北朝鮮は、テレビでは朝鮮中央放送などでニュースなどを放映しますが、その文字版のサイトが「ネナラ」という北朝鮮の国営サイトです。

そのネナラの昨日の記事に「首都ピョンヤンに海水」というタイトルの報道がありました。タイトル通りに、海から内陸の平壌まで海水を流れさせる工事が完了して、首都で海の水を淡水利用しているという記事でした。


▲ その 9月13日のネナラの記事。


もっとも、北朝鮮の報道の真偽は測りかねるということは事実ですが、私はこの「海水の淡水利用」ということをあまり知りませんでした。

海水淡水化 - Wikipedia を見てみると、海水淡水化では主に下のふたつの方法がとられているのだそうです。


・多段フラッシュ
海水を熱して蒸発(フラッシュ)させ、再び冷やして真水にする、つまり海水を蒸留して淡水を作り出す方式である。

・逆浸透法
海水に圧力をかけて逆浸透膜と呼ばれる濾過膜の一種に通し、海水の塩分を濃縮して捨て、淡水を漉し出す方式である。

簡単にいうと、上は「蒸発させて真水を作る方法」で、下は「高性能のフィルターで濾過して真水を作る」ということのようです。

北朝鮮がどちらの方式かはわかりませんが、「多段フラッシュは、多量のエネルギーを投入する必要がある」とありますので、この方式ではないのかもしれません。あるいは独自の方法ですかね。

その北朝鮮の記事を翻訳してご紹介します。

最終的に「朝鮮労働党(北朝鮮政府)は偉い」という口調になっていくのは、多くの記事に共通のものですが、そのまま訳します。




ネナラ (北朝鮮国営サイト) 2012.09.13

海水が首都平壌に


平壌は海から数十キロメートルも離れている。

このような(内陸の)平壌だが、今はそこに海水が流れてきており、人民の福利の増進に広く利用されている。

朝鮮半島の西海(ソヘ)から流れてきた海水は、飲料水を消毒することで、市民に質の良い水を確保しながらも、国の多くの利益を与えている。

そして、風情秀麗な綾羅島(ルンラド)に新たに建設された公演のための水槽と、中央動物園の水族館にも供給され、水族館の魚の生育を円滑に保障することにより、人民の文化情緒生活にも積極的に貢献している。

首都平壌に海水が流れるという殊勝な現実は、人民による文明的な生活条件を提供しようとする朝鮮労働党と国家の人民的施策が生んだ成果である。

国では、西海の海岸にある南浦(ナンポ)から平壌までの区間に輸送管を敷設し、海水底流、沈殿池、加圧装置、海水貯蓄タンクなど、複数の建設対象工事が短期間に完成するように、必要な措置をすべてとった。

多くの専門分野の建設者、科学者たち、技術者たちは、高い愛国的献身性と創意性を発揮し、1年余りの期間でこれらの膨大な工事を終わらせることによって、去る4月末から平壌市に海の水が流れ込むことになった。

平壌市の上下水道管理部門の幹部たちと労働者たちは、設備と施設に対する管理運営と保守整備もうまく、いつもきれいな海水が複数の場所に流れ込むようにとしている。