羽田エアポート~我が名はジャスティスマン
去年か一昨年か忘れたが、
午前中、羽田空港で落雷がひどく作業員に危険が及ぶ可能性が高い為、
離発着作業ができず、大幅に遅延する日があった。
例えば北海道が大雨で飛行機の発着が遅れています。なら、新千歳空港行だけ調整する話だが、
国内線のハブである羽田が一定時間死んでしまったので、全国的にその後の運行ダイアがぐちゃぐちゃになってた。
その日のオレは、
新千歳⇒羽田⇒鹿児島の乗り継ぎだった。
2時間ぐらい遅れて着いた羽田空港は人でごった返して大あらわ
"お預かりしたお荷物は混乱を避ける為一旦お返し致します。乗り継ぎのお客様はお手数ですがお荷物を受け取り、再登場手続きを行って下さい"
"お預かりしたお荷物は混乱を避ける為一旦お返し致します。乗り継ぎのお客様はお手数ですがお荷物を受け取り、再登場手続きを行って下さい"
と再三のアナウンス。
新千歳から九州の乗り継ぎって搭乗口が端から端でかなり大変、
鹿児島行の発着時間もかなりタイトだったはず。
"鹿児島便にお乗り継ぎのミチタカ様~ミチタカ様~"
円滑にオレを案内すべく、乗り換えの移動通路の前でグランドスタッフのお姉ちゃんが待機していた。
「ミチタカ様ですね!一度ゲートを出て荷物を受け取って再搭乗して頂きます。
鹿児島便にお乗りの方がもう一名おられますので来られるまで少々お待ちください」
後ろに一歩下がって待ってたら、
そのグランドスタッフにゴルフウェアを着た年の頃60前後のおっさん2人組が声を掛けた。
「沖縄行○○便の状況どうなってる?」
「すいません。今、わかりかねます。お手数ですがゲートを出て右側〇番カウンターでご確認ください」
「あ?なにぃ!君はなんでそんな事も答えられないんだ!どうなってるんだ!」
そんな些細な事でオッサンがキレた。
「そもそもだな!何で荷物を一旦引き取らないとなんねーんだ!
「それはお前らの仕事だろうが!お前がやれ!」
「お前が責任を持って荷物を引き継げ!」
キレると歯止めが利かなくなるタイプらしくキレるキレる。
オレは知っている。
このお姉ちゃんに与えられている仕事は、30分後に離陸する鹿児島便に乗り継ぐ乗客を円滑に案内する事だ。
お姉ちゃんは無線で助っ人を呼んだ。
「乗り換え○番ゲートです。お客様から苦情がございます。お客様の対応をお願いします。お願いします」
だが今の羽田は大わらわだ。誰も反応しない。
その行為がまた気に食わなかったらしく、オッサンは輪をかけてブチ切れまくった。
「あんた名前なんていうんだ?名札見せろ」
お姉ちゃんの名札の写真の写メを撮って
「後で苦情を入れとくからな!」
と凄んでる。
そして、
「だから何で荷物を一旦受けとらなきゃならんのだ~~~~!
またループ。。。
またかよ、クドイ、しつこい、ウザい。これ何時終わんのよ?
いよいよオレの乗り継ぎ時間がヤバくなりそうなのと、
なにより、
立場上黙って聞くしかない若いオンナに長々と怒鳴り散らすオッサンにムカついていたので、
「オイ!あんたらさ、いい加減・・・」
近づきつつ声を掛けた。
オッサン達は振り返るとギョッとした顔をしてビョーンと
ほんと瞬時にビョーンと5mぐらい距離をとった。
182㎝ 130kg のツーブロックが、ヌッと近付いて来たので瞬時に警戒したのだろう。
そして、オイオイオイオイなんだよ・・・とモゴモゴしながら10mぐらい離れ、
セーフティ位置に着くと
「なんだ?なんだよ!アンタには関係ないだろ!」
「そうだ!そうだ!オレとそこの○○(お姉ちゃんの名前)の問題だ!お前は部外者だ!」
「お前には関係ないだろー!」
と叫びながらエスカレーターを下って行った。
「関係なくはねーよ!こっちも待たされてんだ!」
というオレの返しは、もう届いてないな。。。
「お騒がせしました。申し訳ございませんでした。もうお時間がありませんので、ミチタカ様のお荷物は私どもでお取継ぎいたします」
「え、それでいいのかい?」
「はい!お任せください!(ニッコリ)今指示いたします!(無線で連絡していた) さあ、お急ぎください、搭乗ゲートへご案内いたします!」
鹿児島空港行き羽田発最終便、
無事到着。
そして30分待っても、
手荷物受け渡しのコンベアからオレのスーツケースは出てこなかった。
「ちょっと!ちょっと!オレの荷物出てこないんだけどどうなってんの?!」
10分後、
羽田の貨物倉庫でオレのスーツケースが置き去りになっている事が確認された。
ムキィィィ!
あの女!ふざけてんのか!
恩を仇で返すようなマネしやがって!
名前なんてったっけ?うう!覚えてない!
クソ!オレも名札写メ撮っとけばよかった!
ああああ!ムカつく!
オッサンよ
羽田で怒鳴り散らしてた
沖縄でゴルフのオッサンよ。
な、こんな日は、
預けた荷物を自分で一旦引き取った方が良かっただろう?
いいか、オッサン
あの女に手荷物の引継ぎを強要してたら
オレと同じ目にあってるとこだったんだぜ。
【完】