たくさんの人達に囲まれてしまって、店員さんがシャーシャー麺を持ってくれても食べることができない。
「これじゃ食べれないよ~」
「大丈夫だよ。後でこっそり病室に届けて貰うから」
「本当?ありがとう」
昨日よりも大勢の人達に写真を一緒に撮ってほしい、サインが欲しいと言われてしまった。
ナースや若い先生たち、病院の職員の人達も来て、撮影会になってしまった。
女の子が、ナナミの傍に近づいて来た。ナナミはしゃがみ女の子の目線に合わせた。
「お姉ちゃん、看護婦さんに聞いたんだけど、赤ちゃん死んじゃったの?」
「・・・・そうだね」こんな小さな子供に言われて、少しショックを受けた。
「これあげる。」女の子は、大事に抱いていた熊のぬいぐるみを差し出した。
「私に?」
「うん、お姉ちゃん可哀想だから、ユリの大切なミーちゃんあげる」
「ありがとう。でもお姉ちゃんは大丈夫だよ」
女の子は頭を横にして、私の言っている意味が解らにようだ。
「お姉ちゃんには、ここにいるお兄さんがいるから大丈夫だよ」
僕も、しゃがんで、話しかけた。
「ユリちゃん、ありがとうね。お姉ちゃんは、お兄ちゃんがいるから寂しくないんだよ。
ミーちゃんはユリちゃんの傍にいないと可哀想だよ」
「うん。お兄さん、お歌を歌っているお兄さんだよね?」
「そうだよ」
「ユリねぇお歌大好きなの。お兄さん何か歌って」
「そうっか、それじゃユリちゃんの為に歌うから何が良い?」
「ユリお兄ちゃんの歌知ってる。えーとねぇ・・・」
ユリちゃんは、僕のヒット曲を言って歌って欲しいとねだった。
「では、ユリちゃんの為に歌うね」
椅子に座り、ユリちゃんを膝の上に乗せて、歌いだした。
周りの人達も、聞いている。ユリちゃんは、歌に合わせて、手を動かして、一緒に歌っている。
「はい、おしまい」周りから拍手が起こった。
「お兄ちゃんありがとう」
「ユリちゃんは何階に入院しているの?」
ユリちゃんは一緒に来たナースに聞いている。
「9階だって」
「じゃ明日、お姉ちゃんと遊ぼう」
「何して遊ぶの?」
「お絵かきしよう」
「本当?明日待ってるね」
僕の膝の上から、降りてナースと一緒に帰って行った。
「お兄ちゃん、お姉ちゃんバイバイ」
手を振り、見送った。
その後も、撮影会は続き、病室に戻れたのは、夕方になってしまった。
「ナナミ、疲れたでしょ?」
「うん、少しね。でも大丈夫だよ。明日、ユリちゃんと約束したから、ジョンスが仕事に行っている
間に遊んでくる」
「絶対に無理はしないで」
「うん、解っている、それより、ジョンス・・お腹すいて倒れそう」
「頼んでおいたから、そろそろ来ると思うよ」
「食べたら、マンションに行ってくる、一人で大丈夫だよね?」
「うん、待ってる」
「何かあったら、連絡して、なるべく早く戻るから」
「うん」そんな顔しないで、行けなくなるから・・・ナナミにキスをしようとしたら
「トントン」とノックの音がして、ドアが開いた。
慌ててナナミから離れた。
「お待ちどう様です」元気よく、食堂の店員さんが入って来た。
「ご注文の品をお持ちしました」
「無理言ってすみません。えっ!頼んでいたのと違いますが?」
「これは、食堂社員一同からのお祝いです」
「ありがとうございます。皆様によろしくお伝えください。ナナミ、食堂の皆さんがお祝いしてくれたよ」
「わぁーすごい御馳走!ありがとうございます」
「後ほど、マネージャーが挨拶に参ります。では失礼します」
「ジョンス、凄い御馳走だよ」
「落ち着いて、せっかくの好意だから、食べよう」
「うん、いただきまーす。これだけ食べたら、元気になれるね」
「そうだね、ナナミ少しはしゃぎすぎだよ、熱はないね?」
ナナミの額に手を置いた。少し熱っぽい。
「後で熱を計ろう」
「大丈夫だよ。元気だから」
「ダメ、今日だって無理したんだから」
熱があるのも、食欲がないのも解っている、でも心配させたくない。。。