MIND BIND

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備忘録

嘘です(泣)

 

すべて、ではないです(土下座)

 

でも、それくらいの気概でまとめたので、何かの参考になれば幸いです......!

 

 

 

*****

 

 

 

数年前に、当時大学1年生だった学生からこのような質問を受けた。

 

「POIのやり取りも勝敗判断に含めるとのことでしたが、POIはやり取りそのものだけで完結するものではなく、立論などのスピーチの中で触れられて初めて評価できるものですよね?」

 

「え!?そうなの」と思ったけれど、中高生時代に数多くの優勝経験・プライズ経験のある学生だったこともあり、(そ、そうだったのか……。)とそのとき思った記憶がある。

 

 

 

月日は流れ、ふとあのときのやり取りを思い出した。

 

「これはルールによって違うのだろうか?」と思い、せっかくだから一度調べて整理してみよう、さらに基礎的なところからまとめてみよう――そう考えて、この記事を書くに至った。

 

ということで、ここからはPOIの基礎的な部分から、ジャッジとしてどのように評価すべきかまでを整理していきたい。

 

とはいえ、すでに非常にためになるマテリアルはたくさんあり、私自身による新規性はほとんどない。笑

 

ただ、せっかく世界トップレベルのDebaterである Luigi Alcañeses 大先生からPOIについてさまざまなことを教えてもらったので、この知見を自分一人だけで抱えておくのはもったいない。

 

そこで、自分なりにまとめてみることにした。

 

なお、免責事項として付け加えておくと、ダブルチェックはしているものの、大会によってレギュレーションが異なる場合や、時代とともにルールが若干変化している可能性もあるので、最終的には各自で確認・判断していただきたい……。

 

(そして、こうやってブログ記事にしているにも関わらず、ディベートのことだけをまとめているブログではないからディベーターに発掘されたくないという矛盾した感情も……。)

 

 

 

1. POIの基礎知識

 

前提として、POIは”Point of Information ”の略称であり、相手のスピーチ中に質疑応答(を要求)することができる、というルールである。

 

細かいレギュレーションはスタイルによって異なるものの、おそらくどのスタイル(NA/BP/PDA/HPDU)でも共通していることを以下まとめる。

(Asian/Australsについては自分の理解がどこまでスタンダードなのか曖昧で、調べる過程で力尽きました。追記しろと言われたら追記します……(泣))

 

なお、ベースはWUDC Manual(https://www.worlddebating.org/wudc-manual)の主にP6〜であり、他のスタイルでも共通だとは言えないもの、大会などによる違いがあり得る可能性が高そうなものは除いた。逆により基礎的なことなどについては補足している。

 

・POIでは相手チームのスピーチ中に質疑応答を「リクエスト」することができる(POIをしたから自動的に質問ができるわけではない)

・自分のチームメイトに対するPOIはできない(一度見たことあってびっくりした、チームメイトの言い忘れを補足しようとしたみたい←できません)

・POIをされたスピーカーは、そのPOIを受ける(質問を受け付ける)か、断る(質問を受け付けない)か選ぶことができる ※mandatory POIについては別記

※この部分のWUDC Manualの該当箇所:A POI is a formalised interjection from any speaker on the opposite side of the bench to the speaker who has the floor. It is up to the speaker who has the floor to decide which POIs to accept (i.e., allow to be made) or reject (i.e., not allowed to be made).(POIとは、フロアを持っているスピーカーに対して、反対側のベンチのスピーカーが行う、正式な介入(interjection)のことである。どのPOIを受け入れるか(つまり発言を許可するか)、あるいは拒否するか(つまり発言を許可しないか)は、フロアを持っているスピーカー自身が決定する。)

 

・POIをするときは、”POI”や”Point of Information” と言う(他には“on that point”など)。

※片手を頭に乗せ、もう片方の手を乗せるポーズで立ち上がって行うのが正式であり、PDAではそのポーズをして”POI!”と言ってPOIをすることを強く推奨している。

※無言で立つケースも見かけるが、WUDC Manualにも”To offer a POI, a speaker should say ‘point of information,’ ‘on that point’ or ‘point’.”(POIを出す際には、“point of information”“on that point”“point”などと言うべきである。)とある。

※内容を指定する発言をするケースもあるが、WUDC Manualではそれは禁止とされている。;”They should not offer ‘coded POIs’ by uttering anything which reveals the content of the POI before it has been accepted (by saying, for example ‘on the law’ or ‘not at all!’).”(また、POIが受け入れられる前に、その内容が分かってしまうような発言(coded POIs)はしてはならない。たとえば、“on the law”や“not at all!”などと言ってしまうことがこれにあたる。)

