意味不明。

原発を狙うというのは戦略攻撃だけど、そのシチュエーションだと、都市に対して、真っ当に戦略兵器が使用されている状況。
そのとき、敵の優先順位では都市のほうが原発なんかより断然高いよ。原発を核で吹き飛ばしてなんか意味あるの?

原発を狙うことのできる兵器は、都市を核で焼くための兵器なんだけど、なんでわざわざ原発を狙わなければならないの? ダーティーボム弾頭撃ち込めば原発攻撃するのと戦果は変わらないし、そちらの方がはるかに容易い。

テロとしては、都市を直接狙いますよ。地下鉄テロの有効性は他ならぬ日本人が証明してます。
テロとしての心理的効果? 数十人から数百人が死に、数千人が負傷するガスの方がよほど恐ろしい。

なんで日本がテロをうけるシチュエーションで、日本人が殺されずに、たかが施設の破壊で済むと、無邪気に信じられるのか、疑問です。
これが、宗教や国体の象徴の施設ならまだわかりますけど、日本にテロを行う人は別に日本の原発は憎悪してないと思いますよ。

日本人を殺すなら、都市でガスかダーティーボムです。それが最も容易に日本人を殺せます。ド田舎の原発を破壊する手間よりはるかに殺害の効率が良いです。

自然災害のリスクならまだ頷けますが、原発がテロの標的となるというのは、原発反対というポジションによる願望に過ぎません。

それでも原発を狙うと仮定するなら、日本は脅したいけど、日本人は殺したくないという優しい敵ですよ。そんな組織あるんですかね?
強いて言えば、日本から支援を引き出したい(つまり日本に無事でいてもらわないと困る)瀬戸際外交やる国ぐらいですが、原発なんか狙ったら戦争ものなので、瀬戸際外交としても有り得ないです。

原発が攻撃対象になるシチュエーションとしては、攻撃側にガスも放射性物質もなく、通常爆弾しかなく、でも放射性物質汚染で国土を焦土にしたいという状態ぐらいしか私には想定できませんね。
それは、日本が外国の完全占領下に置かれて、日本人に国土回復は絶望的というシチュエーションぐらいですよ。

ガスも放射性物質も特殊部隊も用意できる国は、原発なんて狙ってるヒマがあったら、都市を狙いますし、或いは、自国に不利益な要人を暗殺しますよ。

戦争は経済的なメリットがあるから行われるので、日本を占領したいなら、国土は汚染させないし、経済力を吸収したいなら、エネルギー源は潰さない。日本経済を潰したいなんて(世界経済はもはや国々に切り離せないので有り得ないけど)勢力が仮にいても、戦争よりもリスクの低い攻撃を、例えば技術者の引き抜きとかで、十分目的は果たせる。

原発攻撃なんて、帯に短し襷に長しの典型例。

自然災害リスクは色々な見解があり得るけど、軍事標的となるリスクはない。
軍事はどれだけ味方のリソースの犠牲を少なく敵の犠牲を多くするかという、悪魔の投資行為。リスクとリターンが見合ってない投資が行われることはない。

ハマスだって、あの地区を手に入れることはないと思っているからこそ攻撃したのでしょう。仮にパレスチナ人が被爆するとしても、それ以上にイスラエル人を被爆させたいのでしょうし。


ここまでで、各論の積み上げをしても総論にならない、戦争になると非合理な判断も多い、と言われたので、諦めモードに。
やはり彼らには何を言っても無駄なのですなぁ。

喩えるなら、
食品添加物は人体に有害(広範囲カバー)に対して、a発がん性が(自然災害)、bテロリストに致死量混入される危険が(戦争)、の主張が添加物反対派から提示されていて、私はbはテロなら毒物混ぜるから添加物増量とかはまずしないよって言ってるだけなんですけどね。
そして確かに「絶対ないか」と言われれば、「絶対とは言えない」ので、まさに議論に「絶対」を持ち込まれたら、構造として説得不能です。ツキアッテランネェ。
OMCセディナについてのレビューです。
ダイエーやマルエツで日曜日5%引きになるのはOMCブランドのみで、普通のセディナは対象外なのでご注意ください。(たまにレジで揉めている人が居ます)

