ベーコンを作るようになって、数年たつ。
いろんなレシピがあるが、わたしの作り方はとても簡単だ。
何度もくり返し作っているうちに、簡素化して自分レシピに落ち着いた。
かたまりの豚バラ肉に、重量の3%の塩と1%の砂糖をすりこんで冷蔵庫で一週間寝かせる。
30分水風呂に入っていただき、塩抜き。
1日冷蔵庫に入っていただき、乾燥。
80~120℃で30分煙を浴びていただき、完成。
燻製もそんなに難しくない。
蓋ができる鍋と温度計があればいい。
わたしが使っているのはこれ。
手前味噌で恐縮だが、これ売れんじゃね?ってくらいの出来である。
1キロくらいの豚バラで作るので、一度で4本のかたまりベーコンができる。
真空パック器で空気を抜いて保存するので、日持ちもする。
誰かと会うときとか、ちょっとしたお礼に持っていくとみんな結構喜んでくれる。
配りすぎて、家族の分がなくなって怒られるので、またせっせと作るのである。
あんまりみんなに褒められるので、調子に乗って売ってみようかな、なんて思ったりもした。
でも、家庭の台所で作ったものを販売することはできないらしい。
そのためにわざわざ厨房を借りたりするのも現実的ではないので、一瞬で消えた泡のような妄想だった。
そこでふと思ったわけ。
販売の定義って、なに?
うん、まあそうだよね。
じゃ、売るってなに?
う・る【売る】
読み方:うる
[動ラ五(四)]
1 代金と引き換えに品物や権利などを相手に渡す。「商品を―・る」「土地を―・る」⇔買う。
2 自分のことを世間に知られるようにする。また、有名になる。「顔を―・る」「名を―・る」「味で―・る店」
3 自分の利益のために、味方を裏切って敵の利益のために働く。「仲間を―・る」「国を―・る」
4 相手に行動させるよう仕掛ける。また、押しつける。「恩を―・る」
5 別の目的に利用する。口実にする。
うんうん。
代金と引き換えに物を渡すことが、売るってことだよね。
わたしの作ったベーコンは販売しちゃいけないから、代金と引き換えに誰かに渡してはいけない、ってこと。
まあ、そうだろうな。
じゃあ、その引き換えるものがお金じゃなかったら販売にならないのか?
たとえば、わたしは本当はベーコンを1000円で売りたかったとする。
でも、お金は受け取れない。
じゃあ、相手が1000円で買ってきたお菓子と引き換えにベーコンを渡すなら、法律に違反しない、ということになるのかな?
なんか、めっちゃ興味深くないですか?
おもしろいと思うの、わたしだけですか?
ベーコンを買いたいと思ってる相手を仮に、Aさんとしますね。
Aさんもまた、売りたいものがあったとする。
それが物ではなく、技術や情報でも話は同じですよね。
Aさんはネイリストで、ネイルを1回1000円で施術しようとしてたとする。
まあ、ちょっと安い設定かもしれませんが、その辺察してくださいw
わたしがAさんにベーコンを渡す代わりに、ネイルしてもらう。
これ、問題ないですよね。
お金は一切動いていないけど、等価交換がなされたってことですもんね。
でも仮に、わたしはネイルに興味がなかったとします。
Aさんはベーコンが欲しい。
そこでBさんの登場です。
Bさんは、家庭菜園をしています。
わたしは、Bさんの作った野菜が1000円分欲しい。
Bさんは、ネイルしてほしい。
この三角関係も問題ないですよね。
利害関係が一致している。
だけど、少しややこしくなる。
人数増えるともっと複雑になる。
しかも、欲しいの今じゃないし、とかなるとカオス。
そうやって通貨ってできたんだろうなぁ、というのが納得できます。
でも、今どんどん物価が上がって、今まで買えたものが近い将来買えなくなったりする、ってことが出てくるかもしれない。
そうなったとき、物々交換に戻ったりすることって、もしかしたらあるのかもしれないな、って思ったのです。
そうなったとき、交換できるものを持ってるって強みですよね。
物であれ、技術であれ、情報であれ。
そんな物々交換の時代が来るかどうかは別としても、対価として差し出せるスキルはひとつでも多く身に着けておきたいな、と思った次第です。
結局お金ってエネルギーなんだなぁ、と改めて思ったり。
なんか間違ったこと言ってたら、指摘してください、詳しい人。