※なおオンラインでのディベートの場合、レギュレーションがあるケースがあるが、その点はここでは割愛する。

 

・POIが受け入れられた場合、POIでの指摘・質問は最大15秒まで認められる。

・POIは対話(dialogue)を開始するものではない。質問したら着席する。

※スピーカーがPOIの内容を聞き取れず、POIを出したディベーターに対して質問やコメントを繰り返したり言い換えたりするよう求めた場合のみ、POIを出したディベーターは立ったままで質問やコメントを繰り返すことができる。

 

・POIを断られたら着席する。

・POIを立て続けにすることは認められず、POIを断られた場合、次のPOIをするには15秒の間隔を空けなければならない(POIが断れた場合、その後15秒は「誰も」POIができない)。

※WUDC ManualのP8に記載されている。

※HPDUについては、「HPDU_2018_全国大会ルール.pdf」(https://www.hpdu.jp/参考資料/)では15秒という明記はないが、立て続けにPOIを出してはならないことが明記されている。

 

・スピーカーが、「POIの希望(POI preference)」を示したとしても、ディベーターはこれに従う必要はない。 ※「POIの希望(POI preference)」の例はWUDC ManualのP7を参照

・スピーカーが「POIをください」”Do you have any POI?”などと求めたとしても、それによって特定のチームやスピーカーにPOIを出す特別な義務が生じるわけではない。

・スピーカーのスピーチがPOIをできる時間に達した時点で立っているスピーカー(POIを出している意思表示をしている者)は全員座らなければならない。ただし、それ以前に提示し、受諾されたPOIについては、POIができる時間を過ぎても質問や指摘を続けることができる。(←個人的にPOIができる時間が過ぎたら質問途中でも着席させるジャッジを見かける気が……。どこかにそういうルールありますか?At least, WUDC Manualでは”It is also acceptable for a POI offered before 6 minutes to be accepted by a speaker dead on the 6 minute mark and then be made.”とあります。)

 

 

 

2. スタイルごとのルール

 

スタイルごとのルールとして、①相手のどのロールにできるのか、②POIができる時間についてまとめておく。

 

NA(North American Style)

①相手の1st, 2nd speakerに対してできる。Replyにはできない。

②スピーチの最初と最後の1分間は”protected time”と呼ばれ、この間はPOIを出すことはできない。その間の5分間(つまり1分から6分の間)にはPOIを出すことができる。

 

BP(British Parliamentary Style)

①相手ベンチ(Opening, Closing)の1st, 2nd speakerの4名に対してできる。

②スピーチの最初と最後の1分間は”protected time”と呼ばれ、この間はPOIを出すことはできない。その間の5分間(つまり1分から6分の間)にはPOIを出すことができる。

 

PDA

①相手の全ロール(1st, 2nd, Reply)に対してできる。Replyに対してもPOIできるのが特徴。

②”protected time”はなく、1stと2ndは0分0秒〜3分0秒までの3分間、Replyは0分0秒〜2分0秒までの2分間にはPOIを出すことができる。

 

HPDU

A) 5-5-5-5-4-4の場合

①相手の1st, 2nd speakerに対してできる。Replyにはできない。

②スピーチの最初と最後の30秒間は”protected time”と呼ばれ、この間はPOIを出すことはできない。その間の4分間(つまり0分30秒から4分30秒の間)にはPOIを出すことができる。

B) 5-5-5-5-5-5-4-4の場合(Whip有の場合、連盟杯ルール)

①相手の1st, 2nd, 3rd(whip) speakerに対してできる。Replyにはできない。

②スピーチの最初と最後の30秒間は”protected time”と呼ばれ、この間はPOIを出すことはできない。その間の4分間(つまり0分30秒から4分30秒の間)にはPOIを出すことができる。なお、連盟杯の決勝戦の場合は5分間スピーチが7分間スピーチになるため、”protected time”はスピーチの最初と最後の1分間となり、POIができる時間はその間の5分間(つまり1分から6分の間)となる。

※第15回HPDU杯全国大会実施要領 最終版.pdf(https://www.hpdu.jp/大会情報/第15回-連盟杯-2026/)を参照した。

 

(補足)mandatory POIや、POIをdeclineしたことによる評価について

Mandatory POIとは、POIを1度はとらなければならない、というルールである。

WUDC Manualには”Each speaker must take at least one POI or they shall be penalised for failure to engage.”(各スピーカーは少なくとも1つのPOIを取らなければならず、そうしない場合はエンゲージメント不足としてペナルティを受ける。)とある。

