モーニングショー | AROマンガ手帳

モーニングショー

ホテルの朝食バイキング。


2人掛けテーブルが並ぶ席の壁際に陣取る。


レストランコーナーは混みだしてきた。



50代後半のご婦人が来て、


「これ二つ並べれば良いわね」と2人掛けをくっ付けて4人席を作った。


老夫婦とご婦人の3人。ご婦人は娘か。


テーブルにスカーフを置き(席とってますのサイン)料理を取りに向かった。




それと入れ替わりに、


初老のハゲおやじがトレイを持ってやって来た。



立ち止まり、


席を見つめ、


ふん。


と、スカーフを横にはらいそこに座った。




(おおズブてぇなぁ)




ご婦人が戻ってきて、


自分がキープした席で黙々と食事しているハゲおやじを発見


小さな声で「あっ」と言って立ち止まったが、




老夫婦はお構いなしで、


お父さんはハゲおやじの対面に何事もなかったようにドカッと座った。


お母さんと娘も座る。



(おお)




ハゲおやじ、今どんな顔してんだ?と覗き込んだ。


目をきょろきょろ上下させて、明らかに気まずそうにしていた。







これさ、傍から見ると、


老夫婦とその息子夫婦の家族旅行という、微笑ましい日常の光景でしかない。





が、オレだけが知っている。



この中の一人は赤の他人だ。





なんじゃそりゃ!!


クスクス、朝から一人ほくそ笑んだ。


ああ良い朝だ。