「よろず屋寸話録」さんより
http://homepage2.nifty.com/motoyama/info_9.htm#info_927
高貴なウソとは英語で、「noble lie」というそうです。
原田武夫氏によると、高貴なウソとは私たちのような一般大衆を、「根源的な階層」に属する人々がコントロールするために、マスメディアを使って流すウソのことをいうんだそうです。
『日本経済復活のシナリオ』(原田武夫著、中経出版)から、まず世界は次の5つの階層から成り立っているという話から紹介したいと思います。

・・・<『日本経済復活のシナリオ』、p30~p32から抜粋開始>・・・
非常にざっくりとした言い方をすると、世界は次の5つの階層(クラス)から成り立っている。
①「根源的な階層」(各国の王族がその典型)
②「番頭」(「大統領」「首相」「コングロマリットのCE〇(最高執行責任者)」)
③「使用人・支配人」(マネジャー)
④「労働者」(いわゆる普通のサラリーマン)
⑤「その他」(各国で大勢存在している「失業者」など)
そして「根源的な階層」が絶えず意を用いていること。それが「グローバル・マクロ(国際的な資金循環)」の円滑な進展なのである。そしてそのためにここでいう「番頭」がビジネス・モデルを構築し、あるいはコンセプトを立てる中で、それ以下の者たちに執行させていくというわけなのである。
ただし上の2階層は、下の3階層に対して、そうした「ビジネス・モデル」「コンセプト」とそれに関連した事実をそのまま伝えるわけではない。なぜなら、時にそれは後者の利益に反することも多々あるからである。
だが何としてでもこれらは実現されなくてはならない。そこで用いられるのが「マスメディア」なのだ。
そして上部2階層が下部3階層に対して目的達成のため、公然とウソをつくことがある。これを英語で「ノーブル・ライ(noble lie、高貴なウソ)」というのである。
そして「高貴なウソ」をつく側が幼いころから仕込まれる能力のことを「情報リテラシー」と呼ぶ。
ウソをつく側なのであるから、いかにもっともらしくマスメディアが伝えていたとしても「ウソ」は「ウソ」であると見抜く能力、疑う能力が徹底して仕込まれるのである。
これに対して下部3階層に「情報リテラシー」が教えられることはない。むしろ徹底して「高貴なウソ」は「真実」であると刷りこむことによって、ビジネス・モデルやコンセプトそのものの存在を脳裏から消すよう、促されるのである。
・・・<抜粋終了>・・・
原田氏によると各国の王族などによって構成される「根源的な階層」が今最も意をくだいているのは、「富の東漸(とうぜん)」だといいます。
富の東漸とは、ざっくり言うと、富が西側諸国からアジアに移ってくることです。
1820年にアジア(中国、インド、東南アジア、朝鮮、日本)が世界経済に占めていたシェアは58パーセントでした。その後19世紀からの欧州での産業革命と20世紀のアメリカの工業化によって、1950年には西側(西欧諸国、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、アメリカ)が世界経済の56パーセントを占めるようになり、アジアは19パーセントにまで落ち込みます。
ところが近年アジア各国の経済成長がめざましく、1992年には37パーセント、2025年には57パーセントまでに達すると予測されています。このように富が西側からアジアに移ることを富の東漸といい、これを「根源的な階層」はなんとしてでも阻止したいのだといいます。
そのために、教育やマスメディアを使って「米欧は絶対的存在」だと人々を洗脳してきたといいます。
そうした洗脳を受けた人の例が紹介されています。
・・・<『日本経済復活のシナリオ』、p59~p65から抜粋開始>・・・
名前を出すと「あの会社か」とすぐ分かる、我が国を代表する鉄道会社の創業一族に属する人物との会話においてのこと。この人物は我が国財界を代表する「経済同友会」でも活躍した人物であり、私は「恐らくこの方ならば当然、こうしたグローバルでマクロな現実を御存じだろう」と思い、「富の東漸こそが問題の根源です」とつい声高に言ってしまったのである。
すると何を思ったのか、この財界人士は「何を言うかっ!」と私のことを面罵し始めたのである。アジアが米欧よりも富を貯めるなどということは絶対にあり得ない、もしそうだというのならばきっちりとした証拠を出せというのである。
「イギリスの歴史経済学では常識ですよ」と私はやや呆れ顔で応じたのだが、それでも納得がいかなかったらしい。「いい加減なことを言うなっ!」と怒られてしまった。私が唖然としてしまったのは言うまでもない。
