リュさんの電話がなり、話し終わると僕の前に来て
「ジョンス、少し宜しいですか?」と複雑な顔をしていた。
「はい、大丈夫です」
僕たちは、応接室に入った。
「明日、リヨンが保釈されます」
「良かった。誰が迎えに行くのですか?」
「弁護士とジェイさんのお母様が行かれます」
「そうですか。では、今日お願いしてきます。それで、リヨンの住まいはどうなりましたか?」
「実は、言いにくいのですが、ジョンスの実家です」
「はっ?どう言う事ですか?」
「ジェイさんのお母様と、ジョンスのお母様が話しあって決めたようです。私も先ほど聞いて
驚きました。お母様同士で、話しているのでしょう」
僕は、実家に電話を掛けた。
「母さん、ジョンスです」
「ジョンス、大丈夫なの?」
「母さん、何処まで知っているの?」
「殆ど知っているわよ」
「そう、ジェイのお母さんから聞いているの?」
「そうだよ、お前1人で抱え込んで、ナナミさん苦しんで日本に戻ったそうだね。
何で母さんに相談しないの?あれほど帰って来るように言ったのに」
「ナナミが2人でいたいって言ったから・・・」
「ジョンスに甘えたかったんだろうに、お前がそんなんじゃ、ナナミさんもっと辛くなるわよ」
「ごめん母さんまで迷惑かけて・・」
「そう思う気持ちが行けないの。困ってたら相談に乗るし、助けるから。ともかくナナミさんと
きちんと話しなさい。」
「母さん、日本から戻ったらユリちゃんを連れて帰っても良い?」
「帰っておいで。お前も疲れてるんだよ」
「母さんありがとう」
「明日、リヨンさんが来る。此処にいれば目立たないし、気持ちも癒えるでしょう」
「宜しく頼みます」
「心配しないで。お前は、ナナミさんの事だけ考えて。ユリちゃんはどうするの?」
「日本に連れていきます」
「そう、無理しちゃだめよ」
「解りました」
電話を切って、母の優しさに触れて心が熱くなった。
家のくつろいでいると、携帯が鳴った。
韓国から知らない番号・・ジェイに携帯を渡した。
「ジェイ、韓国からだけど知らない番号なんだけど?」
ジェイは、携帯を受け取り、電話に出た。
「もしもし」
「あの?この携帯番号、ミズキ ナナミさんのではないですか?」
「そうですが、あなたは?」
「私は、ジョンス社長の事務所で働いているハ・ジュリと言います。ナナミさん、お願いします」
「ちょっと待って下さい」
「姉ちゃん、兄貴の事務所のハ・ジュリさんって知ってる?」
「うん、スタイリストさん」
「その人からだよ」
ジェイが携帯を、私の前に差し出した。
出るのが怖かった。何もかも投げ出して、日本に戻って来てしまった。手が出ない。
「ごめん、私出れない」
「ジュリさん、ごめんなさい、姉ちゃん電話に出れる状態じゃないので、もう少したってから、
かけ直して貰えますか?」
「解りました。あの~失礼ですが、お名前聞いてもいいですか?」
「ハン・ジェイです」
「失礼しました。また後日かけ直します」
「今日、電話をしたことは兄貴、いや社長は知っていますか?」
「知りません。ただナナミさんが、社長のステージ衣装をデザインしていますので、そのデザインに
ついて何点かお聞きしたかったのです」
「解りました。姉ちゃんには、伝えます」
ジェイが電話を切り、ため息をついた。
「姉ちゃんがデザインした、兄貴のステージ衣装の事で聞きたそうだよ、また電話が掛かって
来ると思うよ」
「うん、スケッチブック全て置いて来たから、たぶんジョンスがジュリさんに渡したんだと思う」
ジョンスのステージ衣装作りたかった。用意していたのに・・・
また涙が出てきた。私の涙腺壊れてしまったのかな?
「姉ちゃん大丈夫?」ジェイが心配している。
「ごめん、もう泣かないから、ジェイ今だけ、背中か貸して」
ジェイは、私の隣に座り背中を向けた。
「姉ちゃん、どれだけ苦しい思いをしたの?俺の背中で良ければ泣いて」
ジェイの背中に頭を付けて泣いた。
姉ちゃん、苦しんだね。嗚咽が漏れてくる。その苦しみから、解放してあげたい。
明日、兄貴と会って大丈夫なのだろうか?後で、兄貴に電話をしよう。
姉ちゃんは俺の背中で、泣きながら何度も、兄貴の名前を呼んでいた。