【デザイン】
キティVerなので、普通にハローキティ。

【ポイント】
一応ポイント制度はあるけれど興味はない。日曜日にダイエーやマルエツで5%引きになることが重要。
ポイント移行先に楽天やTポイントがなく、やや移行しづらい。GポイントかAmazonギフトかdocomoかauぐらいしか選択肢がない。

【年会費】
5%割引のためにOMCカードを作ろうとする際、引っかかるのが年会費が千円かかるということ。
まぁ毎週のように週末に買い込めばその度に100~200円ていど節約できるので、年7200円程度の節約効果は堅いと思われるから、通常のOMCカードでも年会費千円払う価値はある。

だが、リボ払い専用のJiyu!da!ならば年会費は無料。

リボ専用とはいえ、毎月返済額=利用限度額と設定変更すれば、リボ金利がかかることもなく、常に1回払いとなる。

(これは三井住友VISA等の他のリボ専用カードの多くでも使える技。ただしたまに弁済額上限が3万円だったり等で一括払いと同等にできないカードもあるので注意。)

【ウェブサービス】
ダサいけど、必要な情報は十分に取れる。レスポンスも良い。
キャンペーン応募がどれが応募済みかわからないのだけが不満。

【優遇サービス】
OMCブランドであれば、ダイエーやマルエツ等の旧ダイエー系スーパーで日曜日に5%引きになる。

【限度枠】
スーパー需要密着型なので審査は若干甘めと思われる。
はじめ、限度額が少なすぎるなと思ったら、限度額引き上げ申請より、セディナブランドのカードをTモール経由で追加する事でも、限度額を引き上げることができる場合がある。この方法をとればTポイント盛り盛りにあたればウマウマである。
OMCブランドの方もたまにTポイント盛り盛りのことがあるので、うまく組み合わせるとそれだけで八千円分ぐらいになる。

【総評】
普段使いのスーパーがダイエーやマルエツなら絶対につくるべき。
・審査スピード
 項目にはありませんでしたが、これだけは評価できるのでトップに。

 Tモールでポイント盛り盛りだったので申し込みました。入会後キャンペーンの20万利用で1万円も魅力的でしたし。

 3/12申込み、3/16審査完了、3/22到着、とスピード審査です。与信10万円でしたけど。これでどうやって入会キャンペーン20万分使えというねん?

 正直、ダイナースとか三井住友とかで最低300万単位の与信がある身には屈辱でしたね。Yahoo!BBと解約金でもめたからかな? まぁTポイント新渡戸さん分ごちそうさまでした。

 あと、急な出費の一時増額はできません。限度枠増額には審査以前に6ヶ月の支払実績が必要です。事前にデポジットも不可です。よって、場合によっては入会後キャンペーンで詰むことがあります。
 私も、入会後キャンペーンをこの3末の増税前の高額消費に充てるつもりだったのに目算が狂いました。

【デザイン】
 まぁまぁ、カッコイイ部類に入ると思います。昔のこのカードも持っていましたが、今回の透明感と艶のあるブルーの地球のほうが美しいですね。
 (確か10年ほど前から地球デザインは変わっていないと思いますが、当時は安っぽいプラスチック青でした。ただし当時の方が付帯サービスは良かった。)

【ステータス】
 今やプラチナカードでもステータスとは言いがたいカードがあるのに。。。無評価です。

【ポイント】【マイル】
 他のクレジット比較サイト等でも取り上げられていますが、非常に癖のあるポイント制度です。

 普通のポイントプログラムもありますがそちらを選択すると0.5%と、還元1%が標準の現在、持つ価値はありません。

 キャッシュバックコースを選択すると「NTTグループの合計利用額で15,000円以上」かつ「月間60万利用」でやっと1.5%になりますが、はっきり言って月60万も使えませんし、そういう人はリクルートカードやジャックスカード群の還元1.7%以上の年会費有料カードを持つべきです。

 キャッシュバックコースのもう一つのガソリンキャッシュバックだと、一応2%行くようです。ただ、出光しか適用がないので出光カードとどちらが優位かは、利用シチュエーションによって変わるようですね。

 まとめると、ガソリンを出光で入れる人は、出光カードと共に、持っていて損はないかな?

