ショップス&フラッツ  ASTONCHASE & BARCLEYS | エンドウ・アソシエイツ加藤峯男の無陸

ショップス&フラッツ  ASTONCHASE & BARCLEYS

アストンチェイス② 
■ ASTONCHASE(ハムステッド・ガーデン・サバーブの区画道路フィンチレイ・ロード側外観)
 
 今回は、二棟の店舗併用住宅、アストンチェイスとバークレイズを紹介します。
 この二棟は、1800年代末から1900年代初頭にかけて
ロンドンの北の郊外のハムステッド・ヒースの原野を切り開き開発した高級住宅街
ハムステッド・ガーデン・サバーブの1階が店舗、2~4階がフラッツの集合住宅です。
 この建物の竣工は1900年です。既に112年経っていることになります。
このような類の建物は日本ならとっくに取り壊されているでしょう。
ところが、ハムステッド・ガーデン・サバーブの各住宅が今でも建設当時のまま
修繕を繰り返しながら使われているのと同様に、
この二棟も、店舗部分も住宅部分も建設当時の外観のまま使われています。
建物が少し古くなれば、また、利益を産み出さないとなれば、直ぐ建替えられ、
建ててから取り壊すまでの平均滅失期間が30年と、
たった一世代限りしか使わない日本に対して、
イギリスのそれが75年3世代が使うのとは大違いであることを実証するものです。

アストンチェイス① 
■ ASTONCHASE

 この二棟は、ハムステッド・ガーデン・サバーブの西の境界線となっている
フィンチレイ・ロードの中央にあります。
その通りに直交するテンプル・フォーチュン・レインとフィンチレイ・ロードが
三叉路になっていて、ハムステッド・ガーデン・サバーブ敷地内に入る構内道路
テンプル・フォーチュン・レインを挟むように二つの建物が交差点の二つの角に建っています。
そのため、二つの建物は、テンプル・フォーチュン・レインを挟んで
二本の門柱のように建っていて、廻りの低層住宅街にあって
4階建て(屋根裏部屋付き)と高さが高く目立つ形態となっているため、
ハムステッド・ガーデン・サバーブの西の入口を示すランドマークにもなっており、
西の玄関口の役割をしています。

アストンチェイス&バークレイズ

  ■  BARCLEYS (左)&TEMPLE FORTUNE LANE(真ん中) &ASTONCHASE(右)

写真の真ん中の通りが、ハムステッド・ガーデン・サバーブの構内道路
テンプル・フォーチュン・レインです。
この奥に敷地面積約60ヘクタールのハムステッド・ガーデン・サバーブの住宅街
が広がっています。写真右がアストンチェイス、写真左がバークレイズ。
イギリス人はシンメトリー・デザインが大好きです。
建物配置も、平面も、ファサードもとにかくシンメトリーにしたがります。
シンメトリーデザインが美しく、格式が高いものになると思っているのでしょう。
このアストンチェイスとバークレイズについても、
写真真ん中のテンプル・フォーチュン・レインの道路中心線を中心線にして、
建物配置もそのファサードも左右シンメトリーになっています。
これがゲートとしてのデザインをさらに強調する形になっています。

バークレイズ② 

■ BARCLEYS

 左がフィンチレイ・ロード、
右がハムステッド・ガーデン・サバーブの構内道路テンプル・フォーチュン・ロード。
 二棟の建物についてもそれぞれH字形のシンメトリープランになっていて、
H字の二本のI部分の1~4階部分と一部分の2~3階がフラッツ(集合住宅)に、
一部分の1階がショップになっています。

バークレイズ① 

 ■ BARCLEYS

 フィンチレイ・ロードから見たバークレイズです。
 アストンチェイスとバークレイズの前面道路がアストンチェイス側からバークレイズのほうに
向かい上り勾配になっているため、バークレイズの敷地地盤面高さレベルがアストンチェイス
のそれより高い位置にあります。
 デザイン的に水平規準レベルからの建物高さを揃えるためでしょう。
バークレイズが、地上3階建て(屋根裏部屋付き)建物であるのに対して、
アストンチェイスが、地上4階建て(屋根裏部屋付き)建物です。
 ともに、プランのH字形の中央の一部分のファサードが、煉瓦造に木組みを現しにした
チューダー朝様式、それ以外を外壁をブラウン色の煉瓦積み、屋根を背の高い天然スレート葺きの
勾配屋根が付いたエドワード朝様式のデザインが施されています。
フィンチレイ・ロード側から見た二つの建物の外観は、階数が異なっているにもかかわらず、
ちょうど掌が裏返しになったように左右シンメトリーの形に見えます。
 このデザイン手法は、ハムステッド・ガーデン・サバーブの住宅においても
共通して見られるデザイン手法です。