緊縮財政を進めるポルトガルの政治が限界に来ている。2閣僚の辞任をきっかけに混乱が広がり、政権崩壊の恐れも出てきた。どんな結末となるにせよ、2011年に合意された780億ユーロの支援計画が今や危うい状況となった。ポルトガル国債の利回りは急上昇しており、新たな支援策が必要となる可能性もある。

 ポルトガル政府はこれまで、欧州連合(EU)の欧州委員会、国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)の「トロイカ」の要求に従って、財政再建に懸命に取り組んできた。わずか2年で財政赤字解消に必要な措置のほぼ3分の2をやり遂げた。背後には、労働市場自由化などの困難な改革を支持する強力な民意があった。

 しかし、予想以上に深刻な景気後退が長引くなかで民意が揺らぎ始め、さらに来年夏の財政再建の達成期限に向けて最も厳しい仕上げの段階を迎える。達成には歳出規模や年金、給与を一段と削減する必要がある。これらを、失業率が18%を超えようとするなかで実施しなければならない。

■持続可能な成長に疑問符

 ポルトガル経済の抱える課題がついに現実のものとなりつつあり、トロイカの求める財政緊縮だけでは対処できないことが明らかになってきた。ポルトガルとアイルランドはユーロ圏周辺国として同類に見られがちだが、危機に陥った原因は根本的に違っている。

 アイルランドの危機は資産バブルや信用拡大が原因だ。しかし同国には技術の高い労働力としっかりした産業があり、世界景気が回復すれば、再び成長軌道に乗る基盤がある。一方、ポルトガルは近年、急速な産業の衰退に苦しんできた。残っている産業に競争力はなく、労働者の技術力も低い。危機に陥る以前に10年間も景気低迷が続いていた。たとえトロイカの決めた目標を達成しても、ポルトガルが持続可能な成長を実現する保証はない。しかし持続的成長がなければ、債務を制御可能な水準に抑えこむ能力に疑問符がつく。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGV04002_U3A700C1000000/

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