2018/8/6 朝日カルチャーセンター新宿にて開催の1日講座「双極性障害の基礎知識」
事前に出された質問に対する質疑応答
(質問は講義前に用紙記入)

・どうして双極性障害になるのでしょう?
:現在研究中。脳の機能障害、というところは特定できているので、脳のどこの部分に障害が起きているのかを研究している。

・(多くの参加者からの質問)
双極は一生完治しないの?
:完治とは何か、から問うていきたい。
高血圧、糖尿病になっても、毎日治療薬を内服してコントロールしていけば、生活送れていける。
これらの疾患は、ほぼ「治っている病気」と言っても過言ではない。
高血圧や糖尿病の患者会、特にないでしょう?
社会的に100%の治癒目指さなくても、80~90%の状態を目指すでいいと思います。
双極においては、炭酸リチウムくらい効果があって、副作用の少ない薬剤開発が望まれます。

・双極における認知機能について
:認知機能検査と絡めた論文が多く発表されてるが、結果としては疑問文がつくもの多い。
双極にて副作用や不眠がある状態で認知機能検査をしても、それはどうか…とも思う。

・双極治療歴10年目の患者です。
中々症状コントロールが図れず、主治医から「ゆっくり休め」としか言われません。
何かいい方法はありますか?
:治療をどれだけ追求しているかによる。(薬剤の組み合わせ、量・種類など勘案すると、天文学的な組み合わせになる)
どの組み合わせがあっているのか、副作用出ない程度にトライしていくしかないと思う。

・人生は、必ず波あり谷あり。
人生の波や谷を気分の波として捉えていないか注意。

・子どもが双極で一人暮らしを始めました。
体調がいい日はパート勤務に行っています。
ODや自殺未遂したこともあったようですが、親の目が届く範囲に住まわせていた方がいいでしょうか?
:ODや自殺未遂は、他の精神疾患が入っている可能性もあるので、きちんと診断して貰うこと。
(落ち着いていれば)一人暮らしは出来なくないです。
出来ない仕事もありません。

・双極II型の患者が、ある日を境に、躁状態を保持し続けてしまうことはありますか?
:Ⅰ型ならⅠ型、II型ならII型、という経過を辿る。
軽躁が躁に移行することはある。

・双極による気分の波のため、本当の自分がどれだか分かりません。
:よく悩まれている方が多いです。
すっかり落ち着いた状態が自分、ということでしょう。

・加藤先生が実施されている双極患者を含む両親を対象としたゲノム研究の進捗を教えてください
:予算の関係上、あと2年半以内が期限。
現在300トリオ(家族)目標のところ、170トリオにご協力いただいている。
論文発表は、更に2年半後目処に発表予定。
現在も被験者絶賛大募集中です。

・患者の遺伝子を調べ、遺伝子にあった適切な治療薬を選択出来るようになるためには、あとどれ位かかるのか?
:あと10年以内には実現可能と思われる。

・若年層の男性。
うつ状態になったが、2年後寛解。
念の為に、と受けた光トポグラフィー検査で双極の可能性を指摘され、TMS治療(経頭蓋磁気刺激)を勧められた。
治療を受けるべきか?
(うつ以外に行うため、このクリニックでは自由診療。費用数十万)
:TMSは、うつに対してのみに保険適応となっている。
TMS、ほぼ毎日外来通院が必要な上、効果としては抗うつ薬と同等、電気ショック療法より劣る。
安価な抗うつ薬で、選択肢が沢山あるのでし、治療おすすめしない。
(お話聞いただけで、大体どこのクリニックか分かりました…とのコメントもあり💦)

※次に続きます。