【ウェブサービス】
 最近格好良くなりました。でも中身は残念です。

 3日前の利用が全然はねません。直近明細ならともかく利用可能額にすらはねません。今いくら使えるか? 自分で累計して計算してちょ。という仕様です。一方、カードは当然ながら利用可能額を超えれば弾かれます。ネットが使い物にならないので、電話で問い合わせましょう。幸いフリーダイヤルなので。

 受信ボックスなる物があるのに、そこにキャンペーンのお知らせが届いても、受信ボックスから直接キャンペーン応募できません。しかも、キャンペーン応募が上部メニューになく、どこから入るのか探し回る羽目になります。(答え、受信ボックスの下。隠れて見えないっつーの)

【優遇サービス】
 昔は、今はベネフィット・ワンが提供しているCHECK&CHECK(カードの裏にNかSかAのロゴが入ってるやつです。)という、飲食店で20%引きになるサービス(三井住友だと各地域毎に2,500円の有料サービス)が無料付帯していたのですが今はありません。
(今は私の知る限りこれの付いているカードはありませんね。クラブオフがついてるのは幾つかありますが。ってか、これのゴールドだとクラブオフ付くんだっけな? でもそれなら年会費無料のTカードプラスかベネッセイオンカードの方がいいですよ)

【総評】
・ガソリンを出光で入れる人は、出光カードと共に、持っていて損はない。
・とりあえず与信10万でも欲しい人はいいかも。(海外にも行けないけど)
・ポイント盛り盛りだとご馳走様です。
はじめに宣言しておきますが、このエントリでは境界性人格障害(BPD)の行動様式にみられる「自傷による人間関係の操作」を批判しています。
読んで傷ついたとしてもここで戻るを押さなかった以上、私は関知しません。あしからずご了承ください。

また、私は精神科医療の領域に患者側の立場で若干の関わりがあり、また、多くの精神医学関連の書籍を読んできた自負はありますが、医師免許があるわけでもまして精神科医でもありませんので、本稿にはすべて「私の理解によると」という注釈がつきます。あらかじめ宣言しておきます。



















かつて、自傷行為が、特定の「世界」を席捲したことがあった。ちょうどCoccoのRainingがヒットした頃。
「腕を切ってみた、切れるだけ切った」のが「認められ」ることに背中を押されるように。
「リスカ」という、まるで「援交」みたいな略語が通用するようになった。
そして、それは少なくとも二つの不幸を生んだ。


自傷行為の始まりは定かではない。苛烈な修行なども自傷行為ととれなくもないが、とりあえず精神科医療領域における自傷行為を二つの類型に分類したい。
①失ってしまう自分の意識を引き戻すために痛みを用いたのが自傷になったパターン。
②自傷行為に対する周囲の人間関係を観察し操作するためになされる自傷行為。

①の類型は解離性同一性障害(DID)によくみられるパターン。「痛み」自体が目的ともいえ、オーバードーズ(薬の過剰摂取)はみられない場合もある。一方で希死念慮を持った人格に交代したときは「死ぬための」自害行為として致死量のオーバードーズを完遂することも多い(DIDレベルだとこうした人格を持っていることの方が多い)。

②の類型はBPDに多い。怪我人や病人に対して普通の人が抱く同情心、「自傷行為をした自分」に寄らせられる「普段の自分には寄せられない関心」、これらの周囲の人間の感情をコントロールできることを覚え、無意識的に、あるいは時には意識的に、「死なない程度に」自傷する。死なない(あるいは死んでもかまわない)範囲のオーバードーズもザラだ。

