『Begin』悲しみのゆくえ2 | My Sweet holiday

My Sweet holiday

独り言を取りとめもなく書いてます。

僕は、事務所に戻った。短絡した顔を見て、リュさんと応接室に入った。
「ナナミさんは、居ないのですか?」
「服だけ持って、居なくなりました。何処へ行ったんだ」
「ジェイさんの所には居ませんか?」
「ジェイは、日本に行ってます。おばさん達は、ユリちゃんを連れて、遊園地に遊びに行ってます」
「日本に戻られるのではないでしょうか?」
「それはありません。僕がパスポートを持っています」
「ジョンスの実家に向かっていることはありませんか?」
「それはないです。2人で行こうと言ったら、ソウルに居たいと言ってました」
「ジェイさんに連絡しているかも知れません。電話してみます」
リュさんがジェイに電話を掛けた。
「ジェイさんですか?私、ジョンスのマネージャーのリュです。お忙しいところ、申し訳ありません。
 今、お話出来ますか?」
「大丈夫です。日本まで連絡するなんて、何が起きたのですか?兄貴ですか?姉ちゃんですか?」
ジェイの慌て方は、相当のものだった。
「リュさん、僕が話します」
リュさんから、携帯を受け取った。
「ジェイ、日本まで申し訳ない」
「兄貴、姉ちゃんに何があったの?」
「居なくなった。お前のところに連絡はないか?」
「居なくなったってどういう事?」
「説明すると長くなる。連絡があったか、なかったかだけ教えてくて」
「ないよ。一体何があったの?」
「後で、電話する。もし連絡があったら、必ず連絡して。頼む」
「兄貴、兄貴」
電話は切れていた。一体何があったんだ。姉ちゃんの携帯に電話をしたが、電源が切れている。
何があったんだ。頭を抱えていると、携帯がなった。
「母さん、どうしたの?」
「ジェイ、ナナミさんから、連絡あった?」
「ないけど、母さんまで何があったの?」
「母さんまでって、私以外に誰から?」
「兄貴だよ。何があったの?」
「ナナミさんから、電話があったんだけど、気がつかなくって、今見たら、メールが来てて
 ナナミさん、日本に戻ったみたいよ。いったい何があったのか、ジェイ知らない?」
「解らないよ。そのメール転送して」
「解ったわ。どうするの?」
「俺が解決するよ」
「でも、ジェイ日本に居るのにどうやって?」
「日本に戻るなら、俺の方が動ける」
「ちゃんと話し聞いてあげてね」
母さんから、メールが届いた。
姉ちゃん、何を苦しんでいるんだ。
航空会社に電話をして、姉ちゃんが何便に乗ったか、調べて貰うことにした。
「リュさん、ジェイの実家に行ってきます。家の前で待っているかも知れません」
「ジョンスの車、地下の駐車場にありますので、乗って行って下さい」
ジェイの実家に向かった。しかし、ジェイの実家には、誰も居なかった。
ナナミの姿もなかった。僕の実家に電話をして、ナナミが来たら、連絡をして欲しとお願いした。
ナナミの実家の電話番号を僕は、知らない。しかし、ジェイに言ってなければ、実家にも連絡は
していないだろう。何処に居るんだ。何処かのホテルにいるのか?それならスケッチブックを
置いて行かないだろう。これ以上何処を探せばいいんだ・・・事務所に戻ろう。
私は、ジュンさんを待っていた。免許証を持っていった係官が来て、私が日本人であることは
間違いないと証明出来たと言った。ただ、まだジュンさんが来ないことには、このままだ。
「コンコン」とノックの音がした後に、ジュンさんが入って来た。
「ジュンさん、すみません」
椅子から立ち、頭を下げた。
「今、手続きが出来ました。次の便に乗って下さい」
「ありがとうございます」
パスポートの代わりの書類を受け取った。
「ナナミさん、日本に戻れば、もうソウルには来れません。良いですね?」
「はい。日本で静かに暮らします」
「解りました。ご両親の元に帰られますか?」
「はい、戻ります。当分は両親に甘えて暮らします」
「必ず、居場所を解るようにして、連絡をして下さい」
「はい、ジュンさん、ジョンスには・・・」
「解っていますよ。何も言いません。ジェイが日本に居ますが、余計な事は言わずに」
「解りました。ありがとうございました」
「ナナミさん、お元気で」
ジュンさんの優しい笑顔を見ていると、涙が落ちてくる。
「大丈夫ですか?」
「ごめんなさい」
ジュンさんが、私を抱きしめた。驚き、動けなかった。
「日本で、穏やかに暮らして下さい」
ジュンさんから離れて、部屋を出て、搭乗口まで歩き出した。