大会によっては、2回以上POIが来ていた場合に最低1回は受けないといけないというルールの場合もある。

大会のブリーフィングでは「mandatoryではないがhighly encouragedだ」というルールを見かけることも多い。

なお、WUDC Manualには、”When evaluating speakers that have not taken POIs (assuming sufficient POIs were offered), judges must treat a failure to take a POI as indicative of a reduced level of engagement and evaluate this as reducing the persuasiveness of that speaker’s contribution. (中略) This does not mean that a team will take an automatic fourth for failing to take a POI, nor does it mean that they cannot win the debate!”(十分な数のPOIが提示されていたにもかかわらずPOIを取らなかったスピーカーを評価する際、ジャッジはそれをエンゲージメント不足の表れとみなし、そのスピーカーの発言の説得力を減少させる要素として評価しなければならない。(中略)ただし、POIを取らなかったからといって自動的に4位になるわけではなく、またそのチームが勝てなくなるわけでもない。)とある。

なお、PDAの場合はmandatory POIはないが、2回以上POIが来ている場合に1回もPOIをとらなかった場合はPDAのスコア(表現)の4つの評価項目のうち、【態度・話す姿勢】の6点相当である「POIを1回以上、受けている。(ただし、相手側からのPOIが1回以下の場合を除く。)」を満たすことができないため、表現点が最大でも5点となる。

PDA主催の大会ではPD検定®(https://kentei.pdpda.org/about/)と同じ評価ルーブリックを用いてスコアリングするため、スコアの付け方についてはこちらをご参照ください。

HPDU大会については地域・大会によってPOIの評価基準が異なる場合があるため、大会ごとのルールを確認する方が良いと思いここでは詳細を割愛する。

詳細等は先述した「第15回HPDU杯全国大会実施要領 最終版.pdf」や、「HPDU_2018_全国大会ルール.pdf」などをご参照ください。

 

 

 

3. 良いPOIとは?

 

こちらの記事を読みましょう☺︎

 

https://debatejiyucho.blogspot.com/2017/08/poipart-1.html

 

https://debatejiyucho.blogspot.com/2019/02/point-of-information-poi4.html

 

 

 

4. ジャッジによるPOIの評価について

 

これが本題!

 

まず、基本的なPOIの評価(POIをした個人のスコア等についてではなく、議論や勝敗にどう加味するか)についてまとめる。

 

と言っても、

 

・POIでのやり取りも勝敗の考慮に含む。

 

これに尽きる。

 

WUDC Manualにも”In general, judges should evaluate the quality of POIs and POI responses similarly to how they consider other pieces of argumentative or responsive material in the rest of the debate.”(一般論として、ジャッジはPOIおよびPOIへの応答の質を、ディベート内の他の立論や応答と同様の基準で評価すべきである。)とあり、POIでのやり取りも十分議論の評価に対するマテリアルとして含まれる。

 

Luigiの言葉を借りれば、

 

・POIは独立した特殊ルールで評価されるものではなく、ディベート内の他の議論や応答と同じように文脈の中で評価される。(”A POI should be treated as any other piece of argument or response in a round.”)

・「POIをスピーチ内で明示的に回収したかどうか」だけを機械的に見るべきではない。

 

ということ。

 

もちろん、例えばそのPOIがPOIという形ではなく、自スピーチで同じセンテンスが述べられたとして、それによってBOP(burden of proof、証明責任)や戦局に影響がないのであれば、そのPOI自体の説得力も落ちる。

 

ので、POIがただのpoint outなどにとどまっているときは、やはり自スピーチでreasonを話す、counter analysisを出すなどが必要になる。ということだと理解している。

 

なお、POIしたことを自スピーチで触れる「必要性」については、やはりPOIそれ自体で自スピーチ中の立論や反論などと同じ価値を持つため、「言及しなくても」ジャッジとしての評価の対象になる。

 

ただ、これはまた別の先輩から同じ問いについていただいた回答だが、「言えるのに言わなかったことは強くは評価できない」。

 

つまり自スピーチでPOIでのやり取りについて言及できる場面があったにも関わらず、言及しなかったら強くは評価できない、ということ。

 

私の、

「CO→OGへのPOIがクリティカルだったとして、COがその後のスピーチで触れなかったら評価されない?」

という質問に対するLuigiの回答は、

 

・まず『触れたかどうか』を見ない。

・見るべきなのは「そのPOIと関連する議論がラウンド内に存在しているか」

・POIは勝敗を決める魔法の弾丸ではなく比較を発生させる装置。だからジャッジは「POIを回収したか」ではなく「POIによって生じた争点についてどちらが説明できたか」を見る。

 

先輩の回答をもとにしても、anyway POIのやり取りは評価の対象に含まれる。

 

けれど、例えばCO→OGで超クリティカルなPOIを出し結果、OGの一貫性が崩れたとして、その後MO・OW含めて14分間誰もその論点に触れなかったら「お前なにしてん!?」とはなる。