要するにこの財界OB氏は「米欧は絶対的存在」という高貴なウソを信じ込まされて育ってきた世代に属していたというわけなのだ。その米欧を、我が国を含むアジアが乗り越えるはずなど絶対にあり得ないと端(はな)から信じて疑わないのは、そのせいなのである。
・・・(中略)・・・
ちなみに財界OB氏と会食の機会を持ったのは2012年秋頃。まだ「日本バブル」が始まる前のことだった。
私は「富の東漸」を説明した後、「だから我が国はバブルになりますよ」と述べたのだが、これにも同氏は食ってかかってきた。
「君、そんなバカなことを言ってはいかんよ。我が国がもう一度バブルになるなんていうことは絶対にあり得ない」
◆マスコミを使って流布されるウソ
繰り返しになるが、この財界OB氏の「名誉」のために言うと、これはこの方の能力の問題では決してないのである。そうではなくて「富の東漸」をはじめとする、世界を俯瞰図で見た時にだけ分かる現象をしっかりと見てとることのできる教育を、彼らの世代が徹底して受けて来なかったこと。これだけがそうした思い込みの決定的な理由なのだ(ちなみにこの財界OB氏は敗戦時、小学生であった)。
先ほど、米欧が中心となっている世界には全部で5つの階層(クラス)があると言った。そして「根源的な階層」が常に考えていることがグローバル・マクロ(国際的な資金循環)なのであり、その意を汲みとってビジネス・モデルを創り上げるのがその下にいる「番頭」なのだ。
しかし世界の本当のことは、このクラスにまでしか伝えられない。なぜならばその下のクラスである「使用人・支配人」「労働者」そして「その他」は結局のところ、このビジネス・モデルを廻すためのコマにしか過ぎないからだ。彼らが変に考え、番狂わせが生じてしまっては困る。
だからどうするのかというと、まず「根源的な階層」「番頭」とその下のクラスとでは子供の頃から習うことが違うようにするのである。そしてその上で、「根源的な階層」と「番頭」はマスメディアを使って高貴なウソをごまんとつくというわけなのだ。
・・・<抜粋終了>・・・
では本で取り上げられている高貴なウソの一例を紹介したいと思います。
文中に出てくる「藤井聡の例」というのは、2011年の東日本大震災の後に藤井聡氏が、大量の国債を発行して震災復興の資金源にすべきだといった論文をいいます。藤井氏は、アメリカのノーベル経済学者クルーグマンの「日本は今”流動性の罠”にはまっている」という主張を引用して、たとえ国債を大量に発行しても金利は上がらないと主張しました。
しかし今年(2013年)の5月に日銀が国債を大量に発行したとき、長期金利が急上昇しました。つまりクルーグマンが、日本は今”流動性の罠”にはまっているから国債を発行しても金利は上がらないというのはウソだったことになります。
・・・<『日本経済復活のシナリオ』、p95~p96から抜粋開始>・・・
◆クルーグマンの発言は「高貴なウソ」だった
実はこのクルーグマンは1990年代末からあるとんでもない提案を公言していたことで知られている人物なのだ。そしてその提案とはこんなものである(翁邦雄『ポスト・マネタリズムの金融政策」(日本経済新聞出版社)第162頁参照)。
「日本銀行は4パーセントのインフレ率を15年間続けることにコミットせよ」
どうせ日本は流動性の罠、すなわち「マネーがあったら投資ではなく、貯蓄へと使う傾向が定着してしまっている状況」に陥っているのだから、金利が上がるはずもない、というのである。何ともいい加減な議論ではないだろうか。
しかも日本銀行はクルーグマンが叫んだ半分の「2パーセント」のインフレ率を、より短期間である「2015年初頭」までに実現するとしただけで、長期金利がグッと上がったのである。「こうなること」を想定できなかったといえばノーベル経済学賞を返上すべきであろうし、それを想定していたのにあえてそう言ったというのであれば「確信犯」ということになる。
クルーグマンの真意はどこにあったのか。---その答えはただ一つ。要するに我か国にインフレ誘導を促し、そのために国債を大量発行すべきというその呼びかけ自体か、日本を袋小路に追い詰めるための「高貴なウソ」だったというわけなのだ。
そして先ほど引用した藤井聡の例は、我が国の「知識人」「言論人」がもはやそうした「高貴なウソ」を見破る能力すら持ち合わせていないことを示す典型例なのである。
ましてや彼らの議論を隠れ蓑にして巨大な利権を我がものにしようとする政治家たちが、そのような能力を持っているはずもないのだ。
・・・<抜粋終了>・・・
原田氏によると、戦後の日本人は「高貴なウソ」を信じ込むように徹底的に教育されてきたといいます。
