『ユナっ・・・。』



会社の回転ドアを出た瞬間。
目の前の大通りから、私の名前を呼ぶ声が聞こえた・・・。



『ユナっ、あのイケメン誰っ!?』





一緒に会社を出た先輩が、一気に色めき出す。
いや。
正確に言うと、その場に居る、私以外の女性全員が色めき出してる・・・。





『ねぇユナっ、、教えなさいよっ。』



『ひょっとして・・・。
あの噂の、夜が激しい彼氏っ!?』



『えぇ~、ウソぉ~。
私、あんなイケメンな彼氏になら、どれだけ激しくされても良いわぁ❤』



『ちょっとユナっ、聞いてるのっ!?』





はい、先輩。
聞こえてますよ・・・。
こんな人通りの多い大通りで、私の彼氏が夜激しいだなんて・・・。
・・・否定はしませんが・・・。
って、そんな事納得してる場合じゃないっ。





『先輩、あの人は彼氏じゃなくてですね・・・』



『じゃあ誰っ!?
オンニに紹介しなさいよっ。』





いやいや。
この目の前にいるイケメンには、れっきとした彼女が・・・。
って、今はそんな事はどうでも良い。
早くこの場から逃げなくちゃ・・・。



私に向かって、満面の笑顔で手を振ってるオッパ。
はぁ~・・・。
これじゃあ、高校の時や大学の時と同じ。
こうやってわざと顔を出して、私の周りの人を偵察する。
私の事を心配してくれるのは、凄くありがたいんだけど・・・。





『先輩っ、ごめんなさいっ。
お先に失礼しますっ。』



『ちょっとユナっ!!
だからその人誰なのよっ・・・。』





先輩の声が後ろで聞こえるけど、今は無視無視。
先輩、ごめんなさい・・・。
はぁ・・・。
明日、質問攻めにあうんだろうなぁ・・・。
覚悟して会社に行かないと・・・。





『ユナっ、先輩は良いのか?
良かったら、先輩も送って行くぞ?』



『良いの良いの・・・。
それより、早く出して・・・。』





もう・・・。
いつまで私の事を子供扱いするんだろう・・・。
こうして会社まで迎えに来てくれる事はありがたいんだけど、
私には私の生活ってものが・・・。





『迎えに来てくれてありがとう・・・。』



それでも、お礼はちゃんと言わないと。
オッパの右隣。
助手席に躰を滑らせて、シートベルトを装着する。
それにしても・・・。
何でいきなり迎えに来てくれたのか、オッパの真意がつかめない。





『何か美味いものでも食べて行こうか・・・。』



『うん・・・。
って、えっ!?』



『ユナのマンション、行って良いだろ?』





ダメダメダメ。
絶対にダメッ!!
ペアの食器、歯ブラシ・・・。
私の家には、他にもたくさんミニョクくんの物があるんだから・・・。





『ダメだよっ。』



『どうして。』



『だって・・・。
家の中、凄く散らかってるし・・・。
そっ、それに、女の子の家には急に来たりなんかしたらいけないのよ・・・。』



『散らかってるなんて、ユナの家がっ!?
いつも神経質なくらい片付けてるのに。
それに、女の子の家って言ったって、妹だぞ?』



『でも・・・』





決まりなっ。
そう言うとオッパは、ニコニコと鼻歌を歌い出した・・・。
こんなに重い気持ちで、オッパの助手席に乗ったのは初めて・・・。
いつもなら、オッパの運転する姿にウットリ見惚れるのに。
もちろん今日は、そんな気分には到底なれなかった・・・・・。








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いやぁ、オッパのユナさんを思う気持ちが・・・少し怖い!?
でもでも、オッパにもちゃんと彼女がいるようで、そういう怪しい関係ではないのでご安心を❤←
さぁユナさん、絶体絶命のピンチっ!?
この危機をどう回避するのかっ!?

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