 

つまり、POIは評価されるけど、その重要性を理解しているなら当然もっと押し込めよ(その方がより評価される)という話。

 

以上をまとめると、

 

【ジャッジによるPOI評価のポイント】

・POIでのやり取りも、勝敗判断の材料になる。

・POIも立論や反論と同じように評価される。

・ジャッジは「POIを回収したか」ではなく、「POIによって生じた争点についてどちらがより説明できたか」を見る。

・POIは単体で評価されるのではなく、ラウンド全体の文脈の中で評価される。

・POIの前後で述べられた議論も含めて、そのPOIとの関連性を判断する。

・クリティカルなPOIであっても、それだけで自動的に勝敗を決める「魔法の弾丸」にはならない。

・POIによって相手の議論の弱点が示された場合、その後の分析や比較によってどれだけ意味づけられたかが重要である。

・自スピーチでPOIに言及しなくても評価対象にはなりうる。

・ただし、重要なPOIを展開・活用できるにもかかわらず触れなかった場合、そのPOIの価値を十分に活かせていないと評価されることがある。

・「言えないから言及できなかった」のと、「言えるのに言及しなかった」のは区別して考えられる。

 

なお、LuigiはさらにspecificなケースにおいてジャッジがPOIをどう評価すべきかを動画で解説しているので、ぜひ見てみてください↓

https://youtu.be/i_cXnYwJH-w?si=zghsMLU1Y_KXHX53

 

たぶん、名古屋城の前でPOIに関するYouTube動画を撮ったのはLuigiが最初で最後だろうな……。笑

 

以下、少しだけ要点をまとめてみる。

 

まず、Luigiは視聴者?からの質問を取り上げている。

 

「もしClosing teamが、Opening halfに対して“shut down POI”のようなPOIを意図的に出し、Opening側がその論点に応答する機会を失った場合、ジャッジは双方をどのように公平に評価すべきでしょうか?」

 

それに対するLuigiの回答。

 

この質問の前提には、「silver bullet POI(銀の弾丸のようなPOI)」というものが存在する、という考えがあります。

つまり、あるPOIが相手チームのケースを実質的に破壊してしまい、その後の応答を極めて容易にする、という考え方ですね。

ただ、私は、POIがそれだけで相手の議論を完全に無価値化する、という理解には少し懐疑的です。
もちろん、POIによって事実誤認が指摘され、その結果、相手チームが大きく議論を修正しなければならないケースはあります。

しかし、多くの場合、POIは「強力な反例」や「有力な反論」にはなっても、相手の議論全体を完全に破壊するわけではありません。

そして実際、大多数のPOIはそのようなものだと思います。
なぜなら、POIは15秒しかなく、5〜7分かけて丁寧に構築された議論全体を、一人の短い発言だけで完全に崩壊させるのは通常かなり難しいからです。

だからジャッジは、POIを「絶対的真理」のように扱う必要はありません。
POIとは本質的には、「ある議論をより直接的に批判するための、機能的な主張」に過ぎません。

重要なのは、「このPOIが出た以上、この論点はディベートの中で扱われるべきだ」という期待が生まれる、ということです。

 

ここからLuigiは、

 

1つ目の例:POIによって“分析の精緻化”を要求するケース

2つ目の例:POIが“後から意味を持つ”ケース

3つ目の例:POIが“論点のズレ”を暴くケース

 

という3つの例について、具体的なmotionやPOIを取り上げながら解説している。

 

そして最後に、

 

POIとは、特定の方向から議論を批判し、比較を要求するための“プラットフォーム”です。

重要なのは、

そのPOIによって何が争点化されたのか

その後どのチームが比較分析を深めたのか

どの程度そのPOIが後続分析によって支えられたのか

を見ていくことです。

それが、POIを評価する際の本質だと思います。

 

と締めくくっている。

 

この3つの例というのがすごくわかりやすいのでぜひ動画をご視聴ください!

 

 

 

5. さいごに

 

強調しておきたいこと、そして今回の記事の内容を簡単にまとめる。

 

・相手スピーチを聞いてわからなかったことを、そのままにしない姿勢が大事

・ディベートは相手チームを言い負かすものではなく、第三者であるジャッジを説得する競技。POIのやり取りで攻撃的になるのは×(だし、攻撃的だったチームが上に行くケースほとんど見ない)

・ジャッジとしてのPOIの評価を簡単にまとめると、POIを通したやり取りは評価の対象に含まれる。しかし、POIによって自動的に勝敗が決まることはまずないため、POIによって生まれた争点について自スピーチで分析を深めたり、その重要性をハイライトすることが望ましい。

 

POIしましょ!