http://homepage2.nifty.com/motoyama/info_9.htm#info_927
高貴なウソとは英語で、「noble lie」というそうです。
原田武夫氏によると、高貴なウソとは私たちのような一般大衆を、「根源的な階層」に属する人々がコントロールするために、マスメディアを使って流すウソのことをいうんだそうです。
『日本経済復活のシナリオ』(原田武夫著、中経出版)から、まず世界は次の5つの階層から成り立っているという話から紹介したいと思います。

・・・<『日本経済復活のシナリオ』、p30~p32から抜粋開始>・・・
非常にざっくりとした言い方をすると、世界は次の5つの階層(クラス)から成り立っている。
①「根源的な階層」(各国の王族がその典型)
②「番頭」(「大統領」「首相」「コングロマリットのCE〇(最高執行責任者)」)
③「使用人・支配人」(マネジャー)
④「労働者」(いわゆる普通のサラリーマン)
⑤「その他」(各国で大勢存在している「失業者」など)
そして「根源的な階層」が絶えず意を用いていること。それが「グローバル・マクロ(国際的な資金循環)」の円滑な進展なのである。そしてそのためにここでいう「番頭」がビジネス・モデルを構築し、あるいはコンセプトを立てる中で、それ以下の者たちに執行させていくというわけなのである。
ただし上の2階層は、下の3階層に対して、そうした「ビジネス・モデル」「コンセプト」とそれに関連した事実をそのまま伝えるわけではない。なぜなら、時にそれは後者の利益に反することも多々あるからである。
だが何としてでもこれらは実現されなくてはならない。そこで用いられるのが「マスメディア」なのだ。
そして上部2階層が下部3階層に対して目的達成のため、公然とウソをつくことがある。これを英語で「ノーブル・ライ(noble lie、高貴なウソ)」というのである。
そして「高貴なウソ」をつく側が幼いころから仕込まれる能力のことを「情報リテラシー」と呼ぶ。
ウソをつく側なのであるから、いかにもっともらしくマスメディアが伝えていたとしても「ウソ」は「ウソ」であると見抜く能力、疑う能力が徹底して仕込まれるのである。
これに対して下部3階層に「情報リテラシー」が教えられることはない。むしろ徹底して「高貴なウソ」は「真実」であると刷りこむことによって、ビジネス・モデルやコンセプトそのものの存在を脳裏から消すよう、促されるのである。
・・・<抜粋終了>・・・
原田氏によると各国の王族などによって構成される「根源的な階層」が今最も意をくだいているのは、「富の東漸(とうぜん)」だといいます。
富の東漸とは、ざっくり言うと、富が西側諸国からアジアに移ってくることです。
1820年にアジア(中国、インド、東南アジア、朝鮮、日本)が世界経済に占めていたシェアは58パーセントでした。その後19世紀からの欧州での産業革命と20世紀のアメリカの工業化によって、1950年には西側(西欧諸国、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、アメリカ)が世界経済の56パーセントを占めるようになり、アジアは19パーセントにまで落ち込みます。
ところが近年アジア各国の経済成長がめざましく、1992年には37パーセント、2025年には57パーセントまでに達すると予測されています。このように富が西側からアジアに移ることを富の東漸といい、これを「根源的な階層」はなんとしてでも阻止したいのだといいます。
そのために、教育やマスメディアを使って「米欧は絶対的存在」だと人々を洗脳してきたといいます。
そうした洗脳を受けた人の例が紹介されています。
・・・<『日本経済復活のシナリオ』、p59~p65から抜粋開始>・・・
名前を出すと「あの会社か」とすぐ分かる、我が国を代表する鉄道会社の創業一族に属する人物との会話においてのこと。この人物は我が国財界を代表する「経済同友会」でも活躍した人物であり、私は「恐らくこの方ならば当然、こうしたグローバルでマクロな現実を御存じだろう」と思い、「富の東漸こそが問題の根源です」とつい声高に言ってしまったのである。
すると何を思ったのか、この財界人士は「何を言うかっ!」と私のことを面罵し始めたのである。アジアが米欧よりも富を貯めるなどということは絶対にあり得ない、もしそうだというのならばきっちりとした証拠を出せというのである。
「イギリスの歴史経済学では常識ですよ」と私はやや呆れ顔で応じたのだが、それでも納得がいかなかったらしい。「いい加減なことを言うなっ!」と怒られてしまった。私が唖然としてしまったのは言うまでもない。