文面だけを見ると①は同情できるが②は利己的に映ると思う。とはいえ、実際には①と②はまだらで混ざり合っている場合も少なくない。いずれにしても患者本人を苦しめる病理であるのは確かなので治療が必要なのは異論がない。


なぜこんな事をわざわざ書いているのかというと、先日FBで議論しているときに「睡眠薬を過剰摂取してしまう」という稚拙な②類型を使われて、激高してしまったからだ。
ただでさえ精神障害は偏見の多いのに、こんな②類型の脅しがパブリックな場で公然と発せられる事は、真面目に治療に取り組んでいるけれどもつい自傷という「嗜癖」に手を伸ばしてしまう多くの精神障害者に対する偏見を助長する行為に他ならない。

そして、②類型がなぜ起きるのかといえば、②類型の自傷やあるいはその脅しにベネフィットがあるから。というのは一つの答えになり得る。
逆に言えば、自傷やその脅しに周囲がベネフィットを与えなければ、少なくとも意識的な②類型はその数を減らせるということになる。
なので、本稿を書くことが、自傷のベネフィットを減らし、自傷を減らすことができれば。。。そうも思って本稿を書いている。


では、自傷のベネフィットを減らすにはどうすればいいか、一つには自傷のリスク・ベネフィットのバランスを「割に合わなく」すればいい。
つまり、「全然死ねない程度」の自傷や「切るぞ切るぞー」という自傷の脅しといった、「リスクの低い」自傷には関心を払わない(少なくともそのふりをする)。

これはある程度は事実が証明していて、「ファッション的に」行われる「リスカ」はまさに手首を横に切る(手首ほど末梢の血管を切っても出血量はたかがしれているし、直角ならすぐ縫合される)のに対して、逆に「リスカ」を隠したい場合は「アムカ」や「レグカ」と服に隠される箇所を切るようになっていった。
そして後者は、首や腕の血管を縦の切るような、あるいは冷静に致死量を計算して行うような、自傷ではなく自殺未遂をすることが多く、実際に自殺を完遂してしまうこともある。


「リスカ」に社会的意味がついてしまったため「アムカ」に移行したせいで死ぬ人が増えた、、、とまでは言わないが、「リスカ」に社会的な意味がついてしまった以上、軽率な「リスカ」は控えてほしいと思う。

ましてや、ベンゾジアゼピン系を1ヶ月分ぐらい(と勝手に思っている)でオーバードーズの脅し(99%以上まず死なない)など言語道断。せめて脅すならスピリタス1瓶を一気するぞとでもしていただきたい、日本は急性アルコール中毒には寛容な文化なので。


最後に恨み節が入ってしまったが、本稿を書くことが、自傷のベネフィットを減らし、自傷を減らすことを願って筆を置くこととする。
いささか挑戦的なタイトルだが、まぁ聞いてみてほしい。


そもそもは先日、FBで「文化」について議論したのが切欠だった。
発端は大阪の文楽問題だったのだけれども、そのことは本論ではないので脇に置いておく。
で、歌舞伎や文楽を保護すべき「文化」としながら、同時に吉本を「くだらない」とするドグマを目にした。
私は吉本は観ないが、漫才は文化だと思う。(貶す笑いをとる類は下品だとも思うが。)
そして、こういういう言説を振りかざす人は大抵マンガを(たとえばスラムダンクなんかの世間的に評価されたもの以外は)「文化」と認めないことが多い。

たとえば内容的には超硬派でダンディズム満載な「王様の仕立て屋」なんか、カラーページがジラソーレ社のお姉さん方が読者サービスに頑張ってくれているおかげで、まず彼らには評価されない。
というか日本の恥扱いすらされる。
そのくせマンガは日本を支えるコンテンツ産業とかしたり顔で言われる。
はっきり言って理不尽に過ぎる。


