雨【中編】 | みちすけぶろぐ。

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ブログ見てくれましたぁ? 見てくんなちゃ拗ねちゃうもん! ねっ♪

あの日から何日経つだろう。

亜樹のカバンには、洗濯しキチンとアイロンをかけたハンカチと折りたたみ傘が何日も入っている。


勿論、亜樹の物ではない。

先日の雨の時に借りた『みちすけ』の物である。

またいつ会えるか、若くは会えないかもしれない。
会った時に返せる様にずっと持ち歩いているのである。

亜樹はKiss♥ラジ収録の時間までの空き時間を使い『みちすけ』という男性がまた現れてくれる事を期待し自由ヶ丘に足を運んだ。
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現れたら…
何か恋に似たドキドキ感を亜樹は感じていた。

しかし、何時間待っても、みちすけに会う事は出来なかった。

当然である。
みちすけは本来今転勤で福岡県にいるのだから…



そして
Kiss♥ラジ収録
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ゆきりん:
今週いい事あったぁ~?

もっちぃ:
特になかったなぁ~(笑)

ゆきりん:
あきちゃはぁ~?

あきちゃ:
あったよっ♪

もっちぃ:
どんなぁ?

ゆきりん:
win君ネタでしょ?

あきちゃ:
違う違う、こないだ買い物に自由ヶ丘に行ったのね。
で店に向かい歩いてたら急に雨が降って来たゃって…

ゆきりん:
良くないじゃん!

もっちぃ:
あらぁ~ で?

あきちゃ:
雨のせいでだいぶ濡れちゃったから雨宿りしてたの。
そしたら見知らぬ男性が声をかけてきて…

ゆきりん:ナンパ?

あきちゃ:
優しくハンカチを貸してくれたの♪
でね、店に向かう途中だと言ったら、傘まで貸してくれたの♪
とっても嬉しかったんだぁ~♪

もっちぃ:
優しいねぇ~

ゆきりん:
いい人~

ゆきりん:
でその人は?

あきちゃ:
頭にカバンを被せながら駅の方に走って行っちゃったの。

もっちぃ:
じゃぁ~借りっ放しなんだぁ~

あきちゃ:
そうなの。返そうって思ってずっとカバンの中に入れてあるんだぁ~

ゆきりん:
住所とか電話番号聞いたの?

あきちゃ:
うう~ん、名前すら知らないの。

ゆきりん・もっちぃ:
えぇ~!

もっちぃ:
じゃぁ~返しようがないじゃん(苦笑)

ゆきりん:
どんなの?見せてぇ~

あきちゃは自分のカバンからハンカチと折りたたみ傘を取り出し、スタジオ内のテーブルに置いた。

ゆきりん:
えっ⁈
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ゆきりんはみちすけの物だとすぐわかった。

もっちぃ:
ゆきりんどうしたの?

ゆきりん:
えっ別に…

あきちゃ:
でもちょっとしたヒントが1つだけあるの♪

もっちぃ:
なになに~?

あきちゃ:
ハンカチの端に『みちすけ』って書いてあったの。

もっちぃ:
『みちすけ』…
それだけじゃぁ~
あっ!この番組で呼び掛けてみたらぁ~?

ゆきりん:
…………。

あきちゃ:
でもラジオ聴いてるとは限らないしぃ…

ゆきりん:
聞いてるよっ!

もっちぃ:
何でゆきりん知ってるの?

ゆきりん:
き・聴いてるんじゃないかなぁ~ってハハッ(危ない危ない)

あきちゃ:
今日はいいやっ。
文面も考えてないし、ちゃんと伝えたいから…



そんなこんなでラジオ収録は終わった。

ゆきりんはあきちゃとみちすけの間でそんな出来事が起きていた事にビックリしたのと同時に、みちすけの優しさが嬉しかったし、誇らしかった。


次の日の夜
ゆきりんは久し振りにみちすけアパートへ向かった。

ゆきりんがみちすけアパートの呼鈴を鳴らす。

みちすけ
『はーい。』

ゆきりん
『コラッ!みちすけ~私に隠し事あるでしょ?』
靴を脱ぎ、部屋に入りながらゆきりんはみちすけに言った。

みちすけ
『隠し事? ……! あぁ~また1枚ハンカチなくしちゃったぁ~ゴメン。』
ゆきりんの分のインスタントコーヒーを入れながら、みちすけはゆきりんに拝むポーズをし、謝った。

ゆきりん
『クスッ そう言うと思ったぁ(笑) 失くしたんじゃないでしょ?あきちゃに貸してあげたんでしょ(笑)』
先日名古屋に行った時のお土産の手羽唐をカバンから出し、お皿に移しながら言った。
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みちすけ
『なんだ知ってるのかぁ~って事はあきちゃも自分とゆきりんの事…』

ゆきりん
『それは知らない。ラジオの収録であきちゃが話題に出してたから~ハンカチや傘嬉しかったって♪』
お土産で買ってきたはずの手羽先を既に食べ始めながら、ゆきりんは言った。

みちすけ
『役にたったなら良かった良かったぁ~♪』
コーヒーをゆきりんに渡しながら、みちすけは言った。

ゆきりん
『私もあきちゃの話し聴いてて嬉しかったよっ♪ 私の彼氏は優しいんだぞぉ~!って言いたかったぁ♪』

ゆきりん
『ねぇ~私があきちゃと同じ状況だったら同じ事してたぁ?』
手羽先で汚れた手をウェットティッシュで拭きながら、ゆきりんは質問した。

みちすけ
『う~ん…しないなっ。』
ゆきりんが手を拭いたウェットティッシュをごみ箱に捨てながら、みちすけは答える。

ゆきりん
『してくれないのぉ!何でぇ?』

みちすけ
『だってゆきりんを1人にしないから。そんな時は一緒にいるでしょ。』

ゆきりん
『みちすけ~~~』
そう言いながら、みちすけに抱きついた。

みちすけ
『手に付いた手羽先のタレが付くってぇ~』

ゆきりん
『ちゃんと拭いたもん♪ みちすけ久し振りぃ~♪ ずっとこうしたかったぁ~♪ 忙しくて1人にさせちゃってゴメンねっ♪』

みちすけ
『お帰りっ♪ 』

2人は久し振りにキスを交わした。

ゆきりん
『今度もう一回だけ自由ヶ丘にあきちゃの為に行ってくれない?でハンカチと傘受け取ってあげて欲しいの。あきちゃね、みちすけに渡す為にいつもカバンに入れてるんだって。みちすけに会ったら返せる様にって。ねっお願い。段取りは私がするから。』

みちすけ
『わかった。あきちゃと会ってゆきりん嫉妬しない?』

ゆきりん
『我慢するもん!』
手羽先を食べながら言った。

みちすけ
『だからそのタレの付いた手で…ほらTシャツ汚れたじゃん!』



もう一度あきちゃに会う事になったみちすけ。
そして、あきちゃの想い…

次回 雨【最終話】
*雨が最終話なだけで短編小説はまだまだ続きます。


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