要するにこの財界OB氏は「米欧は絶対的存在」という高貴なウソを信じ込まされて育ってきた世代に属していたというわけなのだ。その米欧を、我が国を含むアジアが乗り越えるはずなど絶対にあり得ないと端(はな)から信じて疑わないのは、そのせいなのである。
・・・(中略)・・・
ちなみに財界OB氏と会食の機会を持ったのは2012年秋頃。まだ「日本バブル」が始まる前のことだった。
私は「富の東漸」を説明した後、「だから我が国はバブルになりますよ」と述べたのだが、これにも同氏は食ってかかってきた。
「君、そんなバカなことを言ってはいかんよ。我が国がもう一度バブルになるなんていうことは絶対にあり得ない」
◆マスコミを使って流布されるウソ
繰り返しになるが、この財界OB氏の「名誉」のために言うと、これはこの方の能力の問題では決してないのである。そうではなくて「富の東漸」をはじめとする、世界を俯瞰図で見た時にだけ分かる現象をしっかりと見てとることのできる教育を、彼らの世代が徹底して受けて来なかったこと。これだけがそうした思い込みの決定的な理由なのだ(ちなみにこの財界OB氏は敗戦時、小学生であった)。
先ほど、米欧が中心となっている世界には全部で5つの階層(クラス)があると言った。そして「根源的な階層」が常に考えていることがグローバル・マクロ(国際的な資金循環)なのであり、その意を汲みとってビジネス・モデルを創り上げるのがその下にいる「番頭」なのだ。
しかし世界の本当のことは、このクラスにまでしか伝えられない。なぜならばその下のクラスである「使用人・支配人」「労働者」そして「その他」は結局のところ、このビジネス・モデルを廻すためのコマにしか過ぎないからだ。彼らが変に考え、番狂わせが生じてしまっては困る。
だからどうするのかというと、まず「根源的な階層」「番頭」とその下のクラスとでは子供の頃から習うことが違うようにするのである。そしてその上で、「根源的な階層」と「番頭」はマスメディアを使って高貴なウソをごまんとつくというわけなのだ。
・・・<抜粋終了>・・・
では本で取り上げられている高貴なウソの一例を紹介したいと思います。
文中に出てくる「藤井聡の例」というのは、2011年の東日本大震災の後に藤井聡氏が、大量の国債を発行して震災復興の資金源にすべきだといった論文をいいます。藤井氏は、アメリカのノーベル経済学者クルーグマンの「日本は今”流動性の罠”にはまっている」という主張を引用して、たとえ国債を大量に発行しても金利は上がらないと主張しました。
しかし今年(2013年)の5月に日銀が国債を大量に発行したとき、長期金利が急上昇しました。つまりクルーグマンが、日本は今”流動性の罠”にはまっているから国債を発行しても金利は上がらないというのはウソだったことになります。
・・・<『日本経済復活のシナリオ』、p95~p96から抜粋開始>・・・
◆クルーグマンの発言は「高貴なウソ」だった
実はこのクルーグマンは1990年代末からあるとんでもない提案を公言していたことで知られている人物なのだ。そしてその提案とはこんなものである(翁邦雄『ポスト・マネタリズムの金融政策」(日本経済新聞出版社)第162頁参照)。
「日本銀行は4パーセントのインフレ率を15年間続けることにコミットせよ」
どうせ日本は流動性の罠、すなわち「マネーがあったら投資ではなく、貯蓄へと使う傾向が定着してしまっている状況」に陥っているのだから、金利が上がるはずもない、というのである。何ともいい加減な議論ではないだろうか。
しかも日本銀行はクルーグマンが叫んだ半分の「2パーセント」のインフレ率を、より短期間である「2015年初頭」までに実現するとしただけで、長期金利がグッと上がったのである。「こうなること」を想定できなかったといえばノーベル経済学賞を返上すべきであろうし、それを想定していたのにあえてそう言ったというのであれば「確信犯」ということになる。
クルーグマンの真意はどこにあったのか。---その答えはただ一つ。要するに我か国にインフレ誘導を促し、そのために国債を大量発行すべきというその呼びかけ自体か、日本を袋小路に追い詰めるための「高貴なウソ」だったというわけなのだ。
そして先ほど引用した藤井聡の例は、我が国の「知識人」「言論人」がもはやそうした「高貴なウソ」を見破る能力すら持ち合わせていないことを示す典型例なのである。
ましてや彼らの議論を隠れ蓑にして巨大な利権を我がものにしようとする政治家たちが、そのような能力を持っているはずもないのだ。
・・・<抜粋終了>・・・
原田氏によると、戦後の日本人は「高貴なウソ」を信じ込むように徹底的に教育されてきたといいます。