で、彼らがありがたがる「文化」ってどんなものだろうと考えてみたわけだ、歌舞伎については出雲阿国に由来するあたりしか知らないので、クラシック音楽を例にとって。

誤解なきよう宣言しておくが、実は私はクラシックはかなり好みだ。
エレクトリックでノイジーな今の曲は耳が慣れるまでは聴き通すことすらできないものも少なくないが、クラシックでそういうのには滅多に当たらない。
クラシックが和音で構成されるのが原則なのに対して現代音楽はそうではないから当たり前と言えばそうなんだけど。

ちなみに余談だがバロック期で一番好きなのはヴィヴァルディの「調和の霊感」第10番 4つのヴァイオリンとチェロと弦楽のための協奏曲 口短調 RV580 だ。
(J.S.バッハの編曲の「4つのチェンバロのための協奏曲 イ短調 BWV1065」の方が有名かもしれないが。。。)


さて、そのクラシックだが諸氏はどれだけの作曲家とその作品を挙げられるだろうか?
いや、ここではその多寡を問うているのではない。その中で20世紀の作曲家は何人いるだろうか。
ストラヴィンスキーの春の祭典、ラヴェルのボレロ、ホルストの惑星、ハチャトゥリアンの剣の舞、オルフのカルミナ・ブラーナ、、、うん、いずれも確かに名曲だ。だが、彼らの名前を(もしかしたら作品名さえも)すらすら挙げられる人はかなり珍しいだろう。

それに引き替えそれ以前の作曲家の作品は?
たとえばバッハ、G線上のアリアという人も、主よ人の望みよ喜びよという人も、トッカータとフーガという人も、もしかするとブランデンブルク交響曲第5番第3楽章という人もいるかもしれない(私です)。
たとえばベートーベン、運命という人、第9という人、ピアノソナタ月光という人、チェロソナタ第3番第2楽章という人(やっぱ私です)。


別に多くの作品が残っているから偉大だと言いたいわけではない。
残っていないから偉大ではないという社会ダーウィニズムの主張でもない(私にとってそれは唾棄すべき思想)。
むしろ埋もれた偉大な曲が発掘されることは素晴らしいことだと思う。アルカンの超絶技巧曲を地道に演奏している友人もいるし、私は彼に敬意を持っている。

ただ、単純に思うのだけれど、クラシックの素晴らしい作品はもう生まれ尽くしていて、今のクラシックはそれをいかに「演奏するか」に力点が入っているとしたら?
私はそうなってしまったジャンルは「終わってる」と思う。
「最高の楽譜が既にある」ならば、確かにクラシックに残された道は「作曲家の意図を如何に汲んで演奏するか」という「過去への疾走」しか残されていない。
でも、そうじゃないだろう? これからだって素晴らしい曲はきっと生み出されるはずだ。
それを否定することは作曲を専攻する人々への冒涜だと私は思う。

では、なぜ、現代にクラシックの名曲は生まれないのか?
……答えは「生まれている(ただしクラシックにカウントされていないだけ)」だと思う。


やや遠回りをするが、まず、音楽家を巡る時代背景を考えてみよう。
所謂「クラシック」のスポンサーは誰か? 基本的には王侯貴族で、音楽家は彼らをパトロンとして音楽活動に専念できた。
パトロンの支援の元で音楽活動に専念できたからこそ、多作であり得たともいえる。
翻って現代(現在よりちょっと前)、音楽活動に専念するためのスポンサーは? 答えはレコードレーベルだ。現代で多数の作品が生み出された音楽ジャンルがポップスなのはある意味当たり前だ。

では、現代においてクラシック的な(少なくとも歌のないInstrumentalな)音楽はパトロンを得られないのか?
……得られる。と思う。たとえば映画音楽として。

こう言うと、スノッブな方々は「音楽の純粋性が」とか仰るが、クラシックだってパトロンの誰それに捧げるなんてザラなので、そのパラメータの取り方はどうよと思う。
「純粋性にこだわり、閉じた血統で交配した結果、絶滅しました」みたいな結果になりそうな気がする。


そんな風に考えたら、日本人ならイチオシの人がいらっしゃる。久石譲さん。彼の作曲はクラシック的なものが多いが、ばっちり受け入れられているではないか。
ついでに言うと、映像の世紀オープニングの加古隆さんだってクラシック的だ(まぁ実際は映像の世紀のサントラではクラシック的なものの方が少ないんだけど)。
富田勲なんかももうクラシックの世界に入れてもいいと思う。

他にもポップスに目を向けても、鬼束ちひろの「月光」のピアノの旋律の美しさやCoccoの「うたかた」の弦楽のパートの移り変わりなど、これらを「クラシック」と再定義すれば、ずいぶんとクラシックの世界は広がるのではないかと思うのだ。
(ついでに言うと、Instrumentalならゲーム・ミュージックの世界だって外せまい。CHRONO CROSSでもAtlach_nachaでも。イース系はエレキがりがりだからクラシックとは言い難いが)


定義なんていくらでも変えられる。その精神を受け継ぐ限り。
音楽は永遠です。


蛇足

あ、すぎやまこういちは既に交響曲入りしているので忘れてましたが、モチのロンでドラクエもクラシックの名曲デスヨー。
半蔵門線で目の前の入社式に親同伴で来そうな男性、スーツ選びの誤選択っぷりがハンパない。
やはり細身にラペル広いのは似合わない。模様も広いストライプで更に駄目。
あとシャツがGAPとかのカジュアルっぽいのが致命的。

目利きにチョイスを検証して貰わないとかくも残念。
RT hyodo_masatoshi 兵頭正俊
9月6日、厚労省が、トウモロコシ、大豆ジャガイモの遺伝子組み換えを承認。
「遺伝子組み換え」の表示義務もなくなる。
大豆は日本人の健康と長寿を支えてきた食品。
野田は完全なオバマのポチ。http://t.co/oSdhIe1t

これただのリストですよね。表示義務無しの根拠は?
あと9/6追加はトウモロコシのみなんですが。「大豆は健康」云々意味不明
@hyodo_masatoshi 「遺伝子組み換え」の表示義務もなくなる。野田はオバマの犬http://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/dl/list.pdf

食品添加物や遺伝子組み換えを論ずるなら、
「”市販お弁当”の中のミートボール」みたいな真に表示されていないし知られても居ない大問題を取り上げてください。
あなたがどなたか存じませんが、政争の具にされると真面目に食品に取り組んでいる人が迷惑します。@hyodo_masatoshi

あまりに悪質で頭が痛かったので晒してみる。
上部階層に解説があることを期待して上記リンクの最後のほうを削ってみた。http://t.co/Xq6mzsBy 
どう読んでもリストは流通を許可されたリスト。食品添加物のリストとおなじ位置づけのようである。

遺伝子組み換え食品については所管官庁である消費者庁が詳しく。
http://t.co/3bFWM6fz http://t.co/CwvzW0i6 などの基準をどう読んでも「組み換え食品が非表示」なんて書いてないんですが。

一連の調べた結果、私の感想は「官僚真面目に仕事してる」でした。
むしろ添加物とか組み換えとかの話だと「市販弁当の中のミートボール」問題のようなキャリーオーバーの非表示のほうがよほど大きな問題だと思います
(こっちの問題に関しては官僚や政権与党の責任を問いたいです)。
10月09日三越

ペイ・ドック・ブラン シャプティエ テレ・ブランとベレメンテール 仏 ラングドック・ルーション 1050
価格が驚異。マロラクでもさほど落ちてない豊かな酸、酒石主体。コスパ抜群。
ルージュはライト。スパイシー。グルナッシュ・シラー。

キュベ・クレマンス シュバル・カンカール SBメイン 仏 ボルドー 2100
控えめで絶妙な樽香に豊かな酒石酸。

シャトー・ガレス SB45セミヨン40ムスカデ15 仏 グラーヴ 2625
まろやかにするために樽を使用。マスカット香にセミヨンの味。豊かな酸。